停電の際にすべきこと<アクアリウムの災害対策>

活用テクニック
活用テクニック災害が起きたら

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回はアクアリウムの一大事、「停電」が起きた場合にやるべきことを紹介します。
停電が発生した際に、即座にやるべきことは3つあります。

①安全の確保

②水温の維持

酸素の供給

停電はこんなにヤバい!!!

アクアリウムにおいて停電は致命的です。
もし仮に取れる最善の策を尽くしたとしても、全滅を免れない場面は起こり得ます。
しかし、対策を知っておくことで全滅する確率を少しでも下げることはできます。

事前の備えがあるか否かが、その後の成否を分けます。
日頃の備えは重要と言えるでしょう。

安全の確保

まず停電が発生した場合、地震や台風、落雷など災害が原因の可能性もあります。
ガスや水道の確認も必要かもしれません。

大切な熱帯魚を守るために、すぐに処置に当たりたくなる気持ちはよく分かります。
しかし、まずは冷静に。周囲の状況を確認しましょう。
身の回りの安全が確保できてから、熱帯魚の処置に当たってください。

また、家電製品は水槽周りに限らずコンセントは一旦すべて抜きましょう。
停電復帰時に一斉に稼働することで負荷がかかり、ブレーカーが落ちるのを防ぐためです。

地震による停電の場合

地震による停電の場合は、「横揺れによる水漏れ」「水漏れによる漏電」「水槽の落下」にも注意が必要です。

このようなリスクがあることから、揺れている間は水槽からできるだけ離れてください。


水温の維持

身の回りの安全が確保できたら、真っ先に水温の維持に務めます。
熱帯魚の場合、何よりも水温維持が重要です。

季節が生死の分かれ目に

水温維持の難易度は、季節に大きく依存します。
春、秋>冬>夏 の順に生存確率が高く、夏が一番低く、難易度が高いと言えます。

熱帯魚なので夏場の方が水温が維持できそうに思えますが、逆に水温が上がりすぎてしまいます。
保温する方法は応急処置でもいくらか用意できますが、保冷する方法を緊急時に用意することは困難です。

このため、気温が安定する春・秋が最も生存確率が高く、次点で冬、最も難しいのが夏となります。

多くの熱帯魚は一時的に20℃程度までなら下がっても復調できますが、30℃を超えると深刻なダメージを受けることがあります。

春・秋の場合

気温が比較的安定しているため、水温の上昇/下降が緩やかです。
気温と水温との温度差が3℃以内であれば、特別に処置をしなくても停電の復帰までに間に合うこともあるでしょう。

それ以上温度差がある場合は、冬の場合、夏の場合を参考にしてください。

冬の場合

冬は放っておくとどんどん水温が低下してしまうため、水槽の保温が重要です。
とにかく、水槽の熱を逃がさないよう努めます。

電気がなくてもガスが使える場合、温めたお湯をペットボトルに入れ、浮かべておくのが有効です。ただし、炭酸飲料用のペットボトルは変形するので使えません。
底が平たいタイプのペットボトルを使用してください。

水槽用断熱材

ガスも使えない場合は水槽用の断熱材が最も理想的です。
お持ちであれば水槽を囲うと良いでしょう。

断熱材がない場合は、毛布で水槽を包むことでもある程度の効果が見込めます。

夏の場合

夏は放っておくと水温がどんどん上昇してしまいます。
水道が断水していなければ、水温の維持には換水が最善です。

保冷剤

冷凍庫に凍らせた保冷剤があれば、水温が高い場合には投入します。目安として、28℃以上で投入すると良いでしょう。

※本来は急激に水温が下がりすぎるためNGです。
しかし、電源が使えない状況で水温の上昇は致命的です
やむを得ない判断と言えます。

冷凍庫も停電中になりますので、停電してからの用意はできません。
事前に準備しておく必要があります。

大事な食品を守るためにも、冷蔵庫の開け閉めは最小限にしてください。

水温維持の優先度が高くない魚種

一方で、もしメダカや金魚など日本の気候に適応している魚種を無加温で飼育している場合は、必ずしもこの保温は重要ではありません。その場合は、エアレーションの方を優先してください。

ただ、ヒーターなどで加温して飼育している場合は、温度差が生じるので保温は必要です。

保温の優先度は高くありませんが、外気温が高い場合保冷は必要です。

保温の優先度が低い魚種
金魚
メダカ
日本産淡水魚

金魚やメダカ、日本産淡水魚はもともと日本の気候に適応しているため、極端に暑すぎなければ大丈夫です。
夏場だけ30℃以上にならないよう、注意しましょう。


酸素の供給

酸素の供給は最重要に思えますが、実はそれほど優先度が高くありません。
水温変化によるダメージと、酸欠によるダメージを比べると、酸欠の方がまだ軽微です。

したがって、まず水温の維持に努め、その次にもし可能ならエアレーションを確保します。
最も理想的なのは、電池式または充電式のエアーポンプです。
「携帯用エアーポンプ」と総称されるので、そのカテゴリから探すと良いでしょう。

