5分でわかる!症状から判別できるベタの病気<ベタの教室5限目>

ベタ
ベタ

こんにちは、5分でわかる!のスズキです。
「初心者だけど、きれいな熱帯魚を飼いたい」ならベタも選択肢の一つ。
観賞価値の高い立派なヒレは、“育てながら見映えを鍛える”という育てがいがあります。
酸欠に強く、低水温や水質の悪化にも対応できる丈夫さもベタならではでしょう。

今回の授業は、ベタの病気について。 
ヒレ、泳ぎ方、体型、ウロコ・体表にカテゴリを分けた上で
症状名からどんな病気にかかっているかをわかるようにしました。

ヒレに異常が現れるベタの病気

尾腐れ病、コショウ病、白点病、水カビ病が挙げられます。

ヒレがとける

ベタがかかりやすい病気の一つで、尾腐れ病に見られる症状です。尾腐れ病は進行が早く、発見が遅れると治療が困難な病気です。
原因となるカラムナリス菌は、感染先でタンパク質分解酵素を分泌し、組織を壊死させながら侵食していきます。口に感染すれば口腐れ病、エラに感染すればエラ病と呼び方が変わります

症状名尾腐れ病(カラムナリス感染症)
初期症状ヒレの先端が白く濁り、周囲が赤く充血する
重症化するとヒレがパサパサと残るだけになり、やがて死亡する
原因カラムナリス菌による感染
→水質が悪化している
 ヒレの外傷をきっかけに感染することも
対処法エルバージュエース、グリーンFゴールドなど
黄色の抗菌剤が有効
予防策定期的に水換えを行う
ヒレを傷つける流木や石を置かない

非常に細かな白い点々がある

ベタがかかりやすい病気の一つで、体表に非常に細かな白点がつくのがコショウ病の症状です。原因はウーディ二ウムという寄生虫が体表につくことで、白いコショウをふりかけたような症状からその名が付いたとされています。

春先や秋口など、水温の変化がある時期に発生しやすい病気です。白点病に似ていますが、コショウ病の白点は非常に細かいために気付きにくく、発見が遅くなりがちです。感染力が強く、進行も早いことから悪化しやすい点に注意してください。予防には塩分が有効です。

症状名コショウ病
初期症状白点は見えないが底床や石などに体をこすりつける
重症化すると全身が白点に覆われてしまい、治療困難に
原因ウーディニウムと呼ばれる原生動物の寄生
→発見が遅れると爆発的に増え、感染拡大の恐れ
水温の急低下時に発症しやすい
梅雨、秋の水温が不安定な時期に発症しやすい
対処メチレンブルー、マラカイトグリーンなどの青系の
色素剤または塩素系の魚病薬



予防策塩分を入れる
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白い点々がある

白点病に見られる症状です。魚の風邪ともいわれるほどよくある病気の一つで、早期発見できれば完全治癒は難しくありません。
原因となる白点虫は、寄生した魚の体表で魚から養分を奪って成長します。十分に成熟すると魚から離れて「シスト」を作り仔虫を増殖、新たな世代を水槽内に放出します。爆発的に増えるので、できる限り早く対処したいものです。ただし、薬品は白点虫が魚体が離れた成虫、あるいは泳ぎ回る仔虫に対してのみ効果があることに留意してください。

症状名白点病
初期症状ヒレや体表に細かい白点がぽつぽつと見られる
重症化すると全身が白点に覆われてしまい、治療困難に
原因白点虫と呼ばれる原生動物の寄生
→発見が遅れると爆発的に増え、感染拡大の恐れ
水温の急低下時に発症しやすい
梅雨、秋の水温が不安定な時期に発症しやすい
対処メチレンブルー、マラカイトグリーンなどの青系の
色素剤または塩素系の魚病薬



