金魚の世界

種類解説(熱帯魚)
種類解説(熱帯魚)観賞魚・水草の世界金魚

金魚の魅力

金魚の世界へようこそ。

金魚は縁日などで古くから親しまれ、日本人にとって最もなじみ深い観賞魚です。
人によくなつき、愛らしいしぐさを見せるので子供から大人まで親しまれます。
一番最初に飼った魚は金魚という方も、きっと多いことでしょう。

「和」のイメージが強い金魚ですが、実は原産地は中国です。
日本には室町時代ごろにやってきたといわれています。
日本で独自の改良が進められたことにより、「和」の文化の一つとして確立されました。

金魚には有名産地がいくつかあります。
奈良県の「大和郡山市」、愛知県の「弥富市」、東京都の「江戸川区」、埼玉県「加須市」、熊本県「長洲市」などがその代表です。
金魚の多くは、これらの産地で養殖されたものが主に流通しています。
他にも各地で養殖が行われており、2010年頃からは中国やタイなど海外からの輸入も盛んです。

金魚すくいなどで身近な存在でありながら、一部の品種には根強い愛好家も存在します。
例えば金魚の王様と名高い「らんちゅう」。
「地金魚」と呼ばれ、特定の地域で大切に維持されている「土佐錦」や「出雲なんきん」など。
これらの品種では各地で品評会が催されており、大変奥の深い世界です。

伝統的な品種だけでなく、年々新品種の開発も進められています。
今までに見たことがない特徴を持った品種も、続々登場しています。

身近で親しみやすい存在でありながら、突き詰めると奥深い。
伝統的でありながら、革新的でもある。

趣深い金魚の世界へ、貴方を誘いましょう。


金魚とは

分類コイ目コイ科
学名Carassius auratus
最大体長15~30cm
食性雑食
水温10~25℃
pH7.0~7.5程度

金魚は日本人にとって最もなじみ深い観賞魚です。
品種によって多種多様な見た目をもちますが、実は生物学的には全て同種。
Carassius auratus その種であり、「黄金のフナ」という意味を持ちます。

どの品種も長い年月をかけて、人の手により品種改良が施されてきました。
その結果、今日に至る多様なバリエーションで私たちを楽しませてくれています。

病気にさえならなければ、金魚は非常に丈夫です。
急激な変化でなければ、水質の悪化や低温にも耐えうる強靭さを持っています。
日本の気候になじんでいますので、国産であればヒーターも不要です。

最大で30cmと予想外に大きく成長することもありますが、これはワキン型の品種の場合。
ワキン型以外の多くの品種は、大きくとも20cm前後で止まることが多いです。

飼育しやすいイメージのある金魚ですが、上手に長期飼育するためにはいくつかの「コツ」を押さえる必要があります。「コツ」を押さえると10年以上生きることもあります。


主な金魚の種類

すべてはフナから始まった。
どの金魚もルーツをたどると、フナに行きつきます。

金魚には数えきれないほど多種多様な品種が存在しますが、その中でも比較的安定して入荷が見られる人気品種をいくつかピックアップして紹介します。

なお、金魚は大別して「ワキン型」「リュウキン型」「オランダ型」「ランチュウ型」の4型に分けられます。ワキン型品種のような細長い金魚は「長物ながもの」、それ以外の丸みを帯びた品種は「丸物まるもの」と読んで大別され、おおよその飼育難易度や品種の特性は長物か丸物かで判断が分かれます。

それぞれの型ごとに飼育難易度に若干異なるので、欲しい金魚がどの型に属しているのかは大変重要です。
型ごとの特徴を理解した上で、お気に入りの金魚を探してみましょう。

ワキン型(和金型)

最も原種のフナに近く、スマートな体型をした金魚です。
大変強健で寿命が長く、大きく育つ傾向があります。

和金

金魚すくいでよく見かける金魚はこの「和金」です。
全ての金魚の基本となる品種です。
金魚の中では最も原種となるフナに近く、泳ぎが得意です。

金魚の中でも最も丈夫な品種で、飼育しやすさで言えば一番容易でしょう。とにかく強靭です。

水槽内を泳ぎ回り、大型化しやすい傾向があります。
小さいうちは小型水槽でも構いませんが、成長してきたら大型水槽でゆったり飼育すると良いでしょう。

全身が赤く尾ビレが1枚の和金は金魚すくいでもよく見かけますが、和金の中でも紅白で尾が3~4枚に分かれるものはより品質が高いとされます。

和金は基本的な品種ですが、特に紅白更紗で尾が開く個体は全く別物と言えるほど見事です。

大型水槽でゆったり飼育すると、大変見ごたえがあります。

紅白更紗和金

さまざまな和金型の品種

コメット
朱文金
ゴールデンコメット
ブリストル朱文金

リュウキン型(琉金型)

いわゆる一般的な「金魚」のイメージに近い丸型の金魚です。
金魚飼育においては最もスタンダードな型と言えます。

このページでは、基本的にこの型を基準に解説します。

琉金

和金に並びスタンダードな金魚と言える品種です。
金魚すくいでよく見る細長い金魚が「和金」であるのに対し、金魚鉢に入っている丸い金魚はこの「琉金」です。
単に「金魚」といえば、こちらの琉金をイメージする方も多いことでしょう。

