アクアリストが覚えておきたいHz(ヘルツ)の話

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日本には60Hz(西日本)と50Hz(東日本)の2つの周波数が存在します。そのため、電気で動くアクアリウム機材は、日本の50Hz/60Hz(ヘルツ)問題と切っては切れない関係にあります。
何となく知っているヘルツ問題を、日本に住む以上は必ずご理解いただきたい。そして「間違ってヘルツ違いを買ってしまった」という日々繰り返される悲劇を1件でも減らしたいのです。
今回は、そんなスカイツリーよりも高い志とともに、この深刻な問題についてご説明しましょう。

Hz(ヘルツ)とは何か

まず大前提として、家庭に送電される電気は交流電流です。その交流電流における「周波数」とは1秒間に繰り返す電気の波(電極の入れ替わり)の数のことで、例えば50Hzというと1秒間に50回の電気の波が発生していることを意味します。その波の単位をHz(ヘルツ)と呼びます。
ちなみに直流電流は常に一定の方向に電気が流れ続けているため、電極の入れ替わりは行われません。

異なるHz(ヘルツ)の器具を使用したらどうなるのか

現在、日本には60Hz(西日本)と50Hz(東日本)の2つの周波数が存在するため、それぞれの地域の周波数に合った電化製品を使用しないといけません。それを東日本(50Hz地域)で60Hzの商品を使うというように、ルールを破ったらどうなってしまうのでしょうか。

一般的に、異なる周波数の器具を使用すると、正常に動作しない、製品が破損することがあります。それどころか、最悪の場合は火災等の危険性が考えられます。これは危ない。非常に危ない。電化製品は使う前に地域に合った正しい周波数の商品なのかどうかをしっかり確認して使用しないといけません。

そもそもなぜ日本には2つのHz(ヘルツ)が存在するのか

そんな危険な可能性があるにもかかわらず、そもそもなぜ2つのHzが日本に存在するのでしょうか。(ちなみにこんな小さな国の中で周波数が2つに分かれているのは日本ぐらいなのです。)
その理由は、今から130年ほど前にまでさかのぼります。時は明治時代、鹿鳴館では仮装舞踏会が最盛期を迎え、富国強兵、殖産興業のスローガンのもと、エジソンが世界初の電灯事業を開始してから5年後には早くも電灯事業が日本でも開始されました。

白熱電球を発明をしたのはアメリカの発明家トーマス・アルバ・エジソンです。

電気事業に欠かせない発電機を外国から導入した際、東京にはヨーロッパの50Hzの発電機を、大阪にはアメリカの60Hzの発電機を導入してしまったのです。すると東京を中心とする関東には50Hzが、大阪を中心とする関西には60Hzがみるみる普及。そうなったらもう後には引き返せなくなり、日本を東西に分けたヘルツ問題は130年近くたった今もなお引きずることになるのです。

毛細血管のような送電網が日本全国に敷かれ、電気が普及しまくる前の早い段階で、「ごめん、ごめん統一しよ!」と誰かが本気で言い出すべきでした。子孫たちは苦労してますよ!ご先祖様!

明治⇒大正⇒昭和⇒平成と時を経て、先祖のやらかし、負債を負わされ続ける子孫たち。東西の境目に周波数変換所を立てて異なる電気を周波数変換器を介して接続し東西に融通したり、「統一できないなら両方に対応した電化製品にしちゃえばいいじゃない」と、「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」ぐらいの勢いの技術発展を嵩にかけた力技で、解決を図ろうとする令和現代なのです(←イマココ)。

Hz(ヘルツ)の分かれ目はどこか

さて、東日本が50Hz・西日本が60Hzとはいいますが、その境目はどこなのでしょうか。
調べてみると、富士川(静岡県)と糸魚川(新潟県)を境に東側は50Hz、西側が60Hzに分かれているようです。

しかし、境界付近には混在地区も存在し、特に中部電力の管轄地域はまさにその境界の混乱に巻き込まれている模様。愛知県・岐阜県(一部を除く)・三重県(一部を除く)・静岡県(富士川以西)・長野県は、原則60Hzにて供給しているものの、長野県内には50Hz地域が飛び地で点在しているとのこと。
うっかりそのあたりに転入転出なんぞをした日には、もう周波数のアイデンティティを見失ってしまうかも……。

Hz(ヘルツ)違いの商品の見分け方

近年、電化製品のヘルツフリー化により、そこまで周波数を気にする必要がなくなってきています。ただ、電子レンジや蛍光灯ではいまだに50Hzもしくは60Hz専用のものが多く、アクアリウム機材にも50Hzもしくは60Hz専用のものが少なくありません。
商品購入前に以下を必ず確認しましょう。

【1、自分の今いる地域は何Hzの場所なのか】
特に新潟県、長野県、群馬県、山梨、静岡県にお住まいで自分の地域のHzがわからない方は必ず電力会社にご確認ください。

【2、買おうとしているその商品は何Hz対応の商品なのか】
・50Hz(東日本用)と記載がある⇒東日本用
・60Hz(西日本用)と記載がある⇒西日本用
・50Hz/60Hz共用と記載がある⇒東日本・西日本どちらでも使用可能
・何の記載もない⇒東日本・西日本どちらでも使用可能

https://www.shopping-charm.jp/category/319508f7-7fba-472e-afbc-db34ae62e2b0

Hz(ヘルツ)違いの例

アクア用品の中でもHz(ヘルツ)違いがあるのがモーターやポンプです。
例えばポンプの場合同じメーカーの同じスペックの商品でも50Hz/60Hzで流量が異なってきます。それはなぜかというとポンプに使われる交流モーターでは、周波数の違いがそのまま機械の回転速度の違いとなってしまうからです。

カミハタ Rio+(リオプラス)3100 

例えば、【カミハタ Rio+(リオプラス) 3100
同じ3100でも各数値は以下のような違いがあります。

流量最大揚程定格消費電力
50Hz(東日本用)48L/min270cm56.0W
60Hz(西日本用)52L/min260cm64.0W


まとめ

Hz(ヘルツ)の話、理解できましたか?アクアリウム機材にはまだまだ50Hzもしくは60Hz専用のものがたくさん残っています。購入前に必ず商品説明欄をよく読み、自分の地域に合った商品なのかを確認してから購入くださいね。もし、誤って購入してしまった場合、charmでは未開封の状態であれば返品が可能ですので、カスタマーサポートまでお問い合わせください。
※開封後にHz違いに気付いても、いかなる場合でも交換のご要望に応じることはできません。ご注意ください。

投稿者
黒デメキン

犬と馬とリクガメが好き。
友人の自宅で生まれた黒出目金を稚魚から2匹飼っている。
口癖は「自分、アクアリウムに興味がない初心者なんで」。
うっかり詳しいなんて社内で言った日には、アクアリウム知識マウントの争いに巻き込まれて不要な怪我を負わされてしまうのです。

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