今回ご紹介させていたく生体は、熱帯魚の王様とも言われているディスカスについてになります。
生物学的データ
学名:Symphysodon

分類 | スズキ目・カワスズメ(シクリッド)科・シムフィソドン属 |
体長 | 15~20cm |
食性 | 雑食(動物性が強め) |
原産地・分布 | ブラジル・コロンビア・ペルー |
南米にある世界最大のアマゾン川に生息する種。本種は「熱帯魚の王様」と言われワイルド個体から改良品種のブリード個体と多くの品種がいます。
「ディスカス」という名も円盤『ディスク』と言う意味合いを持ちます。
ワイルドディスカスと呼ばれる、原種は4種類ほどと知られています。
隣接した河川に生息している事もあり、原種同時の交雑もあるようです。
※似ている個体も多くみられ判別も難しい。


「ヘッケル・ディスカス」「グリーン・ディスカス」「ブルー・ディスカス」「ブラウン・ディスカス」と2種3亜種になります。2種とは「ヘッケル」と「グリーン・ブルー・ブラウン」になり、「グリーン・ブルー・ブラウン」は亜種関係にあり3亜種という形になります。
この種の分け方については多くの説が提唱されており現在でも見直しがされています。
今でもわからないことがあるというのも、ディスカスの魅力の一つといえます。
生息域は川の水が茶色く色づいたブラックウォーターの流れが緩やかな場所で、水草や流木などが多く身を隠せる場所を好み群れをつくりグループで生活しています。エサは動植物プランクトンや水生昆虫などを食べています。
ディスカスは現在でも品種改良が盛んで、多くの品種が流通しています。価格も品種により変わり、希少性が高い品種であれば、高値が付く品種もいます。
ディスカスMAP
カラーバリエーション・模様のバリエーションが豊富なディスカスですが、原種と言われるのは「ヘッケル・ディスカス」「グリーン・ディスカス」「ブルー・ディスカス」「ブラウン・ディスカス」の4種になります。
※「橙=ブラウン・ディスカス」「青=ブルー・ディスカス」「緑=グリーン・ディスカス」「紫=ヘッケル・ディスカス」

原種筆頭
ヘッケル・ディスカス
学名: Symphysodon discus Heckel
1840年頃魚類学者「ヨハン・ヤコブ・ヘッケル氏」に発見された種。ネグロ川・アバカキス川・トロンベタス川・マディラ川などに生息しています。
体色は灰褐色~茶褐色となり、全体に青い縦縞模様がはいります。この種の最大の特徴となるのがひときわ目立つ太いライン「ヘッケルバンド(ヘビーセンターバー)」になります。※目から数えて5本目の黒いバンド。



ネグロ川は黒い川と言う意味があります。フミン酸・フルボ酸など植物からなる腐食酸によりブラックウォーターとなっています。※水質pH4~5と酸性の軟水。
ネグロ産・ヤムンダ産・マディラ産・ウアツマ産など多くの産地のヘッケルディスカスが流通しています※純粋なヘッケルディスカスはネグロ産と言われています。
3亜種
グリーンディスカス
アマゾン川上流に生息し、テフェ湖・ジュルア川・ジュタイ川・ジャプラ川・ナナイ川などに分布しディスカスの中では流通が多い原種になります。
体色は黄色味や橙色などを基調色に持ち、頭部・体側・尾ビレ底部に淡いグリーン色を帯び、背ビレ・尻ビレにブラックアーチが入ります。
個体差はありますが、ヘッケルと異なり均等な黒いバンド(※バーチカルストライプ)がはいり、ホリゾンタルラインや、側面に赤いドット模様がはいるのも特徴になります。


※1904年にペリグリン氏により「グリーン・ディスカス」が記載され、1930年代からアクアリウム界にディスカスが登場し、アメリカでディスカスの繁殖に初めて成功したようです。


グリーン・ディスカスの中でグリーンの面積とレッドスポットの多い個体は「ロイヤルグリーン」と呼ばれ人気が高いです。
※1画像ロイヤル グリーン・ディスカス限りなく近い個体。
※2 画像ペルーはナナイ川から輸入される個体は「ペルビアングリーン」と呼ばれます。


※カラーバリエーション・模様のバリエーションが多いグリーン・ディスカスから、多くの改良品種が作出されています。自然界の中でも生息域によりブルー・ディスカスとの交雑個体や、ヘッケル・ディスカスとの交雑個体「ヘッケルクロス」がみられます。
ブルー・ディスカス