体型が丸い金魚の中では最も基本的な品種です。
全身が赤または紅白の個体が多く、飼育しやすい品種です。

琉の由来

琉金の「琉」は沖縄の旧称「琉球」に由来します。

中国から日本に伝来した際に、沖縄(琉球)経由で入ってきたことからその名が付けられました。

出目金

金魚すくいでも人気の、目が大きく突出する金魚です。
黒い個体が人気ですが、他にも紅白やまだら模様など、さまざまなタイプが流通しています。

大きい目を持ち愛嬌のある顔つきをしていますが、外見とは裏腹に視力は悪いといわれています。

大きな目を傷つけないように、レイアウトの際は尖った流木やアクセサリーなどは配置しないように配慮しましょう。

ピンポンパール

丸い体形に盛り上がる鱗が大人気の金魚です。
「パールスケール」や「珍珠麟ちんしゅりん」とも呼ばれます。

人気品種ですが、育成は少々クセがある部類に入ります。
できるだけ性能の良いフィルターを採用し、水換えは週に1回以上、常に清浄な環境を維持するように努めましょう。

国産と外国産両方が流通しており、見た目は同じですが産地により育成方法が異なります。
国産のものは一般的な金魚と同様に無加温で飼育できますが、外国産のものに関してはヒーターで加温したほうが調子が良いです。
外国産の個体は熱帯魚のつもりで飼育したほうがうまくいくでしょう。


さまざまなリュウキン型の品種

キャリコ琉金
桜琉金
紅葉琉金
蝶尾

オランダ型

オランダシシガシラ

頭に盛り上がるコブを持つ、愛らしくも風格のある金魚です。
頭のコブは「肉瘤にくりゅう」といい、オランダ型品種が共通で持つ最大の特徴です。

コブが大きいほど価値が高いとされますが、その発達具合には個体差があります。成長に伴い大きくなるものもいれば、あまり変わらないものもいます。
体色は赤または紅白の個体が多いです。

細長い体形の「日本オランダ」、60cm以上に大型化する「ジャンボオランダ」などいくつかの派生形が存在します。

日本オランダ
ジャンボオランダ
オランダの由来

オランダと名前につきますが、オランダ原産ではありません。
中国原産の品種となります。

日本には江戸時代に入ってきたといわれており、当時は鎖国状態で外国との交易は長崎の出島のみで行われていました。

当時、外国から入ってきた珍しいものは特に区別せずに全て「オランダもの」と呼んでいたとのこと。その名残でこの名が付いたといわれています。

長崎県 出島阿蘭陀オランダ商館跡

東錦

オランダ型の体形に赤、白、黒の三色まだら模様を持つ金魚です。オランダシシガシラに三色出目金を交配して作出された品種で、それぞれの良いところを受け継いでいます。

色の入り方には個体差が大きく、赤が強いもの、黒が強いものなどさまざまです。頭のコブがよく発達し、配色のバランスが良いものが理想とされます。

オランダ型品種の中ではトップクラスに人気があり、各地で品評会も催されています。模様の入り方や体型などにいくつかの定義があり、突き詰めると奥の深い品種です。

さまざまなオランダ型の品種

丹頂
茶金
青文魚
桜東錦

ランチュウ型

ランチュウ

金魚の王様とも評される人気品種です。
背ビレがなく、顔全体に発達するコブが最大の特徴の品種です。

ランチュウは江戸時代に中国から入ってきた品種を日本で独自に改良したものといわれており、他品種では類を見ないほど各部の定義が厳格です。
体型・配色・コブの発達具合他……それぞれに名称が付けられています。

ランチュウは上からの観賞に特化するため、背ビレをなくす方向で改良が進められたようです。

古くから愛好家が各地に存在し、品評会が盛んに行われています。

上見のランチュウ
飼育は簡単?難しい?

ランチュウの飼育は難しいといわれますが、これは品評会で入賞を狙うような個体を育てる場合の話です。

体型や発色、コブの発達具合などにこだわらないなら、そこまで気構えなくても大丈夫です。
単にペットとして飼育するのであれば、他の金魚と同じ感覚で飼育できます。

水泡眼

目の下に袋を持つ、奇妙な姿で人気の金魚です。
袋をふよふよと揺らしながら泳ぐ姿は大変ユーモラスで、独自の個性があります。

この袋は目の角膜が肥大化したものといわれており、その中はリンパ液で満たされているようです。

飼育の際は、出目金同様に尖った流木やアクセサリーなどを入れないように注意しましょう。袋は破れてしまっても再生しますが、痛々しい見た目になる上に、元通りに戻るとは限りません。


