ポタモゲトン・ガイー<水草解説>

水草・レイアウト
水草・レイアウト

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介する水草はポタモゲトン・ガイー。

古くから入荷量も多いポピュラーな水草です。
しかし、入荷量の割に水草レイアウトにおいてはややマイナーな存在です。

半透明の涼しげな葉を持ち、気泡も付けるので清涼感のあるレイアウトの演出にもってこいな種ではあるのですが、なぜか人気も知名度も他の人気種に比べ今一つ劣るようです。

しかしいくつかのポイントを押さえれば、他の水草ではなかなかマネできない表現ができる水草です。
今回はそんなポテンシャルの塊ともいえる、ポタモゲトン・ガイーのあれこれについて掘り下げていきましょう。

ポタモゲトン・ガイーとは

生物学的情報
名前ポタモゲトン・ガイー
別名ポタモゲトン・ガイ
ポタモゲトン・ガーイ
学名Potamogeton gayi
分類ヒルムシロ科ヒルムシロ属
分布南米
育成要件
主な用途後景草
水温20~25℃
pH5.0~7.0
光量60cm水槽で2400lm程度
CO2添加できれば添加

ポタモゲトン・ガイーは細長い半透明の葉を持つ南米原産の水草です。
どこか涼しげな印象を与える草姿で、見た目は繊細な印象があります。

南米産の水草は一般に育成が難しいイメージがあります。
しかし、本種は比較的水質の適応範囲が広く、弱酸性~中性(pH5.0~7.0程度)まで幅広く適応します。
したがって、育成はどちらかといえば容易な部類に入ります。

60cm水槽で2400lm以上のある程度強めの光量と、CO2添加を行うことで美しく育成することが可能です。
水温は気持ち低めのほうが調子が良いです。

レイアウトでは後景草としてまとめ植えすると有効です。
ただし、本種をはじめとしたポタモゲトンの仲間は、水の流れにたなびき水面に出たがるように伸びる性質があります。

この性質がレイアウト水槽では敬遠されがちですが、逆に腕の見せ所ともいえます。

流れのあるレイアウトなどで逆に有効活用してやると、清涼感たっぷりのレイアウトが表現できます。
モノも水草も、適材適所。

要は、使いようです。


類似種との違い

ポタモゲトンの仲間は日本にも多く自生しています。
流通が多く、入手しやすいという点ではこのガイーが一番となるでしょう。

ポタモゲトン・オクタンドルス

学名:Potamogeton octandrus
別名:ホソバミズヒキモ、ヒメヒルムシロ

国内にも自生するポタモゲトンです。
和名ではホソバミズヒキモと呼ばれます。

ガイーに比べるとかなり細長く、後景に密生させるとその特徴を活かせます。

緑色の半透明の葉が気泡を付けて水流にたなびく姿は目を見張るものがあります。
十本単位でまとめ植えすると良いでしょう。

生長は早く、底床内を地下茎が這ってランナーを出すように増えたり、枝分かれにより増えます。

思わぬ所から生えてくることもあり、ガイー以上にトリミングで伸長をコントロールするのが重要です。

ヤナギモ

学名:Potamogeton oxyphyllus

東南アジア全域に分布するポタモゲトンです。

本種の和名はヤナギのような沈水性の葉を展開するところから来ています。
和製ポタモゲトン・ガイーといった表現が合う種で、全体的な雰囲気もよく似ています。
ガイーよりも葉の幅がさらに狭い点で区別できます。

水草レイアウトではガイーよりも大型化しやすい傾向があるので、後景に配置することで透明感のある緑の葉が水にたなびき流動感と躍動感を与えます。

ヒルムシロの中では育成が簡単で、底床に肥料分が十分にある環境であれば特に問題なく育てられます。
後景の流れのある所にまとめ植えするとよいでしょう。

本種は日本にも自生しており、用水路やそれ程手が入っていない小川などにはふつうに見られます。

流通量はそれほど多くありませんが、国産ポタモゲトンの中では比較的自然下での数も多いため、自然の多く残る地域では見つけやすい種類といえるでしょう。


レイアウトのコツ

ポタモゲトン・ガイーをレイアウト水槽に用いる場合、基本的には後景草となります。

ただし、流れがほとんどない止水域を再現したレイアウトや、「ダッチアクアリウム」と呼ばれる整った花壇のような植栽をメインとするレイアウト水槽との相性は良くありません。
草姿が整いにくいので全体のバランスが崩れてしまいやすく、本種の特性を活かしづらいです。
整然としたイメージのレイアウトは、本種には不向きです。