・アマゾン川の中流域や、支流のネグロ川が本流へ合流する地点の周辺に生息しています。
体色は褐色や赤味のある褐色に、頭部や体・背ビレ・尻ビレなどに青い模様(ホリゾンタルライン)がはいる綺麗な種になります。
※ラインの入り方には個体差があります。全身にホリゾンタルラインが綺麗に入る個体がグレードが高い個体(ロイヤルブルー)とされています。

ブルー・ディスカスも産地は多くありますが、ヘッケルとの交雑から、ソリッド系(柄の無い)タイプも多く、混在して生息しています。
ブラウン・ディスカス

・マナウス川やベレン川といった中流域から下流域に分布します。体色は黄褐色~橙色でバンドがうっすら入ります。
ホリゾンタルラインはほとんどはいらず、ディスカスの中では控えめなイメージになります。
原種の中でも繁殖が容易で、香港・タイ・マレーシアなどで養殖が盛んだったようです。
飼育・繁殖が容易で入門種的なポジションにいましたが、グリーン・ブルー・ヘッケルに比べ地味で美しいとは言えないという意見もありました。
その後アレンカー地域から、強烈な赤い色彩を持つブラウン・ディスカスの交雑個体群が紹介され、爆発的な人気になりました。

『ブラウン・ディスカス』は、1960年にドイツ人のアクセルロッド博士に採取されたディスカスを「シュルツ博士』が『Symphysodon aequifasciata axelrodi』として記載されました。
同年プルス川、マディラ川で採取された『ブルー・ディスカス』は同じく『シュルツ博士』によって『Symphysodon aequifasciata haraldi』と記載されました。
改良品種の歴史
ディスカスの改良品種はアメリカの「ジャック・ワットレイ氏」ドイツの「シュミット・フォッケ氏」が世界に先駆けて取り組み、品種にもその名前が残っています。

はじめて固定化された品種「ターコイズディスカス」はアメリカのジャック・ワットレイ氏がブルー・ディスカス(原種)から作出し、「ワットレイターコイズ・ディスカス」として発表しています。
※ドイツではエドワード・シュミット・フォッケ氏もドイツで品種改良に取り込んできました。
ドイツ・アメリカでターコイズ・ディスカスをより色彩・柄を良くする事に力を入れ、「ワットレイターコイズ」は系統発展していき、ドイツでは「ブリリアントターコイズ(ブリランテターキス)」・「コバルトブルー」と呼ばれるドイツ産ターコイズを作出しています。


1980年日本にターコイズ・ディスカスが輸入されると、同年に東南アジアからも改良品種の輸入が始まりディスカスブームになりました。
※タイ:レッドロイヤルブルー(RRB)、ドイツ系ターコイズ、ワットレイターコイズ(東南アジア産)
香港:王志華氏により「暗色横帯(バーチカルバンド)」が無い「無棟藍」という品種を作出しています。
「WWFF ローウィン・ヤット・サニー氏」「WWFF ウ・チン・ユン・ロッキー氏」がドイツターコイズ系ディスカス・ワイルドディスカスで業界に影響を与える独自の品種を多く作出しています。

1980年後半になると、香港・台湾・タイ・ペナン島などで大規模な大量生産がはじまり、東南アジアを中心とした巨大マーケットとなりました。東南アジアを中心とし多くのブリーダーさんが品種を作出しつづけています。現在でも多くのブリーダーが活躍し、海外からの評価が高い日本人ブリーダーもいらっしゃいます。
特徴的な改良品種の多さ…
ディスカスは約60年という長い年数をかけ多くの品種が作出されています。特徴的な品種をご紹介したいと思います。
ブルー系


青系ディスカスの代表的なのは「ブルーダイヤモンド」バーチカルラインが無くソリッド系のディスカスになります。
「ブリリアントターコイズ」ドイツで作出された品種であり、ディスカスブームの火付け役ともいえます。
レッド系
「レッドターコイズ」のような赤の体色に青のホリゾンタルラインが入るような色彩を持つ品種などが有名になりますが、今では多くのバリエーションが作出されております。
体側やヒレにスポットが入るタイプ、赤やオレンジの色彩をもち柄の無いタイプなどがあげられます。