頂天眼

目が突出し上を向く、水泡眼に並んで奇妙な姿で人気の金魚です。
独特の表情が愛らしく、上から見るとなお楽しめる品種です。

こちらも出目金同様、尖った流木やアクセサリーなどを入れないように注意しましょう。

活発に泳がない品種であるため、他の品種との混泳の際は注意が必要です。


さまざまなランチュウ型の品種

江戸錦
桜錦
黒らんちゅう
青秋錦

飼育難易度の高い品種

金魚は一般に強健です。しかし、一部の品種では水質に敏感で常に清浄な水を求めたり、高い頻度での水換えを要求したりするものがいます。

俗に「地金魚」と呼ばれる品種は、ここまで紹介した一般的な品種の特性にはそぐわない、例外的な性質を持つものが多いです。

例えばワキン型の品種は一般的にすこぶる強健ですが、愛知県の地金魚である「地金」「六鱗」に関しては例外的に清浄な水質を要求します。

これらの品種は、大変魅力的な品種ですが飼育難易度が高く、初めて飼育する金魚としてはやや不向きかもしれません。
まずは他の品種で慣れてからの挑戦がおすすめです。

地金
土佐錦
出雲南京
大阪ランチュウ

金魚の混泳について

混泳相性表

金魚は温和で混泳に向いた観賞魚です。
しかし、金魚同士であればなんでも混泳ができるわけではありません。
混泳相性の良し悪しを見極めるには、先に紹介した4つの型のうち、どの型に属するかが大事です。

また、前提としてなるべくサイズが近いもの同士で混泳させましょう。
体格差が大きいと、本来相性が良いはずの組み合わせであっても失敗することがあります。

基本的な混泳相性は、次の通りです。

ワキン型
リュウキン型
オランダ型
ランチュウ型
ワキン型
×
リュウキン型
オランダ型
ランチュウ型
×
凡例評価
混泳は可能です。おすすめの組み合わせです。
混泳は可能です。
混泳は不可能ではありませんが、個体によってはトラブルを起こすこともあります。
×混泳はおすすめできません。

ワキン型は泳ぎが早いため、基本的にワキン型同士での混泳をおすすめします。
リュウキン型、オランダ型、ランチュウ型は泳ぎが上手でなくゆったりと泳ぎます。
ゆったり泳ぐもの同士なら、混泳可能です。

同じ体型同士であれば、なお安心して混泳できます。

キャリアに要注意

既に先住の金魚がいる水槽に追加で新たに金魚を導入する場合は、注意が必要です。

金魚は細菌性の疾患や寄生虫を持ち込むことが多いので、追加の際は必ず「トリートメント」を行ってから混泳させてください。

予備の水槽で0.5%塩水浴を行うか、もしくは症状がなくとも魚病薬を投薬し、1週間程度様子を見てからメイン水槽に追加すると良いでしょう。

▼キャリアについて

※上記の記事はグッピーの話ですが、金魚にも似た現象が報告されています。
金魚の場合では国産と外国産の違いはもちろん、出身養魚場が異なるだけでも発症しうるので注意が必要です。

▼塩水浴について


他の生体との混泳

金魚以外の生体と混泳させる場合、ドジョウの仲間やイシマキガイなどの巻貝がオススメです。
金魚は大食漢で食べ残しも多く、その食べ残しやその栄養分を元に生えてくるコケの掃除役としても役立ちます。

ドジョウの仲間
残飯掃除に有効です。
イシマキガイ
コケ掃除に有効です。

エビはおすすめできません

熱帯魚水槽ではコケ取り要員として優秀なエビですが、金魚水槽では金魚に食べられてしまう可能性が高いです。

口に入らないサイズであっても金魚の体格に怯えてしまうようで、本来の働きが期待できないことがあります。

ミナミヌマエビ
熱帯魚との混泳

金魚に対し危害を加えない種であれば混泳可能です。
例えば、グッピー、プラティ、コリドラス、ローチなどは可能と言えるでしょう。

金魚と体サイズに差がある場合、口に入るサイズの魚は食べられてしまう可能性があります。

金魚のほうが水質の適応範囲が広いため、水槽の環境は熱帯魚の要求に合わせる形となります。
したがってヒーターが必要です。

グッピー
プラティ
コリドラス
ローチ

ただし、金魚にソイルは不向きとなる点には留意しましょう。
また、サイズ差がある場合は食べられてしまう可能性があります。


金魚と水草

金魚と金魚藻

金魚と水草は古くから浮世絵にも描かれる定番の組み合わせです。
「金魚藻」という金魚専用とも言える呼び方すらあります。
しかし、水槽内で維持できるのはあくまで一時的。

金魚は雑食性で柔らかい水草は好んで食べてしまいます。

金魚水槽に水草を入れる場合、基本的に金魚のおやつになってしまうと考えたほうが良いでしょう。
逆に最初から金魚に食べられることを前提とし、植物質補給のために植えるというのもありだと思います。

マツモ
カボンバ
アナカリス

どうしても金魚と一緒に水草を植えたい!

