熱帯魚がかかる厄介な病気、水カビ病。
ここではその治療に有効な魚病薬と、その基本的な使い方について解説します。
水カビ病とは
体表やヒレに綿状のカビが発生する病気です。
この病気は単体で発症することはあまりなく、大抵の場合外傷または尾腐れ病、穴あき病などによって生じた傷口から二次的に発生します。
そのまま放っておくとどんどん魚体がカビに覆われてしまいます。水カビ病による死因としては、魚が本来持つ浸透圧調節機能を破壊するためと考えられています。
一次原因が外傷であり、発見が初期であれば比較的治りやすい病気です。
一次原因が他の病気である場合や、発見が遅れた場合は対処が難しくなります。
有効な魚病薬
白点病に有効な魚病薬は次の通りです。
基本的には成分に色素剤と呼ばれる、「メチレンブルー」または「マラカイトグリーン」を含んだ魚病薬を使用しましょう。
色素剤のデメリットとして、水槽のシリコンを着色してしまうというものが挙げられます。
水カビ病に有効な薬品は、全てシリコンへの着色があります。
気になるようであれば、隔離して治療すると良いでしょう。
水カビ病の発生は二次感染であることに着目し、とにかく一次原因となる傷口が生じる原因を断つことが重要です。
混泳相性が悪くケンカしている個体がいないか、尖った形状のアクセサリーや流木などを入れていないかを再点検すると良いでしょう。
魚種によっては、網ですくっただけで表皮が傷ついてしまうものもいます。
そのような魚種の場合は、水ごとすくえる網を使うなどの工夫することで対策が可能です。
製品名 | メチレンブルー | グリーンF リキッド | アグテン | グリーンF |
---|---|---|---|---|
薬効 | ★★★ | ★★★ | ★★☆ | ★★★ |
着色 | 有 | 有 | 有 | 有 |
性状 | 液体 | 液体 | 液体 | 粉末 |
有効成分 | メチレンブルー | メチレンブルー | マラカイト グリーン | メチレンブルー |
水草水槽 での使用 | 不可 | 不可 | 可 | 不可 |
備考 | スレ・外傷にも有効 | 薬効期間短め | 細菌性感染症 にも有効 |
※メリットとなる要素は青く着色しています。
- 着色:水カビ病に有効な薬品は全てシリコンやエアーチューブを着色します。
気になるなら隔離して治療しましょう。 - 性状:基本的に液体のほうが計量しやすく、扱いやすいです。
- 有効成分:メチレンブルー>マラカイトグリーン
マラカイトグリーンは薬効期間が短いため、治療が長期化しやすい水カビ病の場合は投薬回数が増えます。
薬効が長いメチレンブルーの方が、入れっぱなしでも徐々に快方に向かうことが多く、扱いやすいでしょう。 - 水草水槽での使用:「不可」の場合、薬浴前に水草類は水槽から取り出しておきましょう。
- 「グリーンFリキッド」はアクリノール配合で、水カビ病発生の一次的な原因となるスレや外傷の消毒作用があります。
- 「グリーンF」は抗菌剤配合で、水カビ病発生の一次的な原因が細菌性感染症(尾腐れ病・穴あき病)だった場合特に有効です。
- 「グリーンFリキッド」「グリーンF」の2製品は、水カビ病の発生原因も対策できるためおすすめです。水カビのみを対策するのであれば、「メチレンブルー」単品でも十分です。
各魚病薬の使い方
薬品ごとの詳しい使い方は、以下の動画をご覧ください。
実際の水槽への使用例を、1~2分程度の短い動画でわかりやすく紹介しています。
※実際に薬浴させる場合は、商品に添付されている説明書をよくお読みの上ご使用ください。
メチレンブルー
水カビ病の治療薬としては最も有名な魚病薬です。
迷うようであれば、「メチレンブルー水溶液」を選んでおくと良いでしょう。
グリーンFリキッド
メチレンブルーの効能に加え、スレなどの物理的な外傷への消毒効果のあるアクリノールが配合されています。
水カビ病に関しては、スレなどの物理的な外傷を元に二次的に発生します。
傷口があってまだ発症していない個体に対し、その傷口もケアする効果が見込めます。
水カビ病そのものと、その原因となる傷口の消毒を1本で両方対応できるので、対水カビ病としては優先度の高い魚病薬です。
アグテン
水カビ病にも効果的ですが、薬効期間が短い点がメチレンブルーに比べると見劣りします。
水草水槽でも使用できる点はメチレンブルーにないメリットなので、どうしても水草を取り出せない場合は選択肢となるでしょう。
長期化しやすい水カビ病の治療では、投薬回数が増える点に留意しましょう。
グリーンF
メチレンブルーの効能に加え、尾腐れ病などの細菌性感染症にも効果のある魚病薬です。
粉末タイプのため、使用する水槽サイズによっては計量時に少々難儀することもあります。
グリーンFが効果を発揮するのは水カビ発症の一次的な要因がスレ傷ではなく、細菌性感染症を併発してしまった場合です。
尾腐れ病や穴あき病により生じた傷口から水カビ病も発生してしまった場合は、抗菌剤も配合されているグリーンFの投薬が最有力です。
水カビ病と細菌性感染症を併発している場合、難治性で予後が悪いことが多いです。
その状況下で一番治癒できる可能性が高いのは、このグリーンFということになります。
薬浴時にあると便利なもの
トリートメント水槽
病魚を隔離して治療する場合に便利です。
メチレンブルーやマラカイトグリーンは水槽のシリコンやエアーチューブを着色してしまうので、着色させたくない場合は隔離して薬浴すると良いでしょう。
使い捨て手袋
薬液が手につくと、着色して取れなくなることがあります。
使い捨てのポリ手袋は対策としておすすめです。
ゴーグル
薬品、薬液から目を守ります。
不意に飛び散った薬液が目に入ると危険なため、装備しておくと安心です。
手付きビーカー
粉末タイプの薬品を溶かしたり、計量する際に何かと便利です。
普段の水換えにも活躍します。
ベロペット
粉末タイプの薬品を溶かした際、水槽に計量しながら入れるのに便利です。
普段の給餌にも活躍します。
コメント