スポット:赤のラインが細かく班模様になる
サークルスポット:ラインやスポットが繋がり円になっている
ラインタイプ:青地に赤いラインががいる
スネークスキン:頭部に蛇の様な複雑なライン柄がはいる


イエロー系


レモンのような鮮やかな色を持つものから、オレンジが強い色味をもつパターンがいます。
柄のバリエーションも多くおります。
ホワイト系



メラニン色素をもたないアルビノタイプもおりますが、赤目にならない白いタイプが作出されています。白一色と美しいものから、ほんのり青いホリゾンタルラインがのるタイプがいます。
ディスカスの病気
ディスカスがかかる病気について症状と治療方法をまとめてあります。
エラ病
エラ病は、「ダクチロギルス」「ギロダクチルス」といった寄生虫が原因による病気の1つになります。
呼吸が荒くなっている様子が見られたら、まずはエラ病を疑って治療がオススメ。
エラが少し膨らんで見えるようになったら重症化している可能性が高く、完治したとしてもエラ蓋の膨らみが治らないことがあります。
※酸欠状態となるとに酸素を探すように漂う行動をとったり、泳ぐことなく底あたりでじっとして動かなくなるといった状態もみられるようです。
以前は駆虫にホルマリンが良く使われていました。
ホルマリンを飼育水10Lに1cc程度の割合で使うことで、極めて高い駆虫効果が得られます。
ホルマリンは毒劇物に指定されており取り扱いも厳しくなっていますので個人での使用はオススメできません。またホルマリンは塩水浴との併用ができません。
ディスカス・エイズ
ディスカスエイズは、第二次熱帯魚ブームの頃に改良品種のディスカスでよく見られ猛威をふるいました。原因は不明で、ウィルスが原因とも言われる一方、細菌性の病気のような症状が見られます。感染力がとても強く、病気の魚の水が飛んだだけでも感染してしまいます。
※シクリッドやエンゼルフィッシュも同じくディズカスエイズに感染してしまいます。
症状としては、体色の変化・ヒレをたたむ・エサを食べなくなる・動かなくなるなどが見られ、進行が進むにつれ酷くなると、ヒレの先端が壊死・肌荒れのような症状(体の表面が白っぽくなる)なども見られます。
治療方法
水温を31℃位まで上げ高水温にし、エルバージュを規定量入れ3日の間様子をみます。治療期間中はpHを下げるのも有効になります。pHを下げる際、pHショックにならないよう1日1.0づつ下げるようにし、pH5.0程度にとどめる様にします。
3日後改善が見られない場合は、症状が改善するまで2~3週間程度薬浴をつづけます。
薬浴による治療期間中も水換えは行って下さい。ディスカスエイズになると粘膜が大量にでるため水質の悪化が早まることが多いです。アンモニアや亜硝酸に注意して水替え頻度を上げてください。
治療中の餌はアカムシや乾燥餌のみ与えます。ハンバーグは水質を悪化させやすいので、控えた方が良いでしょう。
改善が見えたら、水を交換後、粘膜保護の為にアクアセイフやパーフェクトウォータをお使いください。
転覆病(浮袋障害)
水中でバランスをとる為に浮袋というものを持っています。浮袋が機能しない事により平衡感覚をなくし正常に泳ぐ事ができなくなります。※下を向いた状態や横になって泳ぐ状態になります。
原因は様々で、輸送直後の遊泳異常、栄養過多による内臓脂肪のつきすぎ、浮袋そのものの異常などがあります。
治療方法
転覆になってしまったディスカスの正常に泳いだ時の体高に水位を合わせます。水位をさげることにより強制的に体の姿勢を正常にもどしてあげます。
※3日間ほどつづけ水位をもどしてあげましょう。改善している場合、浮袋が正位置へもどっている事になります。改善されない場合2~3回ほど繰り返して様子をみます。
転覆病は治療が困難で再発する場合が多いです。