ほとんどの水草は金魚に食べられてしまいますが、どうしても水草を植えたい場合は「葉の硬い水草」を選ぶと食べられにくくなります。

例えば、アヌビアスやミクロソリウムは食べられにくい水草の代表です。
ただしいずれも熱帯性の水草となりますので、冬季はヒーターが必要となる点に留意しましょう。

アヌビアス
ミクロソリウム

金魚飼育の基本

水槽の選択

金魚の飼育において、基本的に水槽サイズは大きければ大きいほど良いです。

金魚とえば金魚鉢のイメージが強いですが、元々金魚鉢はひと夏の間飼うことを想定した容器で、長期間の飼育を想定した容器ではありません。

したがって、長期飼育を目的とするならば金魚鉢は不向きとなります。
一般的に見かけることが多い体長5~8cm程度の金魚で、1匹あたり約10Lの水量を必要とします。
飼育したい匹数×10L で計算すると、どのサイズの水槽が必要か、見積もることができますね。

スペースや予算などに制約がなければ、最低でも60cm水槽から始めるのが理想的と言えるでしょう。
60cm水槽では最大で5~6匹程度飼育できます。

60cm水槽
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フィルターの選択

金魚の飼育は容易といわれますが、これは4つの型のどの品種に属するのかによっても変わります。
金魚は全体的に大食漢で水をとても汚すため、性能の良いフィルターの使用が推奨されます。

ワキン型に関しては一般に大変強健ですので、どのフィルターを用いても問題ありません。
水を汚しますが環境適応力も強く、多少汚れた水でも平気です。

一方で、リュウキン型、オランダ型、ランチュウ型はできるだけ清浄な水を保ちましょう。
上部式または外部式が向いています。

投げ込み式フィルターは上級者向け?

投げ込み式フィルターは安価で取り扱いも容易ですが、メンテナンス・水換えのタイミングの判断が難しいです。

水の色やぬめり、匂いなどでタイミングを判断できるのであれば大変優秀ではあるものの、パフォーマンスを最大限に発揮するためには飼育者の経験値が必要です。

はじめて金魚を飼育する場合は、上部式フィルターや外部式フィルターを使用したほうが失敗が少ないでしょう。

水槽以外で飼育する場合に

水作ジャンボ
トロ舟飼育向け
ウォータークリーナー
(池飼育向け)

水槽以外の容器で飼育する場合は、水作ジャンボやウォータークリーナーなどのフィルターがオススメです。

水質について

水質についてはさほど気にしなくとも問題はありません。
理想を言えば弱酸性環境は好まないため、pHは7.0以上を維持しましょう。
とはいえ金魚はゆっくりとした環境の変化には強く、環境に馴染めば非常に強健です。
一時的であれば、例え水温が35℃になっても耐えることがあります。

反面、急激な環境の変化には弱いです。
朝晩の温度差が激しいと、病気になってしまうことがあります。

一部の「地金魚」と呼ばれる品種の中には繊細な水質管理を要求する品種もいます。
それらの特定の品種に関しては、様子を見ながら丁寧に管理していきましょう。

底床の選択

大磯などの砂利系底床、または砂が良いでしょう。
金魚がついばんで濁りの原因になったり、金魚に適さない弱酸性に傾ける性質があるため、ソイルは不向きです。

大磯砂
砂系底床

メンテナンス性を重視する場合は、「何も敷かない」というのも選択肢です。
見た目は殺風景になりますが、フンや食べ残しなどをすぐに発見でき、取り除きやすい点がメリットです。


主食の選択

主食は大きく分けて「顆粒」「フレーク」の2種類があります。

顆粒
フレーク

特別な意図がなければ、食べ残しが少ない「顆粒」のほうがオススメです。
基本的には1日1~2回、5分以内で食べきる量を与えます。
食べ残しは取り除きましょう。

同じ水槽に泳ぐ金魚のサイズが大小混合している場合や、熱帯魚や日本産淡水魚など多様な混泳相手がいる場合は、体サイズに関係なく食べやすいフレークの優先度が上がります。

金魚と一緒に暮らす仲間と相談して、判断すると良いでしょう。

顆粒餌はさらに2種類

顆粒タイプの餌には「沈下性」「浮上性」の2種類があり、どちらにもメリット・デメリットがそれぞれあります。
ほとんどの製品のパッケージに記載がありますので、目的に合わせて選びましょう。

沈下性

「沈下性」は与えてすぐ水底に沈むタイプです。
特別な理由がなければこちらがオススメです。
金魚は本来、底床の中に潜んだ餌を掘り返す習性があります。

メリット:空気を吸い込まないため丸物の品種でも転覆病になりにくいです。
デメリット:底床の堀りグセを付けるため、レイアウト重視の水槽には向きません。

浮上性

「浮上性」は水面に浮くタイプです。
レイアウト重視の水槽では、掘りグセが付きにくくなるためこちらがオススメです。

メリット:食べている量が分かりやすく、食べ残しを出しにくいです。底床の掘りグセも付きにくく、レイアウト重視の水槽でも水草などにいたずらをされにくくなります。
デメリット:丸物の品種では食べる際に空気も一緒に取り込んでしまうため、転覆病の一因になりうるといわれています。
(ワキン型の場合、デメリットはありません。)

製品によってはさらに「色揚げ用」「低水温期用」「増体用」と記載されているものもあります。
記載のないものは普段使い用と考えてOKです。

  • 色揚げ用・・・「アスタキサンチン」や「βカロテン」などを含み、赤い発色を濃くする機能を持たせた餌です。継続的に与えることで、発色をより鮮やかにします。
    ※赤以外の色を濃くする効果はありません。
  • 低水温期用・・・主原料に「小麦胚芽」を多く配合した、消化性を重視したタイプの餌です。
    低水温期や病み上がりなどで体力の落ちた魚に向いています。
  • 増体用・・・高たんぱく・高脂肪配合で金魚を大きく立派に育てることを目的とした餌です。
    特にオランダ型やランチュウ型の品種に有効です。

