アクアリウムでいうスネールとは
アクアリウムにおいてスネールというと予期せず紛れ込んだり、発生したりした巻貝を指します。
種類はモノアラガイやサカマキガイ・ヒラマキガイなどですが、特に種類の指定はなく総称として「スネール」と呼ばれることが多いです。
スネールの害
スネールが水槽内で発生しすぎると水草が食害され、水草がボロボロになってしまいます。特に柔らかい新芽部分を食べられてしまう事が多いです。水草の成長を阻害されてしまうだけでなく、アクアリウムで大切な「美観」を脅威的な繁殖力でもって損なわせます。目につく部分の至るところがスネールだらけ……という事態にもなりかねません。観賞性を大きく低下させる要因の1つになるため、見つけ次第早めに駆除するのがよいでしょう。
スネールの流入経路
そもそもなぜ入れた覚えのないスネールが水槽内に発生するのでしょうか?
原因のほとんどが「購入した水草に小さなスネールやスネールの卵が付着していた」ことです。スネールの卵やふ化したばかりのスネールは非常に小さく透明度が高いもの。さらに、必ずしも水草の表面に付着しているとは限りません。スネールやスネールの卵が水草に付着していることに気づかず、そのまま水槽に導入して水槽内で繁殖してから発見、というのがお決まりのパターンです。
目視で確認する、水ですすぐなどの下処理を行ってから水槽に水草を導入するとよいでしょう。
チャームで行っているスネール対策
残念ながら現状では100%スネールの混入を防ぐには至っていません。国内で栽培され流通しているファームほとんどには害虫・スネールなどが混入しています。大手ファームの水草への混入も確認されている事から、水草を取り扱っている販売店では少なからず害虫・スネールが混入している可能性があります。チャームでも水草の出荷時に手作業でのスネール・害虫除去作業を行ってます。ただし、極小サイズの個体や卵は除去しきれないのが現状です。
水槽内にスネールが発生したらどうするの?
注意していてもスネールが発生することも少なくありません。スネールを確認したら速やかに対策・駆除しましょう。
スネールが増殖しやすい環境について
アクアリストの誰もが、スネールの増殖を阻止したい!と思うことでしょう。では、スネールが増殖しやすい環境というのはどのようなものなのでしょうか?
まずは弱アルカリ性の硬水です。硬水には殻の原料となるカルシウムが豊富に含まれています。スネールの成長には最適な環境となり、増殖しやすくなります。
また、多くの水草の育成に最適な環境である弱酸性の軟水でも増殖しやすくなる条件があります。底床に砂や砂利を多く使っていたり、石組みレイアウトを組んでいたりする場合が該当します。石や岩などにはカルシウムが含まれています。カルシウムが弱酸性の水にさらされることで溶けだした結果、スネールが殻を作るのに利用されて増殖につながりやすくなるのです。
また、栄養過多によりコケが多くなってしまった水槽ではスネールが増殖しやすくなります。
給餌量が多い・光量が強い・導入している生体の数が多いなど原因や理由は様々です。コケの発生が多くなってきたら飼育環境を見直すよう心がけましょう。
スネールを対策・駆除する方法
では、ここからはいよいよスネールの対策・駆除方法について解説していきます。スネールの対策・駆除にはいくつかの方法があります。
・手で取り除く
・スネール対策・駆除用品を活用する
・天敵となる生体を導入する
・水槽をリセットする
手で取り除く
スネールが発生した直後で個体数が少なければ、地道に手で取り除いていくのが確実です。
高額な費用がかからないというメリットがあるものの、手間がかかるうえに目視作業のため稚貝などの特に小さいスネールは見逃しがちになるデメリットの方が大きく、根本的な解決とはいいづらい方法です。
スネールを手で取り除く場合は、「貝転キャッチャー」という製品がおすすめです。スネールを見かけた時にすぐに取り除けるので増殖を抑えることができます。
「貝転」と名のつくように、透明のローラー部分が回る事でスネールを巻き込んでキャッチしてくれる仕組みです。
スネール駆対策・除用品を活用する
スネール対策に有効な成分を含んだ用品を活用することで、手動よりも確実・効率的にスネール対策が行えます。
GEX 貝とーる 本体▽
誘因の素もご一緒に▽
プラナリアゼロ▽
天敵となる生体を導入する
人力ではなく「生物に頼る」という方法もあります。水槽内にスネールの天敵となる生体を導入することでスネール除去を行う戦法です。スネール除去に有効といわれる代表種をご紹介します。
アベニーパファー
淡水で飼育できる小型のフグです。愛嬌あるしぐさやかわいらしい見た目からメインの生体としても飼育されています。飼い込まれたアベニーパファーであれば積極的にスネールを捕食してくれますが、アカムシしか食べないなどの個体差があるほか、エビやカニなどの甲殻類も大好物です。ミナミヌマエビなどの小さなエビを食べられてしまわないように注意しましょう。
キラースネール
インドネシア、タイ、マレーシア原産の淡水性のエゾバイの仲間です。貝なのに小型巻貝を食べることからこの名が付きました。別名「アサシン・スネール」とも言われています。海産種と同様に一対の触覚と長い水管が特徴的で、水槽内でも底砂に潜って水管を伸ばしている様子を見ることができます。
アノマロクロミストーマシー
ギニア・リベリア原の全長7cmほどまで成長する小型のシクリッドです。機動力が高く積極的にスネールを捕食してくれます。体側の黒い3つのスポットが特徴で、ヒレとボディに見られる赤と青の色彩も美しい観賞性にも優れる種類です。
水槽をリセットする
最も効果的な方法が水槽をリセットすることです。水槽のリセットは大がかりな作業ではありますが、スネールの卵まで確実に根絶できます。スネールの卵は乾燥や低酸素状態などの環境にある程度は耐性があります。リセットのには水槽やレイアウト素材などをしっかりと行いましょう。その後、天日干しをして紫外線を当てつつ完全に乾燥させることが重要です。
リセットのデメリットは、定着したバクテリアまで死滅してしまう可能性があることです。なるべく早く水質を安定させるために、飼育水は可能な限り保存しておくと良いでしょう。
どうしてもスネールを混入させたくない場合
中には「どうしてもスネールや害虫が水槽内で発生させたくない!」という方もいらっしゃるでしょう。そんな方におすすめしたいのが水上葉からの組織培養水草です。無菌室で培地によって培養された水草は育成には時間がかかりますが貝の混入は限りなく避けられます。ある意味この方法が最強のスネール対策と言えるかもしれませんね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
水槽の厄介者「スネール」の生態とその対策・駆除方法についてご紹介しました。
今まさに水槽内にスネールが増殖して困っていた!という方にもこれからアクアリウムを始める方にも有益な情報だったのではないでしょうか?
トラブルを乗り越え、楽しいアクアリウムライフをお過ごしください!
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