金魚などと同様に注射器などで浮袋のガスを抜く外科手術的な方法もありますが、リスクが高いので最後の手段として自身の責任で行ってください。
拒食症・寄生虫
前は餌を食べていたのに食べなくなる、餌を与えても食べない事があるかと思います。この場合2通りの原因が考えられます。
環境からくるストレスでの拒食やお腹に寄生虫が居る場合になります。
拒食症の原因・治療方法
原因:水槽内でのパワーバランスにより攻撃されてのストレス・飼育環境からくるストレスになります。
治療方法:高水温で生体の代謝をあげ、胃腸の動きを促し食欲をもどします。急に温度をあげず1日1℃を目安にし32~33℃まで上げます。1週間程度高水温で飼育していただき、エサは少量のアカムシをあげるようにしましょう。
※1週間経過後、飼育水温にもどす場合も1日1℃づつ行います。改善が見られない場合、生体への負担をかけないように日にちをあけて同じ方法を繰り返します。
寄生虫による拒食
原因:活餌に寄生虫の卵が付着している場合や、混泳しているワイルドの個体に寄生虫がいて糞などを食べ寄生されてしまうケースがあります。※水中の病原菌はー40℃で冷凍しても生存んしているようです。
治療方法:ディスカス用の虫下しハンバーグを与えて寄生虫をだしてあげましょう。
※月に1回程度虫下しハンバーグを与える様にすると予防にもなります。
頭部穴あき病(HITH:Hole In The Head)
古くからディスカスやシクリッド全般的にみられ、頭部や口周辺にニキビのようなものができ、そこから5mmほどの穴が空き、進行とともに穴が大きくなっていきます。
すぐに死に至ることはないもののゆっくりと進行し、最終的には頭部の肉が露出し衰弱していきます。
原因:原因はいまだに不明です。水質や水温が合っていない、栄養バランスの悪いエサを与えている、細菌性の感染症、寄生虫などといわれていますが、はっきりした原因はいまだにわかっていません。
治療法:現在有効な治療方法はなく、薬浴でもほとんど改善は見られません。良質で栄養バランスの良いエサ、定期的な水換えによる適切な水質の維持が重要です。
特に水槽内で不足しがちなミネラル分やビタミン類を含んだエサが良いといわれています。
※手荒な治療ですが、穴あきの初期であれば、リューターなどで穴周辺を少し削ってあげることで、再生が促され穴がふさがることがあります。魚を取り出して行うためリスクが高く、行う場合は自己責任でお願いします。またせっかくふさがった場所とは別の場所で再発することも多いので完治するとは限りません。
脱腸
総排泄口から数mm程度、腸がでてしまう症状です。
ユニークな体形のせいなのか、ディスカスやエンゼルフィッシュで見られます。
原因:原因はよく分かっていませんが、排泄しにくいエサを与えるとなりやすいと言われています。
特に甲殻類やイトミミズなどの固い部分は消化されにくく、それらを無理やり排泄しようとすると発生すると言われています。
治療法:特に対処方法はなく、消化吸収の良いエサを与えて様子を見るしかありません。クリルやアカムシは避け、人工飼料やハンバーグを中心としたメニューに切り替えると良いでしょう。また稚魚のうちは総排泄口の穴も小さいので、稚魚のうちは特にエサに気を配ってください。
排泄時に脱腸してもすぐに戻るようであれば、大きな問題になることは少ないです。また、脱腸し続けていても排泄さえできていればすぐに死んでしまうことはありません。
魚のコンディションを良く保てれば脱腸した部分が自然と脱落して治ることもあるので、環境を整え、消化吸収の良いエサを与えるようにしましょう。
その他病気について…
他にもかかってしまう病気はあります。下記の記事にて病気の原因・対処方法などご紹介しております。参考にしていただけると幸いです。
飼育用品・環境
水槽サイズ