副食の選択

主食のみ与えても飼育は可能です。
しかし赤虫やイトミミズなど動物性飼料は嗜好性が高く、金魚が好んで食べるので、時折与えると良いでしょう。
特にオランダ型やランチュウ型の場合、肉瘤の発達に良い影響を与えるといわれています。
大きく立派に育てたい場合も、時折与えると良いでしょう。
冷凍飼料が冷凍庫で保管しやすく、扱いやすいです。

冷凍アカムシ
冷凍イトミミズ

小さく育てたい

金魚は普通に育てると大変大きくなりますが、給餌量を調節することで小さめに育てることもできます。俗に「盆栽飼育」と呼ばれる手法です。

  • 餌を与える頻度を2~3日に1回(毎日与えない)にする。
  • 低水温期用の高消化性の餌を、季節に関係なく常用する。
  • 水温を低めに保つ。

この3点を意識して管理することで、金魚を小さいサイズのまま維持しやすくなります。
水槽サイズや飼育スペースなどの制約から、あまり大きくしたくない方には有効な手法です。

一方で、小さく育てた場合は寿命が短くなりやすいというデメリットがあります。

ヒーターの使用

金魚は基本的に日本の気候に慣れていますので、基本的に不要です。
また、繁殖を狙う場合はヒーターを使用すると翌春の産卵成功率が下がるといわれています。

しかし、いくつかの場面でヒーターがあった方が有効な場面が存在します。
その例を紹介します。

外国産金魚の場合

タイ産ローズテールオランダ

国産の金魚の場合加温は必要ないことが多いですが、外国産の金魚の場合は加温が必要なことがあります。

特に、中国産以外の外国産金魚は熱帯魚と同じような水温管理をされていることが多く、水温を25℃程度まで保って飼育したほうが良い結果が得られる傾向にあります。

中国産金魚は、多くの場合国産と同じ管理で問題ありません。
※販売時に加温管理されていた場合は、ヒーターがあった方が良いです。

病気予防に重点を置く場合

季節の変わり目となる春や秋は病気が発生しやすい季節です。
特に、白点病が発生しやすい時期であるため、注意が必要です。

▼白点病についてはこちら

病気の発生は水温の急激な変化に起因することが多いため、金魚の場合ヒーターで22℃程度に保っておくと予防策として有効です。

既に発症してしまった個体の治療をする場合、ヒーターは必須です。

ヒーターの選び方

温度調節が可能なタイプをおすすめします。
サーモスタット一体型、またはサーモスタットとそれに接続するヒーターをセットで購入すると良いでしょう。

熱帯魚用のオートヒーターは26℃固定式のものが多く、加温するにしても金魚にはやや高い温度設定となっています。

温度可変式ヒーター

金魚の場合、加温するのであれば20~24℃の範囲が理想的です。
ダイヤルのついたタイプが扱いやすいでしょう。

万が一発症してしまった場合は28℃近くまで水温を上げる必要が出てきますので、この点でも温度調節ができるタイプのヒーターのほうが便利です。
オートヒーターではこの点融通が利きません。

ヒーターカバーについては、あってもなくても構いません。

パネルヒーターは使えません

金魚鉢や小型水槽であっても、パネルヒーターは使えません。
パネルヒーターでは出力が足りず、水が温まりません。

加えて、このような用法はパネルヒーターの本来の使用用途ではありません。
水槽用ヒーターを使用してください。

パネルヒーター
(主に爬虫類用)

大きく育てたい場合

水温が高いと代謝が活発になるため、早く大きく育ちやすくなります。

大型の個体に育てたい場合は、ヒーターで加温管理も有効です。


金魚の繁殖

金魚は春になると繁殖期を迎えます。
オスメスがそろっていれば、特に意識せず飼育しても産卵が行われる場合があります。

基本的な金魚の繁殖の一連の流れと、稚魚の育て方は次の通りです。

前年からの準備

狙って繁殖させる場合、生後2年以上、体サイズで15cm以上ある個体をペアで用意するのが望ましいです。繁殖させたい親は、春まで別々に飼育します。

繫殖させる前年はヒーターを使用せず、無加温で冬越しさせます。
ヒーターを使用し冬の水温を経験せずに春を迎えると季節の感覚が狂うらしく、産卵する確率が下がると言われます。

狙って繁殖させる場合は、前年からの準備が欠かせないのです。

オスとメスの判別方法

金魚のオスメスは総排泄孔(おしりの部分)の形状で判断します。

オス
縦長の楕円型をしています。
メス
円に近い形状をしています。
オスに見られる追星
エラブタと胸ビレに注目。

他にオスであれば「追星」おいぼしで確認することも可能です。
春になるとオスのエラブタと胸ビレの上にボツボツとした白い白点が現れます。
これはオスが繁殖可能な状態である合図でもあります。

