清流の使者・サワガニ<カニ解説>

種類解説(エビ・その他)
種類解説(エビ・その他)

今回取り上げるのは、日本固有の淡水ガニである「サワガニ」です。
山間部では貴重なたんぱく源や漆かぶれの治療に利用されてきたほか、昔話の『さるかに合戦』のカニともいわれており、日本人にとってなじみの深い生き物のひとつでしょう。
水がきれいであれば、沢に限らず里山の水田や湧水が豊富な平地など身近な場所でも見られます。
また、河川の水質の指標生物にもなっています。
小型でかわいらしく、意外にもカラーバリエーションがあるサワガニの特徴を見ていきましょう。

サワガニとは

名前サワガニ
学名Geothelphusa dehaani
別名沢蟹
分布日本‐北海道、本州、四国、九州、屋久島
体長最大3cm
飼育要件水温: 0~20℃
水質: 中性~弱アルカリ性
餌:人工飼料、生餌
繁殖:難しい

サワガニは、観賞や飼育だけでなく食用にも利用される日本固有の淡水ガニです。
甲は丸みを帯びた四角形に近く、大きさは3cmほど。オスの多くは片方のハサミが大きくなります。
一生のすべてを淡水で過ごす純淡水性のカニは、日本ではこのサワガニしかいません。

沢というと山間部をイメージしますが、水がきれいであれば里山の水路や水田、湧水が豊富な平地、川が伏流するような湿った陸地でもよく見られます。同じサワガニでも地域によって体色が大きく異なる点も特徴です。

基本的に夜行性で自然下では日中は石や落ち葉の陰などに潜んでいます。雑食性で、水生昆虫やミミズ、貝類などを食べています。

サワガニは夏に繁殖期を迎え、大きな卵から直接稚ガニとしてふ化します。稚ガニは1カ月ほどの間、親ガニのおなかで守られながら育つのもサワガニならではでしょう。『さるかに合戦』でも、サルに柿を投げつけられたカニから子ガニがぞろぞろ出てくる描写があります。

豊富なカラーバリエーション

サワガニの体色は赤色や褐色、紫色、青白い色などさまざまで、地域によって違いは明確です。
最近の研究で、琉球列島など南西地域を起源に持つサワガニは陸路で北方に分布を広げるものとは別に、海流(黒潮)に乗って海路で分布を広げたものがいるという可能性が示唆されています。

オレンジ

ブルー

ブラウン

サワガニ飼育に適した環境

飼育可能な水温:0~20℃
飼育に適した水質:中性~弱アルカリ性

飼育は水質の悪化と夏場の高温、冬場の乾燥・低温管理と季節による温度調整をしっかり行う必要があります。自然下では冬は冬眠して過ごします。

水棲傾向が強く、陸地はあってもなくてもどちらでも良いです。
完全に水中生活でも問題なく、1年以上水の中で生活することもできます。
陸地がなければ管理は楽になり、陸地があれば本来の生態を観察できるというメリットから選んでも良いかもしれません。

夏場の注意点

高温に強くありません。夏の日中、閉め切った部屋に置いておくと暑さで死んでしまうこともあります。夏の高温にも十分注意します。

湿度が保てるよう飼育容器にフタなどをします。ただし、蒸れにも弱いため、完全に密封することやガラス面がくもるほどの湿度には注意が必要です。

サワガニ飼育に必要なもの

水槽

プラケース
丸形容器
30cm水槽

サワガニを水槽で飼育する場合、30cmあれば複数匹飼育が可能です。カニの中では攻撃性は低いものの、過密になるとケンカが起こりやすくなります。複数匹飼育の場合、十分なスペースと隠れ家を用意してください。

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フィルター

きれいな水を好むため、フィルタ―はあったほうが良いでしょう。フィルターを使用する場合、フィルターが動く水量より多く入れる必要があります。水換えは1週間に1回をめやすに行ってください。