ディスカスは20cmまで成長する魚になり、基本複数飼育が良いと言われています。
60×45cm水槽以上の飼育をおススメします。
※水量・60cmレギュラー:60ℓ弱 ・6045:約100ℓとなり、フルサイズのディスカス飼育の場合60×45水槽推奨になります。ペア飼育に最適です。
他種との混泳を考えると更に上のサイズの水槽も必要になります。
※ディスカスは他の種に比べ体高があるので45cmの深さがある90cm水槽や120cm水など推奨になります。

※水槽別匹数飼育参考:6045cm水槽 4~5匹 90cm水槽 8~10匹程度になります。奥行もある事を前提にしております。
※ディスカスは自然下では群れつくって生活をしている為、臆病・警戒心などからくるストレスで発色が低下・衰弱の可能性があるので複数飼育をおススメしております。
フィルター
ディスカスは大食漢で餌もハンバーグなど水を汚しやすいものが多いです。水質の変化に敏感な魚なので選ぶ基準として、水槽サイズよりワンランク上のフィルターや濾過能力の高いフィルター、サブフィルターを使用するなどで工夫が必要になります。
※理想的な環境として「オーバーフロー水槽での管理」になります。ご予算に余裕のある方はオーバーフローも視野に入れてみましょう。
※下記の記事にて種別フィルター解説をしております。
水温・水質
水温は27~28℃前後が最適温になります。
※幼魚はやや高めの水温30~32℃が望ましいです。低水温管理の場合慣らす必要があります。
水質はph6~6.5の弱酸性を好みます。
※ワイルド個体ではさらにpHを下げた方が良いです。
下記の記事で水換えについて書いておりますので、参考にしていただければ幸いです。
底床
ディスカスだけの飼育であればベアタンク飼育がおススメになります。エサの食べ残しが多くすぐに回収ができる、掃除がしやすい、管理がしやすいメリットがあります。混泳や水草レイアウトも楽しみたいという方はpHをあげない底床やソイルなどがおススメになります。
※体色の明るいピジョン系品種などは、底床の色が濃いと体色が暗く濃くなってしまいます。美しい体色を楽しむなら明るい底砂を選ぶと良いでしょう。
餌
基本的に餌として与えるものは専用のフード「ディスカスハンバーグ」で問題がありませんが、ワイルド個体は人工飼料に餌付づらく、1日数回与えないと痩せてしまいます。
動物性が強いと言われていますが、ワイルド個体の胃の内容物を調べた所、7割が植物性で残り3割が動物性だったようです。
※ハンバーグは水質悪化を招きやすいので与える量を抑えるようにしましょう。冷凍アカムシはハンバーグに飽きてしまった場合に効果があります。色上げ効果もありますが、慣れるまで食いつきが悪いという点もあります。
レイアウト
水草などと飼育したい方もいらっしゃると思います。ディスカスを繁殖したいと言う方にはベアタンクでの飼育が望ましいです。
※ベアタンク=(飼育する生き物以外いれない飼育方法)
ディスカスは飼育水温が高く、水草の適正水温から外れるので水草自体適していない事になります。ディスカスは底床を敷き詰めたレイアウト水槽には向いていません。

※水草を入れたい場合は、管理がしやすくなるように、ポットに入れた水草や、流木や石に活着させたものを選ぶと良いでしょう。
混泳
本種はサイズが比較的大きくなり、警戒心・縄張り意識が非常に高く、飼育水温も他の熱帯魚に比べ高い事から混泳には注意が必要になります。
サイズが大きく、口に入るサイズ小型の魚・シュリンプなどは混泳NGとなります。
遊泳層同じ熱帯魚も喧嘩をしてしまう事があります。
臆病な面も持ち合わせている為大型の魚との混泳はストレスになり衰弱してしまう事があります。
上記から考えると混泳は難しいです。混泳できる魚は、同じディスカスや低層の魚で大人しいコリドラスやプレコなどになります。
※コリドラス:フルサイズディスカスの口にはいらないサイズ。
※プレコ:セルフィンプレコ(ディスカスの体表を舐めちゃうことがある)とトリム系(気が荒い)はNGになります。
※低層魚でお掃除役:大型になるポートボールキャットの仲間がおススメになります。


※低層魚であっても口に入るサイズの種との混泳は注意が必要です。






ディスカス・同種同士での混泳注意点
1.ディスカスはおびえやすいので、1~2匹での飼育には向きませんので、できる事なら3匹以上からの飼育がおススメです。
2.逆に5匹以上のグループになると、弱い個体がいじめにあうことがありますので様子を見て隔離できるよう準備が必要になります。
※ストレスにより成長不良にもつながります。
繁殖について
ディスカスは水槽内繁殖が可能になり、愛好家も多く改良品種が多く存在しています。繁殖可能な年数は♂で約2年~2年半・♀で1年半~2年と言われています。
※個体の成長速度に差がありあす。
※一般的に頭部の張り出しが強い、腹ビレが長い、背ビレが、尻ビレが長い個体がオスの可能性が高いと言われてます。あくまで傾向であり、個体や品種ごとの体型差や育成環境にもよるので、確実な判別方法ではありません。