追星が確認できればオスで確定です。
春以外に出ることは少ないので、準備を行う前年の秋~冬にはまだ確認できないことも少なくありません。

金魚の雌雄判別は、かなり難易度が高いです。
総排泄孔の形状には個体差があり、判断が微妙な個体も少なくない数存在します。
経験豊富なプロの目でも「翌春産卵させようと思った親が、どちらもオスだった!」と間違えてしまうこともあるようです。

金魚の産卵

追星が確認できるオスと、卵を持ってお腹がふっくらしてきたメスがそろったら、準備完了です。

トロ舟、卵を付着させる産卵床(水草やシュロ、人工水草など)、エアレーションを用意します。
エアレーションには「投げ込み式フィルター」は採用せず、「スポンジフィルター」または「エアーストーン」を採用してください。

トロ舟
産卵床
エアーポンプ

水温が15~20℃ぐらいになったら、別々に飼育していた親を合流させます。

オスがメスを追いかけ回す様子

春になってから合流させることで、産卵成功率が高まります。
オスがメスを追い掛け回していれば、成功確率は高いです。

産卵は主に朝方に行われ、1度の産卵数は数千個にも及ぶことがあります。

産卵に成功すると産卵床に卵が付着しています。

親はそのままにしておくと卵を食べてしまいますので、トロ舟から隔離しましょう。

また、産卵後の水は産卵行動により汚れています。
全体の2/3程度、水換えを行いましょう。

マツモに付着した卵

産卵後の親は体力を消耗しているため、それぞれ別々の水槽で0.5%塩水浴で養生させるとベストです。

もし産卵しなかったら

オスに追星が出ていること、メスのお腹がふっくらしていることの2点をまず確認してください。どちらか確認できていない場合は、産卵の準備がまだできていないかもしれません。

もし、どちらも確認できており、合流させてから2日たっても産卵しない場合は一度また別々の水槽に戻しましょう。
その後、3日ほどたっぷり餌を与えてから、天気の良い日再度オスとメスを合流させましょう。

稚魚の育て方

産卵に成功すると、水温約20℃の場合、およそ1週間程度でふ化します。
このふ化までにかかる日数は、水温により変化します。
水温が高ければ高いほど早く生まれ、低いほど遅く生まれるので、必要であればある程度タイミングを調節することも可能です。

ふ化後2~3日はお腹にある「ヨークサック」と呼ばれる養分を吸収して育ちます。

餌はこの「ヨークサック」の吸収が完了し、泳ぎ始めてから与えましょう。

最初に与える餌としては、ブラインシュリンプの幼生をふ化して与えるのがおすすめです。
成長してきたら冷凍ブラインシュリンプやミジンコを与え、成長に合わせて冷凍赤虫や人工飼料に切り替えると良いでしょう。

生まれた金魚がみんな黒い?
品種に関わらず稚魚は黒

生まれたばかりの金魚は、基本的に親の色に関係なく黒い色をしています。※

金魚の稚魚は成長段階で呼び名が変わり、

針仔→青仔→黒仔→トラ禿げ→当歳 と呼ばれます。

※アルビノ系品種は除く

多くの品種ではトラ禿げの時期までは黒く、この時期にだんだんと黒が抜けてきて本来の赤や白などの発色が現れ始めます。

品種によっては、この色変わりの時期が遅く、成魚になってから赤くなるものもいます。


金魚の病気

金魚は丈夫な観賞魚ですが、病気にかかることもあります。

よくある病気(白点病、尾腐れ病、松かさ病)

多くの病気は熱帯魚と共通ですので、主な病気は下記を参照ください。
白点病、尾腐れ病、松かさ病は金魚がかかりやすい代表的な病気です。

この他にもいくつか金魚特有で見られやすい病気がありますので、紹介しておきます。

転覆病

病名の通り、船が転覆したように金魚がひっくり返ってしまう病気です。
体型が丸い金魚でかかりやすく、ワキン型の品種はかかりません。

浮袋の異常が原因といわれており、急激な水温の変化や消化不良、浮上性の餌の継続給餌などが原因とされています。

初期症状として、泳ぎが不安定になり水面に浮きあがってしまうことが挙げられます。
この状態が長く続くと、ひっくり返ってしまいます。

餌が食べられる場合、命に別状はありませんが、あまりにも体制が苦しいと餌を食べられなくなってしまうこともあります。

対処法としては、発見が早期であればヒーターを用いた水温の上昇、小麦胚芽を含んだ高消化性・沈下性の餌への切り替えなどが挙げられます。消化不良が原因の場合、1週間程度の絶食も有効です。

エラ病

金魚のエラに寄生虫または細菌が感染し、死に至ってしまう病気です。
見た目で症状が現れにくく、体表に異常がない魚が急死した場合、この病気であることが多いです。

ダクチロギルスと呼ばれる寄生虫がエラに寄生し、金魚の体力を奪います。
他に尾腐れ病の原因菌であるカラムナリス菌がエラに感染するパターンもあります。

前者は寄生虫、後者は細菌なので、効果的な薬品が異なります。
どちらが原因なのか、外見では区別できない点が非常に厄介です。

かかってしまうと予後が良くない病気ですが、後者であれば抗菌剤系魚病薬が有効です。

水泡症(ガマガエル症候群)