予防策ヒーターで水温を安定させる
水換え時は飼育水の水温に合わせてから注水する

綿っぽいもの、モヤモヤしたものにおおわれる

水カビ病に見られる症状です。外傷または尾腐れ病、穴あき病などによる傷口に糸状のカビ菌が寄生することで発症します。なお、他の病気から白カビ病にかかるパターンが多く、この場合は発見が遅れたときと同様に対処が難しいです。外傷は混泳相手とのケンカやレイアウト素材が原因になることがあります。問題がないかチェックしましょう。

症状名水カビ病(綿かぶり病)
初期症状ヒレや体表に白い綿のようなものが付着する
重症化すると出血する
原因傷口にミズカビ属の糸状菌類が寄生
対処メチレンブルー、マラカイトグリーンなどの青系の
色素剤。可能であればカビはピンセットでなどで除去


予防策混泳に問題ないかチェック
とがっている石や流木、アクセサリーを置かない

ヒレが閉じている、ヒレが開かない

→ページ下部の「病気ではなくてもケアが必要なベタの症状」の項目をご覧ください。

泳ぎ方に異常が現れるベタの病気

転覆病が挙げられます。

逆さまになって泳ぐ

転覆病に見られる症状です。餌が食べられる場合は命に別状はありませんが、あまりにも体勢が苦しいと餌を食べられなくなってしまうこともあります。

症状名転覆病
初期症状泳ぎが不安定になり、水面に浮き上がる
重症化するとひっくり返る
原因浮き袋の異常
→急激な水温の変化、消化不良、浮上性の餌の継続
給餌
対処ヒーターで水温を上げる
消化性が高い・沈下性の餌に切り替える
消化不良の場合は一週間程度絶食する
予防策エサをやりすぎない
ヒーターで水温を安定させる
免疫維持をサポートするエサに切り替える
低水温用の消化の良いエサに切り替える

免疫維持にオススメ

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体型に異常が現れるベタの病気

腹水病が挙げられます。

お腹が風船のようにふくらむ

腹水病に見られる症状です。エロモナス・ハイドロフィラと呼ばれる細菌によって消化器系を中心に内臓疾患を起こし、お腹に水がたまるものです。原因菌は消化器官に感染しているため、体表だけの薬浴ではほとんど効果がありません。ポップアイ(眼球が飛び出す)や松かさ病(ウロコが逆立つ)を併発しやすく、難治性の高い病気です。

症状名腹水病
初期症状元気がない。エサを食べない
重症化するとお腹が膨張して白いフンを出す、出目金のように
眼球が飛び出す
原因エロモナス・ハイドロフィラと呼ばれる細菌の感染
→水質が悪化、水温が高い時期に発症しやすい
 酸化が進んだ古いエサにより消化器官がダメージ
を受けている
対処エルバージュエースが有効
予防策必要に応じてクーラーを設置する
定期的に水換えを行う
古いエサを与えない
免疫維持をサポートするエサを与える

免疫維持にオススメ

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ウロコ・体表に異常が現れるベタの病気

コショウ病、白点病、水カビ病、松かさ病、水泡症、穴あき病が挙げられます。

非常に細かな点々がある

→「ヒレに異常が現れるベタの病気」にある項目からご覧ください。

白い点々がある

→「ヒレに異常が現れるベタの病気」にある項目からご覧ください。

綿っぽいもの、モヤモヤしたものにおおわれる

→「ヒレに異常が現れるベタの病気」にある項目からご覧ください。

ウロコが逆立っている

松かさ病に見られる症状です。エロモナス・ハイドロフィラに感染することで引き起こします。穴あき病の原因であるエロモナス・サルモニシダと同属で、「エロモナス菌」とも呼ばれます。原因菌は消化器官に感染しているため、体表だけの薬浴ではほとんど効果がありません。水温が高いほど増殖しやすい菌で、一般的に病気治療に有効とされる加温は逆効果です。同属の菌類でも対処法が異なる点に注意してください。難治性で再発しやすい病気のため、予防に努めましょう。

