pH調整剤の使いどき

活用テクニック
活用テクニック

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回のテーマはpH調整剤の使用について。
入れるだけで任意のpHに上昇/下降ができる水質調整剤は大変便利です。

しかし、それらにも「使いどころ」と「コツ」のようなものがあります。

今回は調整剤にまつわる、ちょっと細かいテクニックのお話です。

pH下降剤の使いどき

pH下降剤の定番
テトラ pH/KHマイナス

pH下降剤を使いたい場面といえば、当然ですが高すぎるpHを下げたい場面でしょう。

具体的にはベタ(特にワイルドベタ)やアピストグラマなど、弱酸性寄りの水質で調子が良くなる魚種の調子を上げたい時ということが挙げられます。

主な用途

ベタ・コッキーナ
アピストグラマ・エリザベサエ
主な用途
  • アピストグラマやベタ(特にワイルドベタ)の調子を上げたい
  • 南米産の熱帯魚の発色を良くしたい
  • 弱酸性の軟水を好む水草の調子を上げたい
使うべきでない場面
  • アフリカンシクリッド、金魚を中心とした水槽
  • 海水水槽
  • 長期間水換えをしていない水槽

pH下降剤の種類と選び方

代表的なものは冒頭で紹介した「テトラ pH/KHマイナス」などの液体タイプですが、他にもいくつかあります。

pHを下降させる作用のあるアイテムは次の通りです。

即効性
pH下降剤
濃縮ブラックウォーター

投入してすぐに効果の出る液体タイプです。

すぐにpHを下げたい時や、水換え時の新しい水の水質を調整したい時に使用します。

緩効性
やしゃぶしの実
アンブレラリーフ
ピートモス

じわじわと長期間にわたって効果の出るタイプです。
フルボ酸やタンニンなどが溶出することにより、pHを弱酸性に傾けます。

pHの低い環境を長期間にわたって安定的に整えたい場合に有効です。

入れても効果がないとき

pH下降剤は入れるだけでpHを下げてくれますが、特定の条件下では入れても効果がないことがあります。
いくら入れてもpHが下がらない、あるいは入れると一旦下がるがその後すぐに戻ってしまう。

このような時は、原水のGH(総硬度)が高い可能性を疑ってください。
pH下降剤を上手に使うには、GHも一緒に測定しましょう。

GHを下げる方法
  • ソイルを使用する。
  • ゼオライトを入れる。
  • RO水(浄水器)を使用して原水のGHを下げる。
多くのソイルにはイオン交換作用があり、
これによりGHが下がります。

原水のGHの高い低いはお住まいの地域によって決まります。
日本の水道水はほとんどの地域で軟水ですが、一部地域ではGHが極端に高く、南米産の熱帯魚や水草の育成には不向きな地域もあります。

GHを下げる手段としては、底床にソイルを採用するのが一般的です。
弱酸性を好む熱帯魚の飼育にソイルが採用されることが多いのは、このイオン交換作用によるpH下降の狙いがあるためです。
このため、すでにソイルではない底床を敷いている水槽にソイルを敷く場合、一度リセットする形となるので手間にはなってしまいます。

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吸着材として広く用いられるゼオライトにも若干ですがイオン交換作用があるため、多少のGHの低下に貢献します。
後から入れるだけで効果が見込めますが、効果は高くありません。

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RO水ならGHを0にすることも可能です。
ただし、RO水(RO浄水器)の導入は大変高額です。
先にソイルやイオン交換樹脂などを試し、それでも下がらない場合の最後の手段として考えるとよいでしょう。


pH上昇剤の使いどき

pH上昇剤を使うのは、基本的には海水魚やアフリカンシクリッド、グッピー、金魚といった弱アルカリ性の水質を好む魚種を飼育している場面です。

他に、KHを上昇させることでpHの急激な変化を起こりにくする作用もあるため、排せつ量の多い大型魚にも有効です。

主な用途

アーリー
(アフリカンシクリッド)
グッピー
金魚
カクレクマノミ
(海水魚全般)
主な用途
  • アフリカンシクリッドや金魚の調子を上げたい
  • 海水水槽でpHを高めたい
  • 水の汚れによるpHの下降を抑制したい(特に大型魚)
使うべきでない場面
  • アピストグラマ、ベタなど弱酸性を好む魚種がメインの水槽
  • 立ち上げたばかりでまだバクテリアが定着していない水槽

pH上昇剤の種類と選び方

代表的なものは液体タイプです。

緩効性のタイプとしては、pH上昇剤として販売されているわけではないものの、化石サンゴ系の岩石はpHを上昇させる作用が強いです。
このため、緩効性のpH上昇剤と見なすこともできます。

