早く正しく美しく。大型水槽梱包職人<charmの匠>

チャームの匠
チャームの匠

charm社内に存在するアクアリウムの匠たち。そんな匠の職人技を紹介するこのシリーズ、「charmの匠」の第二回目は水槽梱包職人をご紹介します。

荷物を無事に届けるために

charmの取扱商品は多岐にわたります。魚や昆虫などの生き物から、水草や観葉植物、そしてアクア用品にとどまらないあらゆるジャンルのペット用品まで。その数、優に6万点以上。セールともなると1日に1万件を超えるご注文をいただきます。ご注文の内容はお客様によって異なり、何万通りにもなる商品の組み合わせに対して常にベストの梱包を求められるのがcharmの物流出荷部なのです。

  • 無事に商品を届けること
  • 過剰な梱包資材を使わないサスティナブルな梱包を目指すこと
  • 受け取った人を喜ばせること
  • 素早く購入者の手元に届けること

お荷物を受け取るお客様に一番近い梱包の部署は、常に進化を求められる部署でもあります。
コロナ禍が加速させた「物流の進化」は今、まさに自動化の真っ只中にあります。

そんな中、charmもASKUL Value Center 関西からの出荷を一部開始しており、より早く・より確実に荷物を届けるための進化を続けています。ただ、どうしても自動化できない技術は物流の現場にもあります。
「壊れやすいものを最小限のパッキングで確実に梱包すること」
そこには、積み上げられてきた匠の技術が不可欠なのです。

先輩から後輩へ引き継がれる手書きの指南書はダンボールの裏に書かれている。

匠とエースの紹介

大型梱包の匠:橋本

大型のガラス水槽の梱包業務は「通称:大型梱包」と呼ばれ、charmの物流出荷部の中でも花形の業務と言っても過言ではありません。同時に限られた人だけが行うことができる責任重大な業務でもあります。
入社8年目の橋本さんは大型梱包6年目のベテランスタッフです。もともとは大物梱包(大きなものを中心に梱包する梱包業務)を行っていましたが、その手腕を認められ大型梱包を任され、今では梱包の匠と呼ばれるまでになりました。

匠はすべての梱包ダンボールサイズを正確に把握し、「この水槽はこのダンボールをこう使えば梱包できる」ということを瞬時に判断できてしまうのだそう。(筆者のような)初心者が梱包の業務を行うと、1回の注文の商品の組み合わせに対してダンボール選びが全くできず「あ、入り切らない」「あ、大きすぎた」と何度もダンボールを取り替える羽目になり、非常に効率が悪いのです。

大型梱包のエース:瀬川

大型梱包は現在4人のスタッフによって行われています。その中で最も年が若いスタッフが瀬川さん。入社4年目、梱包の部署に異動になってまだ1年目という立場での大型梱包に大抜擢。元々は生体を扱う部署にいました。普段の趣味はもちろん熱帯魚飼育。自宅で5本の水槽を管理する根っからのアクアリストで、特にハゼが好きなのだとか。

大型梱包は経験と技術が物を言う業務。持ち前の前向きで真面目な性格でメキメキ頭角を現し、今では大型梱包のエースと呼ばれるまでに急成長しました。
梱包の難しいところは、季節ごとに各メーカーが従来の梱包方法では梱包ができない新商品を出したり、配送業者側の配送ルールが変わったりと、常に新しいチャレンジが求められる点にもあります。
創意工夫が求められる部署において、若いスタッフの新たな視点とチャレンジ精神は部署全体を活気づけ、常識に縛られない取り組みを生み出すのです。

巨大なガラス水槽を梱包する

ガラスケースを梱包する

charmの取り扱い商品の中で、梱包においての最難関というべきは「ガラスケース」。
ガラスのスライド扉と、取り外し可能のはめ込みガラスが輸送と最も相性の悪い造形物となっているのです。何度も何度も試行錯誤を重ね、梱包の手順が作り上げられています。

RainForest パルダリウムケージプロ PCP6045 60×30×45cm
みどり商会 ケースバイケース90L 

取材時にちょうど匠が梱包していたのがGEX エキゾテラ グラステラリウム 6030 。すでにメーカーからビニールのパッキングをされた状態で入荷されます。まずは入荷の時点で割れなどの不備やがたつきはないか、扉の鍵が締まっているかを入念にチェックします。
特に扉の鍵部分は、少しでも緩んでいると輸送中に扉が開いて破損につながるため、指差し確認を忘れません。そして「エキゾテラの6030はこの箱……」と、200サイズの段ボールを手に取る匠。段ボール選びに一縷の迷いもありません。

梱包前の入念な確認も怠りません。
底にはエア緩衝材を三重に敷きます。
ドア面が上になるように慎重に箱に入れます。

箱が決まればとにかくジャストサイズになるよう手早くエア緩衝材を詰めます。底は3層、四方は1層、上部は2層。商品の把握⇒箱選び⇒緩衝材の数量把握⇒ぴったりのサイズになるよう箱の整形という一連の流れが段違いに速い。それが匠の仕事です。
なおかつ、商品ごとに割れやすい場所を把握しており、補強の入れ方を商品ごとに変えていきます。匠は常に最短で最適解を導いているのです。

