日本ザリガニの厳しさ・・?<エビ解説>

種類解説(エビ・その他)
種類解説(エビ・その他)
フロリダハマー

外来種規制という言葉を聞いた事があるかと思います。

令和2年・・2020年11月2日に開始された外来生物法、外来ザリガニ種(アメリカザリガニ以外)、飼育・運搬・販売・譲渡・野外に放つ事が禁止になりました。

2022年5月11日改正外来生物法が可決され、2023年6月1日アメリカザリガニも輸入・販売・購入・頒布・野外への放出が許可なしで行う事が禁止となりました。
※現在飼育している個体・捕獲しての飼育は可能ですが、違反すると懲役・罰金が科される可能性があります。

2022年12月20日に環境省により15種類の動植物が『特定第二種国内希少野生物植物種』に追加されることが決定され、ニホンザリガニもまた対象になりました。

2023年1月11に施行され、販売目的の捕獲や譲り渡す事が禁止となります。また、現在チャームでは販売しておりません。
※保全・研究・展示用での捕獲は規制対象外になります。

そんな希少な種、日本の固有種ニホンザリガニについてご紹介したいと思います。

ミステリークレイフィッシュ

生物学データ

ニホンザリガニ (Cambaroides japonicus.)

分類エビ目・アメリカザリガニ科・アジアザリガニ属
体長5~7cm
食性雑食
原産・分布北海道・北東北

北海道・東北地方の一部に生息している日本固有種でが、他種ザリガニの移入でや河川の開発などから数を減らし絶滅危惧種Ⅱ類に指定され、とても貴重な種となります。

皆さまが良く目にするザリガニといえばアメリカザリガニですが、アメリカザリガニとは異なり、
カラーバリエーションは無く体色は褐色・体長も小さい種になります。

環境適応能力が低く、水質・水温も・給餌も厳密に行う必要性があります。


ニホンザリガニを知ろう

川の上流域や山間の湖沼、水温20℃以下の冷たくきれいな水に生息し、食性から広葉樹の落葉や小魚・昆虫・生き物の死骸なども食べて生きています。

サイズは4~6cmと小型であり、体色は褐色・アメリカザリガニと比べると体型がずんぐり、ハサミも丸みがあり、甲羅はなめらかで突起のない事が特徴になります。
アジアザリガニ属はザリガニ上科の中で最初に分岐になり、ザリガニ科に近縁であると言われております。

日本固有種のニホンザリガニですが、「ヤマトザリガニ」と言う別名をもちます。

河川の開発や水質汚染、アメリカザリガニやウチダザリガニなどの移入種との競合にも弱く、生息地を失い数を減らす要因となっているようです。

大正時代にはニホンザリガニをフランス料理の食材代用とし日光へ運ばれて生け簀で飼育されたという事もありました。
(日光の気候・水環境が適しており管理が可能となっていたようです。)

その後京都・東京などに広がった記録があり、人工的移入とはなる為外来種となってしまうのですが、歴史的価値がある個体群とも言われてます。

2017年度少なかった取引個体が、18年度には3倍ほどに上がり一度は減少傾向にあったようですが、21年度には大幅に伸びたと言われております。

生息地が少なくなり数も減らしているニホンザリガニですが、規制制限がなく捕獲・販売が可能な為、アメリカザリガニが規制が強くなる事により更に減少傾向へ進むかと思われます。

正直なところ飼育難易度は高いと言え、安易な心構えで飼育することはおススメできません。

飼育環境

水槽サイズ

30cm水槽
45cm水槽

ニホンザリガニは共食いや縄張り意識が強い傾向にある為、小さな水槽での多頭飼育はオススメしません。

アメリカザリガニに比べ小さいという点から、成長前の小さいうちは30cm水槽などでも大丈夫だと思いますが、45cm水槽であれば単独で終生飼育が可能です。

フィルター

きれいな水に生息している為、水槽のサイズより一回り上の性能のフィルターをご用意していただければ良いかと思います。

注意点

※雑菌類に弱いので、硝化バクテリアの作用を利用するものが多い事から、性能の高いフィルターを使用しても硝酸はたまり続けます。

フィルターだけに頼らずこまめな水替えも必要になります。

※フィルターやエアチューブなどを器用に上り水槽を脱走する事がありますので、事故を防ぐ為にもガラス蓋をご準備いただけると良いと思います。

水温・水質

水温は20℃以下を維持となります。

水温の維持の為エアコンなどで室内温度から気を付けてる方やワインセラーなど使用し管理をする方もいるようです。

水質は中性~弱アルカリ性となります。

注意点

夏場の水温の急上昇への対処は他のエビと変わらず、冷却用にファンやクーラーなどの設備は必要になります。

底床(ソイル)