筋肉または内臓が飛び出している

穴あき病に見られる症状です。低水温期の春や秋に発症しやすいとされています。ウロコがえぐられ、筋肉や内臓が露出した姿は痛々しいもの。なるべく初期のうちに対処してあげましょう。ウロコは治療によって再生しますが、並び方は多少いびつになってしまうようです。

症状名穴あき病
初期症状ウロコの1枚が充血する
重症化すると筋肉や内臓が露出する
原因エロモナス・サルモニシダと呼ばれる細菌の感染
水温が低い時期に発症しやすい、水質悪化で細菌が増殖しやすい
対処エルバージュエース、グリーンFゴールドリキッド、
観パラDなどの黄色の抗菌剤が有効
予防策ヒーターで水温を安定させる
定期的に水換えを行う

さらに詳しく知りたい方はこちら

病気ではなくてもケアが必要なベタの症状

以下は病気が直接の原因ではなくてもケアが必要な症状についてです。

ヒレが開かない、ヒレが閉じている

栄養不足や水質悪化、体調不良などさまざまな原因から起こる症状です。コショウ病や尾腐れ病など、他の病気と併発することもあるようです。狭いビンなどで飼育している場合は運動不足を一番に疑いましょう。

ベタのヒレは、泳いだりフレアリングをしたりすることで美しさが保たれます。ヒレが開かないままの状態でいると、元に戻らない可能性があります。タイなどのベタのブリーダーの間では、ヒレの保護にマジックリーフが好んで使われます。

病原菌が繁殖しにくい環境作りのために

病原菌の繁殖しにくい水質にすることで、ベタを病気から守りましょう。

マジックリーフ、ブラックウォーターを使用する

ベタが生息するブラックウォーターはpHが低く、病原菌が繁殖しにくい環境です。
マジックリーフやブラックウォーターは生息地の環境に近づけてくれるだけではなく、pHを下げることでベタが病気になりにくい水質を作ることができます。

ブラックウォーターにはタンニンなどの物質が含まれています。これらの物質が病原菌の繁殖をある程度抑えることで病気の予防として有効です。ただし、ブラックウォーターに含まれる成分が魚病薬の作用を阻害してしまうことがあるため、病気の治療には使えません。

あくまでブラックウォーターは“病気が出にくい環境づくりに役立つ”もので、殺菌および治療効果はありません。

水槽に塩分を加える

飼育する水槽、換水の際には少量の塩分を加えることで、病気を予防することができます。

ヒレや体表のスレを防ぐ

粘膜保護剤を含むコンディショナーを使うと良いでしょう。
傷みやすいヒレなどを保護することで病気にになりにくい環境を整えます。

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ベタの本場、タイで使われる専用コンディショナー。
小さな容器での飼育時に起きやすいヒレの癒着に効果絶大!世界中のベタ愛好家が使用しています。

水質が悪化しにくい環境にする

水質悪化は魚の不調を招き病気にかかりやすくなります。特に小さな容器での水質悪化が顕著です。
バクテリア剤の添加やアンモニアを除去、吸収するコンディショナーを使って水質悪化を遅らせるのも有効です。

水換えが一番の環境改善

ベタの場合は小さな容器での飼育も多いため、水質悪化や病気の進行が早くなります。
小型容器は手早く水換えできるので、調子が悪いと思ったらすぐに水換えするのも手段の一つです。
水換えには以下の効果があります。

・病原になる菌や寄生虫を水槽内から減らすことができる
・アンモニアや硝酸塩を下げることができる

換水の際には塩とマジックリーフ、粘膜保護剤などを導入してベタのために調整した水を使ってあげれば完ぺきです!

まとめ

今回は、ベタの病気についてお届けしました。
ベタがかかる病気のうち、特に多いのは「尾腐れ病」と「コショウ病」です。白点病はあまり見ないかもしれません。

病気は発見が早ければ完治できる場合もありますが、発症後の治療は基本的に難しいことも多いです。
ベタの場合、たとえ完治してもヒレが元通りに戻らないなど、一度病気になってしまうと鑑賞価値が落ちることが多くあります。まずは病気にかからないよう、予防に努めてください。

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