四方にエア緩衝材を詰めます。
上面もエア緩衝材を二重に詰めます。
カッターでジャストサイズになるように切れ目を入れます。

何度も落下実験を行い、梱包方法を模索し、新商品が出るたびに新たな梱包が求められるのです。

中で荷物が遊ばないようにキチッとテープで止めます。
ガラスケージで使用する梱包のテープは必ずこのテープ。
極めつけのメッセージシール。

大型水槽を梱包する

charmでは、梱包方法について日々改良を重ねています。そしてこの度、大型水槽の梱包において新たなチャレンジを開始しました。ガラスの破損は、配送業者での配送中での発生がほとんど。そのため、配送業者が割れやすく危険なものと認識し、慎重に扱ってもらえるための工夫が重要と考えたのです。

地震対策仕様 オールガラス水槽 クロスカット スーパークリア アクロ 90×45×45cm 
ニュークリスタル・カラフル水槽(90×45×45cm)

そこで、あえて段ボールで覆わずに透明のエア緩衝材でのみ梱包することで、中身のガラス製品が“非常に割れやすい”ものであること、状態を正確に伝えることが可能となりました。文字で「ガラス水槽」「割れもの注意」と記載することに加え、さらなる視覚へのアピールという、無事に届けるために今までと異なる切り口でのアプローチを開始しました。

ガラスフタが中で動かないように養生テープで固定します。
四方をしっかり固定します。
水槽用マットやフタ受けも中で遊ばないように固定します。

ガラス製品の梱包の基本は、一にも二にも固定、それに尽きます。そして、消費者の意識がSDGsに向いていく中で、過剰な梱包資材の利用も敬遠される傾向にあります。より簡易的で確実な梱包で、そして商品をより良い価格でご購入いただけるよう、日々創意工夫に明け暮れているのです。

メーカーから入荷した際の箱に戻します。
気泡緩衝材(通称:プチプチ)で巻きます。
横の部分は特に隙間や段差ができないように段ボールや緩衝材を厚めに詰めてしっかりと止めます。
テープの貼り方にも社内で決められたルールがあります。
注意喚起はとにかく二重三重に。
これで完成です。

匠インタビュー

黒デメキン
黒デメキン

大型水槽の梱包はcharmの商品梱包の中でも花形のお仕事かと思います。橋本さんを始め、大型水槽の梱包担当の方々は1日何件ぐらい大型水槽の梱包をされるんですか?

匠:橋本
匠:橋本

普段は1日40~50台の大型水槽を梱包しています。ただ、大型セールになると多い時で70~80台の水槽を梱包することもあります。1台の梱包にかける時間はだいたい5~6分。全体の出荷の進行を見ながら梱包やトラックへの荷物の積み込み、全体出荷の滞りがありそうなところにヘルプに入り、出荷作業がスムーズに行われるように気を配っています。

黒デメキン
黒デメキン

70~80台!セールの時は目の回る忙しさですね。若手の瀬川さんから見て橋本さんはどんな方ですか。

エース:瀬川
エース:瀬川

橋本さんはムードメーカーです。「俺の背中を見て学べ!タイプ」で手取り足取り丁寧に教えてはくれませんが、いざという時は無茶苦茶頼れる兄貴的な存在です。大型水槽は普段、別の倉庫に保管されていて、その日の出荷分がまとめてドカッと運ばれてきます。それが配送業者の出荷の締め切り時間近くなんていう絶体絶命のピンチの時などは、すぐヘルプに来てくれるんです。

黒デメキン
黒デメキン

橋本さんは、背中で語る兄貴なんですね。そんな橋本さんが仕事に関して普段から気を付けていることなどはありますか。

匠:橋本
匠:橋本

体が資本の仕事なので、毎日の健康管理には十分気を遣っています。限られたメンバーだけが出来る替えの利かない業務であり、同じ大型水槽を梱包するメンバーたちとも休みを取るときは話し合ってセールにかぶらないように調整しています。

黒デメキン
黒デメキン

責任重大の仕事……確かに。若手の瀬川さんがこの業務を始めて、大変だと感じることはありますか。

エース:瀬川
エース:瀬川

トラックが行き来して荷物が常に積み下ろしされる半分外のような倉庫での梱包なので、夏は暑くて冬は寒いです。特に冬場は手先があかぎれになってしまうなど、非常に大変だと感じました。でも、壊れやすいものをアレンジして梱包して、お客様の手元に無事に届けられたときは非常にうれしいです。

まとめ

荷物を届ける上で一番お客様の近くに存在する梱包業務。自動化が進む物流業務ですが、どうしても人の技に頼らないといけない大型ガラス水槽の梱包は、匠たちの技が随所に活かされていました。
「縁の下の力持ち」の匠たちの仕事が、今日も誰かの生活にイロドリを与えているんだなとしみじみ感じたのでした。

投稿者
黒デメキン

犬と馬とリクガメが好き。
友人の自宅で生まれた黒出目金を稚魚から2匹飼っている。
口癖は「自分、アクアリウムに興味がない初心者なんで」。
うっかり詳しいなんて社内で言った日には、アクアリウム知識マウントの争いに巻き込まれて不要な怪我を負わされてしまうのです。

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