即効性
pH上昇剤

投入してすぐに効果の出る液体タイプです。

すぐにpHを下げたい時や、水換え時の新しい水の水質を調整したい時に使用します。

人工海水の作成時にも便利です。

緩効性
化石サンゴ

化石サンゴをはじめとした石灰岩系の岩石は、じわじわと長期間にわたって効果の出るタイプです。
サンゴ砂や飾りサンゴ、貝殻でも類似した効果が得られます。

水質が弱酸性の環境下ではカルシウムイオンなどが溶出することにより、pHを弱アルカリ性に傾けます。
元々中性よりもpHの高い環境では、ほとんど変化はありません。

pHの高い環境を長期間にわたって安定的に整えたい場合に有効です。

化石サンゴ系のレイアウトストーンは、アフリカンシクリッドやグッピー水槽での使用が基本です。

しかし「弱酸性の環境下で溶出し、弱アルカリ性に傾ける」という作用から、急激なpH低下を抑制する効果もあります。

このため、排せつ量が多く水質の悪化が速い大型魚水槽にも実は有効です。
ろ材としても使えるうえ、レイアウトとしても使えます。
あとからポンと入れるだけで効果を発揮するのもメリットです。

▼こちらも参考

水換えで解決するなら水換えが優先

水換えを長期間怠ると硝酸塩が蓄積し、水質を弱酸性に傾けることがあります。

しかし、これを例えばpH上昇剤の投入によって解決を図るのは得策ではありません。

液体タイプの水質調整剤は即効性がありますが、水槽内から原因物質を除去するのではなく、中和する形をとるのがほとんどです。
消えてなくなったわけではないのです。

水質維持の秘訣、それは水換え。

やはり水質を悪化させる原因物質を除去する上で、最も有効な手段は水換えです。
pHが下がりすぎてしまうようであれば、まずは水換えをするのがベストです。

そのうえで水質調整剤を併用することで、生体にとって理想的なコンディションを保ちやすくなるでしょう。


上手な使い方

電子式pHメーターが最有力

pHを下げるにせよ上げるにせよ、上手に使うには、電子式のpHメーターは欠かせません。

試験紙タイプでも測定自体はできますが、何度も測定することになります。
加えて、ある程度精度が要求されることから電子式のほうがおすすめです。

高価な製品の方が精度も高い傾向にあります。

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pH調整剤の投入により、pHが目的の値になっているかどうか確認しましょう。

KH/GHも測定しよう

また、必要であれば「KH」「GH」の測定も有効です。
特に水草をメインとする水槽で効果が高いでしょう。

「KH」「GH」はpHの急激な降下を和らげるクッションのような役割を持っています。
これをpH緩衝作用といいます。

「KH」「GH」が低いと、pHの急激な低下が起こりやすくなります。

KH測定試薬
GH測定試薬

「KH」にはカルシウムとマグネシウム以外にカリウムとナトリウムも含まれるので、「GH」と合わせて測定することにより、カリウム等がどのくらい含まれているかもおおよその推測が可能になります。

単純に硬度だけ、どのぐらいあるのか知りたい場合は「GH」のみの測定でOKです。
pH緩衝作用だけ、どのぐらいあるのかを知りたい場合は「KH」のみの測定でOKです。

生育不調の水草がある場合、「GH」「KH」両方を測定しておくと、その原因を突き止められるかもしれません。

特にpHを下げたいときに大事

そもそもpHを下げるための根本的解決方法は、「GHを下げる」以外にありません。
これを完全に解決できるのはRO浄水器のみです。

多くの地域ではpH下降剤を入れれば素直にpHが低下してくれます。
しかし例えば、原水のGHが10以上もあるような極端にGHの高い地域では、ドボドボと調整剤を入れたとしてもpHはほとんど下がりません。
目安として、GH8以上から調整剤が効きづらくなってきます。

規定量入れてもなかなか目的値まで下がらない場合は、原水のGHが高い可能性が濃厚です。
こうなると、RO浄水器の導入を検討するほかありません。

逆にGHを上げるのは簡単です。
岩石、特に化石サンゴをはじめとした石灰岩系の石を入れれば、簡単に上昇させることができます。

GHは0だとpH緩衝作用が全くないので、生体を飼育するうえでは不安定な水質です。
水草レイアウトをメインとした水槽の場合、一般にGH1~3程度が理想と言われています。


pH調整剤の使いどき まとめ

こんな時に使いましょう
定期的な水換えと併用しつつ、要所で使用しよう
  • pH下降剤は弱酸性の水質を好む熱帯魚に使用しましょう。
    水草メインの水槽や南米産の熱帯魚の多くの種、アピストグラマ、ワイルドベタに特に有効です。
  • pH上昇剤は弱アルカリ性の水質を好む魚に使用しましょう。
    アフリカンシクリッド、グッピー、金魚、海水魚に特に有効です。
  • pH上昇剤は大型魚など排せつ量の多い水槽では、pHの急激な酸性化を予防する効果もあります。
  • 水換え時の新しい水のpH調整には、液体タイプが有効です。
  • 普段から水槽の環境を生体に合う環境に整えるには、緩効性のタイプが有効です。
  • pHの調整を行う場合は、電子式のメーターが大変便利です。
  • 水草メインの水槽では、GH/KHの測定も有効です。
  • 水換えで解決できる場面では、水換えを優先しましょう。
投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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