ガイーの個性を最大限に活かすなら、「水の流れ」を意識したレイアウトで用いると良いでしょう。
清流や渓流などの河川をイメージした、清涼感あるレイアウトに向いています。

なお、水槽全体に水流を作る必要はありません。
例えばフィルターからの排水が葉に当たるように植栽位置を調節すると良いでしょう。

用意するアイテム

ポタモゲトン・ガイーを用いたレイアウトを作り上げる上で、必要となるアイテムを紹介します。

底床

ソイル、大磯砂、砂などが使えます。
サンゴ砂のような極端にアルカリ性に傾ける底床以外は、ほとんどなんでも利用可能です。
底質はあまり選ばない水草です。
お好みのレイアウトの雰囲気に合うものを選んで構いません。

なお本種の育成に限った理想を言えば、ソイルと珪砂の混合底床が良いでしょう。

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底床の量は30cm水槽で最低3L、60cm水槽で9L程度用意します。

底床量の目安
30cm水槽2~3L
60cm水槽8~9L
90cm水槽18L
120cm水槽27L

ピンセット・ハサミ

ピンセット
ハサミ

ポタモゲトン・ガイーは適切な環境であれば成長は速いです。
必要に応じてトリミングしましょう。

水面に出たがる性質があるので、頂芽が水面に達しそうならカットして差し戻すと良いでしょう。

植え込みやトリミング時に草体を抑えるピンセットと、カット用のハサミがあると大変作業がはかどります。

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照明

ポタモゲトン・ガイーを美しく育てるには、ある程度強い光が必要です。
60cm水槽で2400lm程度が目安です。

CO2添加システム

ポタモゲトン・ガイーを美しく育てるには、添加した方が良いでしょう。
60cm水槽で1滴/3秒を目安に添加します。

気持ち控えめに添加するのが、美しく育てるポイントです。

CO2を添加することで、これだけ美しく気泡を付けた姿が見られます。

フィルター

CO2を添加する場合、フィルターは添加したCO2が逃げにくい外部式フィルターがおすすめです。

肥料

ポタモゲトン・ガイーは適度な肥料分のある環境を好みます。

特に液肥は有効で、入れてすぐ効果が実感できるでしょう。


オススメの生体

ポタモゲトン・ガイーを採用する水槽にオススメの生体です。

主役の魚
インパイクティス・ケリー
エンペラー・テトラ
ヘッドアンドテールライト・テトラ
コリドラス・ピグミー

水質をあまり選ばないので、多くの熱帯魚と合います。

「水流のある環境を好む」「若干低めの水温を好む」この2点を満たす生体とは特に相性が良いです。

気持ち低めの水温と水流を好む南米産の種と組み合わせると良いでしょう。

流れがあってもビュンビュン泳ぎ回る小型カラシンの仲間や、ミニコリ系のコリドラスなどがおすすめです。

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実は正体不明種?

ポタモゲトン・ガイーの名で流通する本種。
実は、正体不明の種とも言われています。

ガイーだけでなくアクアリウム用に流通する水草の中には、同定が間違っていたり、流通過程でついた名前が定着したものも少なくありません。

とはいえ、これらの水草は観賞用として販売されています。
あまり厳密に追求しすぎても、「レイアウトを楽しむ」という本来の目的から逸れてしまうかもしれません。

さらに、ガイーをはじめとしたポタモゲトンの仲間は雑種を作ることも多く、厳密な同定は非常に困難なグループの一つであることも知られています。

よく見かける”ガイー”が本物かどうかはともかく、水草水槽において魅力的な有茎草であるという点は間違いないでしょう。


ポタモゲトン・ガイー まとめ

流れを意識したレイアウトにベストマッチ!
  • ポタモゲトン・ガイーは半透明の緑の細葉が美しい有茎草の水草です。
  • 水質もさほど選ばず、南米産の水草にしては育成も容易な部類に入ります。
  • 流通量も多く入手しやすい種ですが、水草レイアウトにおいてはマイナーな存在とされています。
  • 流れにたなびき、水面に出たがる性質があるので整然としたレイアウトでは扱いにくいです。
  • 渓流や清流をイメージした水の流れを強く意識したレイアウトで特に有用です。
  • 実は正体不明種とも言われています。
    いずれにせよ、魅力的な有茎草であるという点に関しては変わりありません。
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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

コメント

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