雌雄判別方法
ディスカスは一般的に雌雄判別は確実に見分ける事ができません。ペアが確定し販売されている個体のお迎えもしくは若魚から育てて、自然発生したペアを得るのがおススメになります。
ペアリング方法
ディスカスをペアリングするにあたって大きなスペースが必要になります。4~5匹のディスカスを飼育し相性が良い♂♀が求愛行動をし成立するとペアリング成功になります。
※エンゼルフィッシュと同じで、複数匹を入れペアリング成功させる確率をあげる。(複数匹を若魚から飼育して自然とペアが形成される。)
ペアリング成功後の行動として、寄り添って泳ぐ・向かい合ってお辞儀をする・小刻みに震える・ペアで産卵場所の確保(掃除やテリトリー作り)などの行動が見られます。ペアリングがうまくいっていたら水換えをし、pHを少し上げるようにして産卵を促すようにします。
※ペアリングができていない場合の原因例
・成熟不足 ・相性が良くない ・オスメス揃っていない
産卵について
ペアが成立したら産み付ける場所の設置をしてあげます。産卵へのスイッチになるのは、気圧・pH・水温と色々な条件があるようです。
産卵筒を設置していても、水槽の壁面などに産み付けてしまう事もあります。
気圧:台風・大雨・満月などのタイミング ・pH:6.0~7.0 ・水温:27℃~28℃ ・産卵する時間帯16~20時頃
※産卵誘発に必要な物質タンニン・フミン産・ヨウ素etr、である事で考察になりますが、現地アマゾンでの生息環境をみるとピート成分の濃淡でホルモンを刺激してあげるとよいかと思います。

無事産卵が終了し、卵が孵化するまでは3日~5日程度と言われています。水温・水質は繁殖時と同じ条件を守っていただき、白い卵は未授精卵なのでカビてしまうので取り除きます。
産卵周期は2ヵ月になり、稚魚育成が終わってから1か月後にまた産卵を始めます。
♂の成熟は♀より遅く、そのため最初の産卵などは♂の性成熟が足りず、無精卵などが多くなる事が多く自ら食卵してしまうことが多いです。
※産卵が上手くいかなく、食卵が多い場合♂の性成熟が足りない可能性があります。(♂の方が成長が早く♀より大きい事が多いので注意が必要になります。)
稚魚育成
水質・水温管理
稚魚の育成は飼育する親個体以上に水質の維持が大事になります。水質の急激な変化がロスへと繋がってしまいますので、極力水換えをせずフィルターのみでの水質維持が必要になります。またご使用のフィルターにより、吸い込まれないように工夫をしてあげる必要があります。
※水換えが必要になった場合は1/5程度の水換えにします。
稚魚の餌
孵化直後は何も食べられないので何も与えません。ディスカスは親魚から「ディスカスミルク」と言われる分泌物を体表からだし親個体が稚魚の世話をします。
1週間程で稚魚は親から離れて餌を食べる様になります。親から離れるタイミングで親を別水槽へ隔離し稚魚のみでの育成を行うようにします。
稚魚に与える餌は栄養化のあるブラインシュリンプの幼生を与えます。1か月~2ヵ月経過しある程度の大きさになったら、成魚と同じ餌(ディスカスハンバーグ・人工飼料)に切り替えるようにしていきます。※餌の与えすぎによる水質の急変・悪化には注意し、30分程で食べきる量を与えるようにします。
※ディスカスミルクを与える親魚は体色が黒くなります。
稚魚は親魚の体色が黒くなると。体表に集まってくるため。ソリッド系やアルビノ系のような体色が黒くなりにくい品種では、子育てが上手くいかない事があります。
稚魚の成長が遅かったり、たくさん稚魚が生まれても途中で死んで数がすくなくなってしまうことがあります。
これらの品種はディスカスミルクからブラインシュリンプになるべく早く切り替えられるタイミングを見極めるのが重要になります。
まとめ




熱帯魚の中でも飼育が難しいとされているディスカスになりますが、昔に比べ用品・専用のフードも充実し、当時にくらべると飼育の難易度は下がってきています。
カラーバリエーション、柄のパターンも多くコレクション性も高い為、多くの品種を飼育、自分の好みの1品種での飼育、水槽内繁殖も可能なので自分の好みを作出など、多くの楽しみ方がある、魅力的な種になります。
是非「熱帯魚の王様」をお迎えし、身近でその魅力を堪能していただきたいと思います。
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