ピンポンパールなどのパール鱗系品種特有の病気です。
体表から水ぶくれが生じ、ガマガエルのいぼのように見えることからそう呼ばれます。

原因としては松かさ病と全く同じで、エロモナス菌の感染によるものです。
対処法も同様で抗菌剤系魚病薬が有効です。

松かさ病同様、予後の悪い病気として知られます。

ポックス病(乳頭腫瘍)

金魚の体表に白またはピンク色のコブが生じる病気です。ボックス病とも呼ばれます。

この病気はウイルス性といわれており、体表にコブができることで観賞性を損ねてしまうのが難点です。一方で、見た目が悪くなること以外には、金魚の命に別条はないといわれています。

命に別条がないので特に対処法はありませんが、気になる場合はハサミなどで除去したのち、0.5%塩水浴で養生させます。

ただし、切除により生じた傷口から別の病気が発生するリスクも考えられます。
また切除に成功したとしても、再発することもあるようです。

このため金魚の命だけを考えれば、逆に何もしないほうが長生きする可能性が高いかもしれません。

金魚ヘルペス

春と秋、季節の変わり目に発生しやすい金魚特有の病気です。
ヘルペスウイルスによる感染症であり、金魚以外には感染しません。

見た目に異常がないまま死に至るのがこの病気の恐ろしい特徴です。
水温が15~25℃、変化が大きい時期に発生しやすいことが知られており、予防策としてはこの水温域を外しての飼育が挙げられます。

対処法としては水温を35℃付近まで昇温させ、4日程度その状態を維持して管理すると良いといわれています。なお、回復後も治療を行った個体はウイルスの「キャリア」になっている可能性があります。

混泳させた場合、他の個体が発症するリスクがあります。
なるべく混泳は避けたほうが良いでしょう。

非常に感染力の強い病気であるため、発見した場合は速やかな隔離が必要です。


病気と間違えやすい表現

一見病気の症状であるかのように見えますが、特段問題のない表現もあります。

ここで紹介する2点の表現はいずれも低水温期に発生しやすく、気になるようであればヒーターで加温すると早く解消される傾向があります。

ソブ(黒ソブ)

体表やヒレの一部が黒く染まる表現です。

これは寄生虫や細菌感染が生じた後に、自然治癒した痕跡といわれています。
この痕跡が黒く染まることがあり、まるで病気であるかのように見えることがあります。

人間で言う「かさぶた」のようなもので、特に心配ありません。
放っておくと自然に消えます。

にきび

オランダ型やランチュウ型の品種の肉瘤の上に、白いできものが発生することがあります。
これは人間でいう「にきび」のようなものであり、特に心配ありません。
放っておくと自然に消えます。

※にきびは肉瘤の上にのみ発生します。肉瘤以外の部位にも発生する場合は、白点病など他の病気の可能性を疑ったほうが良いでしょう。


金魚用語集

金魚の飼育において特に使われる主な専門用語をピックアップして紹介します。

色彩関連の用語

素赤・・・全身が赤い個体のことです。最もスタンダードな色彩です。
厳密には全身が赤で、ヒレの縁どりなどわずかに白い部位が残る個体を素赤と呼びます。

頭の先からヒレの縁取りまで全身真っ赤な個体は、「猩々」しょうじょうと呼び区別されます。
猩々といえるほど全身真っ赤な個体は、滅多に見られません。

素赤の琉金

更紗・・・紅白の2色の個体を更紗といいます。
紅白更紗ともいいます。

赤や白が載る部位によって、特にランチュウでは非常に細かく色模様が定義付けられています。
品種によっては独特の呼び方を持つ場合もあります。

更紗の琉金
赤勝ちと白勝ち
赤勝ち更紗
白勝ち更紗

赤が多い個体を「赤勝ち」、白が多い個体を「白勝ち」と呼びます。


・・・全身真っ黒の体色をいいます。
黒出目金が代表的です。

基本的にはずっと黒いままですが、まれに一部の個体で赤く変わることが知られています。
赤く変わったとしても、病気ではありません。

黒出目金

キャリコ・・・赤、白、黒の3色を基準とした体色です。
モザイク透明麟とも呼ばれます。
個体差が著しく、配色のバランスは個体によりさまざまです。

黒が多い個体は「墨」が多いといわれます。
背中に青い色が確認できる個体もおり、この発色は「浅葱」あさぎと呼ばれます。

キャリコ琉金

キャリコの派生形

黒の発色がないものを「桜」、赤の発色がないものを「絣」かすりと呼ぶことがあります。
桜は時折流通しますが、絣の流通量は少なめです。

桜琉金
絣琉金

・・・茶金に代表される、茶色の体色です。
茶金以外ではなかなか見られない、珍しい色彩パターンと言えます。

茶金

・・・青文魚に代表される、青みがかった銀色の体色です。
金魚において青というと、ふつうこの色彩表現を指します。

この体色は成長段階で色味が変化することがあり、個体によっては真っ白になることがあります。
色が変わったとしても、病気ではありません。

色変わりの途中で青と白が混じる個体は、「羽衣」はごろもと呼ばれます。

青文魚
青文魚の色彩変化
羽衣
白鳳
はくほう(またはパイフォン)

