5分でわかる!メダカの形質③虹色素胞(ラメ、体外光など)<メダカの教室21限目>

メダカ
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こんにちは、メダカ担当のスズキです(魚ではありません、人間です)。
世の中のメダカブームに乗ってメダカを飼い始めた人も多いのではないでしょうか。
「メダカの教室」は、そんなビギナー向けのなるほどシリーズです。

今回の授業は、メダカの形質その③として、光る体色を表現する虹色素胞の形質について解説します。
形質とは、平たくというと生物が持っている特徴のことです。
改良メダカの形質を知っておくことで品種解説の理解が深まるでしょう。
品種改良にチャレンジしてみたい方にも役立つ知識です。

虹色素胞とは

多様なカラーバリエーションを持つメダカの体色は、色素胞と呼ばれる細胞が関係します。色素胞の中には色の素となる色素顆粒が詰まっていて、この色素胞や色素顆粒の量と分布が体色や模様を決めているのです。メダカの場合、鱗に黒・黄・白・虹の4種類の色素胞があり、体色を黒色、黄色、白色と名前のとおりに見せます。ところが虹色素胞による表現はキラキラしており、銀白色や反射光といった表現が適切でしょう。

虹色素胞は色素物質を持っておらず、板状になったグアニン結晶が等間隔で層をなす構造により光を屈折させて乱反射させるといわれています。虹色素胞は光反射性色素胞とも呼ばれ、メダカ以外ではサンマやイワシといった銀白色に輝く魚にこの虹色素胞が分布しているほか、グッピーやベタといった観賞魚の改良品種でも虹色素胞に改良を加えたものが多く存在しています。

虹色素胞によって表現される形質

ラメ

ラメは鱗の1枚1枚に光が発現するメダカで、鱗片に虹色素胞が集まることできらめくような光を表現します。透明鱗には発現しません。

かつてのラメは鱗の数枚程度しか光らず、ラメの色も銀(白)色が主流でした。そんなラメを幹之(体外光)と交配させることで体を覆うほどのラメの発現に成功し、ここからラメの人気は高まっていくことになりました。

現在ではラメのカラーバリエーションも豊富ですが、色ラメの概念が登場したのは2022年以降とつい最近のことです。

ラメと体外光の違い

ラメ…鱗片に光が発現する個体
体外光…背中に光が発現する個体

厳密な定義はないものの、一つの方向から20枚以上の光があればラメに分類されます。

ラメ(多色)

ネプチューンゴールドタイプメダカ 

ラメ(青)

サファイアメダカ

ラメ(琥珀)

琥珀ラメメダカ

ラメは白(銀)を基本色としてその後、多色や青、緑などが出現してきました。「夜桜」などのように、オーロラ系の品種が交配に絡むと多色のラメになりやすいようです。
近年では、青ラメ→サファイア、緑ラメ→ミント、ピンクラメ→さくらのように、ラメの色を統一する方向での改良が見られます。

体外光

体外光は背中に青白い光が発現するメダカです。体外光の歴史は「幹之みゆき」から始まり、現在見られる体外光系品種は、ほぼすべてが幹之メダカから派生したもの。カラーバリエーションに加えて光が発現する部位のバリエーションも見られます。

体外光は虹色素胞が背中に異所的に発現したものと考えられており、背ビレの付近から頭にかけて光が伸びるのを基本形に、口先まで体外光が発現する個体は優良な個体として扱われます。

体外光の特徴として以下のことが挙げられます。

相性が良い:青、白、黒系の色彩⇒同時に遺伝しやすい
相性が悪い:赤・オレンジ・黄色系の色彩⇒同時に遺伝しにくい

黄色素胞を持つと発現しにくく、欠損していると発現しやすいとされています。
最近は「アマテラス」や「菊銀紅玉」など、赤系体色と体外光を組み合わせた品種も近年ではちらほらと現れているようです。

体外光(白)

体外光(緑)

体外光(鱗光)

鱗光紅白メダカ




鱗光は網目のように体外光が発現する形質。
「鱗光」「ブロンズ」「王妃」に見られます。

体外光(三色)

朱光菊美人メダカ

背中が光っていても……ヒカリ体型の光は体外光ではありません

ヒカリ体型の光は、腹部の虹色素胞が背中に転移したもので、上から見ると背ビレより前部分が光ります。ヒカリダルマ体型の光も同様です。光の色は銀色のみ。パンダのように腹部の虹色素胞が欠如するメダカには発現しないのも特徴です。

銀帯メダカ(シルバーヒカリメダカ)

一方、体外光は虹色素胞が背中に異所的に発現したものと考えられ、背中の光は長くどの体型にも発現します。虹色素胞は各ヒレにも発現し、光の色は青または青白く、厚みがあります。

体内光

体内光は体内に青白い光が発現するメダカです。光の層が横向きの板状に発現するため、上見でしか光を見ることができません。

作出された当初は背ビレを起点に体長の半分近くまでしか光は発現しませんでした。その後、胸ビレ付近まで光る「スーパー体内光」と呼ばれるグレードの高い品種が登場しています。

全身体内光

全身体内光は、体内のほぼ全域、またはまばらに光が発現するメダカです。透明鱗、半透明鱗(オーロラ)の個体に発現します。体内光と同じく上見でしか光を見ることができません。

鱗の持つ独特な透明感によって、光は体内光よりも鮮やかです。光の発現する位置に決まりはなく、まばらに光るもの、体一面に光るものがいます。光の色はグラデーションカラーで、青や緑、オレンジなどさまざまです。

腹膜光

腹膜光は体内の腹膜部に光が発現するメダカです。全身体内光と同様に、透明鱗、半透明鱗(オーロラ)の個体に発現し、光は体内光よりも鮮やかです。光は上見でしか見られないこと、光の色がグラデーションカラーであることも同様です。

透明鱗のメダカを除き、メダカには腹膜を覆うように虹色素胞があることで銀色に見えますが、腹膜光は腹膜を覆っていません。

ヒレライン

ヒレラインはヒレの軟条に沿って線状に虹色素胞が発現するメダカです。モルフォからの派生品種である「モルフォ亜種」のハウスネームで知られています。

ヒレラインに近しい形質として、「一周光」「ヒレ光」があります。

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まとめ

今回は、メダカの形質のうち、虹色素胞ついてお届けしました。
次回は形質の最終回としてヒレ変化について解説します。
それでは次の授業をお楽しみに!

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