底床は中性~弱アルカリ性の水質を好む事から
砂利系の弱アルカリ性に傾く物を使用すると良いかと思います。
(底床も雑菌類の繁殖を防ぐ事も考え、あまり厚く引かず薄くひく方法をとることが良いです。)

雑食性な事もあり、野性の環境では魚などの動物性から、水草などの植物性まで幅広く餌にすることができます。
(カシワの葉、クリ、クヌギ、ミズナラなど落ち葉なども餌として良いと思いますが。雑菌類に注意が必要になります。)

飼育環境下では生き餌のほかに人工飼料を与える人が多いですが、野菜やにぼしといった乾物もよく食べてるようです。

雑食性ではありますが生き物である以上栄養が偏る事なく、バランスを考えて与えるようにすることが必要になります。

混泳

魚を餌とする為混泳は不可能です。

多頭飼育も喧嘩・共食いを避ける為、大きな水槽で石・流木・鉢・塩ビ管などで隠れ家を多く設置したら可能かと思いますが、おススメはできません。

繁殖方法

ニホンザリガニの飼育設備・環境2つ準備し整え、繁殖期(交接時期11-12月)を迎え♂・♀を1つの水槽へ入れて交接(♂が下、♀が上に重なるイメージになります)が無事行われると♀のお腹に白い塊(精胞)が付着されるとの事です。♂・♀を再度個別にします。
(♀が産卵(3月頃)を迎えるまで精胞をお腹で保管します。)
♂・♀を再度個別飼育へ戻し、孵化(7月頃)を待つようです。
孵化後少しの間♀のお腹で過ごし1回目の脱皮が行われた後、お腹から離れ、
(30~60個とアメリカザリガニに比べ少ない数になります。無精卵はオレンジ色、有精卵は成長と共に黒くなります。)
稚エビからの成長も遅く成熟までに5年かかり、寿命は10年位と言われています。


同じずんぐりならこんな子達はいかが?

アフリカンロック・シュリンプ

分類ヌマエビ科・Atya属
最大体長15cm
食性雑食
原産地西アフリカ

西アフリカ原産のずんぐりむっくりしたフォルムをもつロックシュリンプになります。
温厚な性格から混泳もでき大食漢ではありますが、人工飼料以外に、第1・第2胸脚の毛を広げ水中を漂う有機物や微生物をキャッチして食べ、淡水エビの環境で飼育可能となります。

アフリカンロック・シュリンプ Sサイズ

アジアロック・シュリンプ

分類ヌマエビ科・Atya属
最大体長8cm
食性雑食
原産地東南アジア

東南アジア原産、丸味はアリカンロックシュリンプに似ていますが、少しスリムなフォルムのロックシュリンプになります。
背中に太いライン細かな模様が入ります、カラーバリエーションも豊富にあり、温厚な性格から混泳も可能になります。
アフリカンロックシュリンプ同様、第1・第2胸脚の細かい毛をアンテナのように広げ、微生物などを摂食する姿も見れます。

アジアロック・シュリンプ

まとめ

日本在来の固有種であること、近年外来種により、生息域競合・環境問題で数を減らす傾向にある大変貴重な種ということ、飼育設備を整える・環境(水温・水質・餌etc)の管理、が絶対条件であること。

この3点からニホンザリガニは安易に飼育できる種ではないという理解が必要です。

「特定第二種国内希少野生動植物」に指定されるほど数を減らしている事を再認識し、飼育する場合は繁殖まで視野に入れるなど、種を守るためには何ができるか、アクアリストとして考えていけたら、更に生き物の飼育が楽しめると思います。

投稿者

多くの生き物のブリーディングを経験をし、今はもっぱら観葉植物・DIY!

自分の好きな物での部屋作りが楽しい。

AQUALASSIC(アクアラシック)

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