青文魚をはじめこの体色を持つ金魚は、成長段階で色彩が変化することが知られています。
変化する場合、

青→羽衣(白黒2色の状態)→白鳳(白一色の状態)

と色彩が変化することがあります。

変化するかしないかは、完全にその個体次第です。
一生青黒い体色を維持する個体もいれば、早い段階で白鳳にまで色が抜けるもの、羽衣の段階で変化が止まるものなど、個体によってさまざまです。

変化が生じる理由は環境によるものか、はたまたは遺伝によるものかは不明です。
育ててみないと分かりません。


ミルク・・・白い体色に黒い眼、赤く透けたエラブタを持つ体色です。
シルクと呼ばれることもあります。

これは全透明麟とも呼ばれる色彩表現であり、キャリコ系品種の養殖の際には必ず一定数生じます。

古くからこの表現自体は知られていたものの、規格外品として選別漏れとすることが一般的でした。
近年では愛らしい色彩からか人気となり、区別して販売されることも多くなりました。

ミルク琉金

紅葉もみじ・・・鱗の縁取りのみ光沢が残り、鱗は透けるという特殊な透明麟の表現です。
縁取りのみ光沢が残ることで網のようにも見えるため、網透明麟ともいいます。

キャリコやミルクとは異なる遺伝の仕方をするといわれています。

紅葉琉金

形状関連の用語

長手・・・オランダ型、ランチュウ型の品種のうち、やや長い体形をしている個体を指します。「日本オランダ」や「関東東錦」などはこの長手の体型が良いものとされます。

オランダ型、ランチュウ型の一般的な体型の個体はこれに対し「丸手」と呼びます。

長手体系の代表
日本オランダ

フナ尾・・・和金に代表される、原種のフナに最も近い形状の1枚の尾を指します。

フナ尾

吹き流し尾・・・コメットや朱文金に代表される、長く伸びるフナ尾は「吹き流し尾」と呼ばれます。

吹き流し尾

開き尾・・・上から見たときに、3つまたは4つに分かれる形状の尾を指します。

三つに分かれるものを三つ尾、四つに分かれるものを四つ尾、四つに分かれるもののうち、中央の切れ込みが浅いものを桜尾と呼びます。

開き尾(四つ尾)

舵ビレ・・・一般的な魚で言う「尻ビレ」に相当する部位を、金魚では「舵ビレ」と呼びます。

舵ビレは個体によって1枚のものと2枚のものとが存在しますが、それぞれ舵一、舵二と表現します。

どちらであっても品種としての評価には影響しません。

舵ビレ

その他の専門用語

上見・・・上から見る観賞スタイルのことです。
金魚は元来、上から観賞する形が基本とされてきました。

水槽が普及してからは横からの観賞も一般的となり、こちらは上見に対し「横見」といいます。
ランチュウ型の品種に関しては、基本的に上からの観賞を伝統的なものとしています。

上見と横見
上見
横見

例えばランチュウ、土佐錦といった伝統的な品種は上見向けですが、琉金やオランダシシガシラといった横見で映える品種もあります。

お好みのスタイルで観賞いただければと思います。


オタマ・・・選別漏れの個体を指します。
金魚は流通の際、定められた規格に則り選別作業が行われます。
この選別作業の結果、不合格となった個体を総称して「オタマ」と呼びます。

品種の特徴を満たしていない点が不合格の理由のため、健康状態に関しては特段問題はありません。

また、一般的な品種では見られない、唯一無二の個性を持った個体が含まれることもあります。


よりなし・・・無選別の個体を指します。
金魚は流通の際、定められた規格に則り選別作業が行われるのですが、この選別の工程を省略して販売することもあります。
そういった個体が、「選り無し」よりなしとして販売されます。

選別の工程を経ていないため、必ずしもその品種の特徴を満たすとは限りません。
ヒレの寄れやクセ、背曲がりなど、(生存には支障のない範囲の)多少の奇形を含むこともあります。

しかし、工程が省略されている分、お手頃価格になりやすい点が魅力となります。


地金魚・・・ある特定の地域で代々養殖が続けられている、その地域特産の品種です。
先に紹介した愛知県の「地金」「六鱗」、高知県の「土佐錦」、島根県の「出雲南京」などが代表的で、全国各地にさまざまな品種が点在しています。

これらの品種では特徴を維持するために近縁の血統で交配されるため血が濃く、このために一般的な金魚に比べ体質が強くないといわれます。

地金
土佐錦
出雲南京
大阪ランチュウ

なお、地金魚すべての品種が繊細なわけではなく、中には丈夫で飼育しやすいものもいます。
例えば山形県の「庄内金魚」、新潟県の「玉サバ」は丈夫で飼育しやすい地金魚の代表です。

庄内金魚
玉サバ

ここまで紹介した金魚たちは、チャームで販売しています。
(※入荷状況によっては取り扱っていないこともあります。)
ぜひ魅力的な金魚に興味を持って、その飼育を始めてみましょう!

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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