水換えの際は必ずカルキ抜きを行いましょう。

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ヒーター

冬の寒い時期、サワガニは自然下では冬眠をして過ごします。

飼育下において冬眠をさせない場合はヒーター類で加温が必要です。
凍結しない寒い玄関などに移動してあげれば、冬はほとんど活動せずそのまま春まで冬眠させることも可能です。暖かくなって活発に動くようになったらエサを与えてください。

屋外など凍結するような場所は避けたほうが良いです。

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底床

底床には、砂や大磯砂を入れてあげましょう。サワガニの足場となって、ひっくり返った際に起き上がりやすくなるほか、脱皮もしやすくなります。

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雑食性で、動物性と植物性の両方のエサを食べています。大食漢で餌を食べる量が多く、食い散らかすとあって水が汚れやすいです。食べ残しは早めに取り除くようにしてください。

キチン質、タンパク質、炭酸カルシウムの摂取が大事ですが、一般的な人工飼料では必要な栄養素が不足することがあります。冷凍赤虫・乾燥赤虫・クリル・乾燥イトミミズなどの乾燥餌や冷凍餌は水に溶いて与えましょう。
落ち葉もエサとなります。レイアウトにコケを用いると食べられてしまいます。

サワガニ飼育のレイアウトについて

レイアウトに凝ってもサワガニが破壊してしまうことも……

ドワーフクラブを飼育するように、レイアウトを楽しみたいという方もいるかもしれません。

しかし、見た目こそ似ているものの、ドワーフクラブは陸棲~陸棲寄りの半水棲、サワガニは水棲寄りの半水棲と生態は異なります。

水場があれば、ある程度はドワーフクラブ用の環境に適応することはできますが、水槽管理の難度は高くなり、長期飼育は難しいものとなります。

また、サワガニは破壊力があり、コケをちぎって食べたり植物を切断したり、何かと破壊しがち。

植物類を使った景観は維持しづらいと考えてください。
どちらかというとサワガニの飼育方法は、ザリガニに近いスタイルとなります。

サワガニの混泳について

泳いでいる魚を捕食することはあまりないものの、動きの緩慢な魚を捕食することがあるようです。
反対に大型の魚には捕食されてしまう可能性があります。サワガニのみの単独飼育が望ましいです。
複数飼育する場合は植物や石、流木などで隠れ家を多く用意し、餌も多く与えるようにします。餌が少ないと共食いの原因になります。

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サワガニの繁殖について

雌雄判別は、ハサミの片方が大きなものがオスで、メスは左右同じような大きさになることで判断できます。

淡水で一生を過ごす陸封型で、ふ化した卵から稚ガニが産まれることから水槽内での繁殖が可能です。とはいえ、繁殖の難易度は高い点に留意してください。
エビやザリガニと違って成長が遅く、繁殖可能な成体になるのに3~4年かかるといわれています。

ペアで飼育の際、メスの脱皮直後に交尾をし、メスは栄養をつけてから抱卵します。餌が足りないことがないようにしましょう。卵がふ化するまでの間、親ガニは40個ほどの卵を抱えます。ふ化は水中で行われますが、ふ化した稚ガニは1カ月ほど親ガニのおなかで守られながら育ちます。

ポイント

水中で交尾が行われるため、全身が入る位の水深の水場を用意します。

交尾は非常にリスクが高いため、匹数の2倍以上のサイズの広さと隠れ家があると安心です。

成功確率を上げるために2~3ペアを用意します。稚ガニ生存率を考えて、交尾後のメスを別の飼育環境へ移すと良いでしょう。

まとめ

日本人になじみの深い生き物のひとつであるサワガニ。
一生を淡水で過ごす純淡水性、地域性の強い体色のバリエーションなどその生態はユニークです。
きれいな水を好むサワガニですが、都市近郊で見つかることも珍しくありません。
日中は岩陰や落ち葉の下に潜んでいるので、採集の際はひっくり返してみましょう。

余談ですが、サワガニは食用といっても生食は厳禁です。サワガニは寄生虫(肺吸虫)の中間宿主であるため、食用に供する場合はしっかり加熱しないといけません。

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