電池式エアーポンプ
充電式エアーポンプ

エアーポンプの役割

エアレーションの役割は二つあります。

一つは、水中へ酸素を供給すること。
これはエアレーション本来の役割です。生体が大型だったり、数が多い場合は重要です。
生体があまり大きくない場合や、数が少ない場合はそれほど重要でもなかったりします。

もう一つは、水を攪拌し、“よどみ”を生じさせないようにすること。
よどみは多くの熱帯魚にとって大敵です。

全く止水の状態では水質が悪化しやすくなります。
エアレーションによる攪拌はこの対策として重要です。
普段はフィルターが水の攪拌を担っていますが、停電時はフィルターが全く稼働しないのでこれが起こりません。

エアレーション自体よりも水面に動きがある方が酸素が多く溶け込むといわれており、この攪拌自体に酸素を溶かす効果があると言えます。

まず水温の維持が最優先で、次に可能であればエアレーションを確保してください。

エアレーションの優先度が低い魚種
ベタ
グラミー
アピストグラマ

ベタやグラミー、アピストグラマなど、“もともと止水を好む魚種”に関しては、必ずしもこの限りではありません。

ただし、全く完全に流れがないと水が悪くなります。
酸素供給よりも水の攪拌を作る目的で、弱めにエアレーションをかけておく方がおすすめです。

酸素石

緊急時に利用できるもう一つの選択肢として、「酸素石」も有用です。

こちらは水に入れるだけで一定期間、水槽内に酸素を供給してくれる製品です。
もちろん電源不要なため、停電時にも使えます。

体長10cm以上になるような中~大型魚には力不足ですが、小型魚であればこちらで十分なことも多いでしょう。

予備のエアーポンプを持っておくよりも、より経済的な選択肢となります。

最終手段 ペットボトルシェイク

予備のエアーポンプもない、酸素石もない。
そんな時の最後の手段です。

飼育水をペットボトルに半分くらいとり、よく振ってから水槽内に戻すことで酸素の供給ができます。

供給できる酸素は心もとなく、停電が復帰するまで定期的に供給する必要がありますが、全くないよりはマシです。

酸欠による全滅確率を数%でも下げる可能性のある選択肢として、万策尽きた時の最後の手段に知っておくと良いでしょう。


その他の有用なアイテム

停電時のアクアリウムにおいてやるべきことは水温の維持とエアレーションです。
その他に、こんなとき、あると有用なアイテムもいくつか紹介します。

ゼオライト・活性炭

ゼオライト
活性炭

停電が数日にわたって長期化してしまう場合に有効です。

フィルターが稼働しないため、当然フィルター内のバクテリアによるろ過作用が期待できません。

こうなると、生体から排出されるアンモニアの蓄積が発生してしまいます。
この対策として、ゼオライトに吸着させるという対策は有効です。
濁りや悪臭は活性炭に吸着させます。

ただし、一般的な熱帯魚水槽が停電に耐えられる時間は最大でも24時間程度です。
それ以上長期化する場合は、全滅のリスクは避けられないことを念頭に置いた方が良いでしょう。

ポリタンク

どうしても魚を連れて移動する必要がある場合に有用です。

取っ手がついており、生体を水ごと運べるので、移動しなければならない場合の最終手段はこれになります。
ただし、保温・保冷など水温維持ができない点に留意します。

したがって、短時間の移動か、金魚やメダカなど低水温に耐性のある魚種でしか使用できません。

携帯式エアーポンプを片方の口から入れることで、酸素供給も可能です。

ポリタンク 水缶 20リットル用 水槽 掃除
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これを使うほど切迫した状況なら

避難しなければならないほど状況が切迫している場合、水槽よりも意識すべきものがあるかもしれません・・・。

大半の熱帯魚は1週間程度は絶食しても平気なことが多く、残る問題は水温です。
ポリタンクで水温は維持できませんので、ご自身の身の安全を優先してください。


停電が復旧したら

停電が復帰したら、接続していた機器のコンセントを一つずつ差し戻し、正しく動作するか確認しましょう。

特に、ヒーター、クーラー、循環用ポンプは正しく動作するか要確認です。
フィルターも製品によっては空回りしてしまう場合もあるので、必要であれば呼び水をして再起動してください。

また、停電の時間が長い場合、魚や水草が調子を崩すことがあります。
フィルター内部や水槽や底床のよどみから汚れが出てきたり、その中に潜んでいた菌類が水槽内に広がったりすることがその一因です。
結果、水質の悪化や病気の原因になることがあります。

インフラが復旧し安全が確保された状況であれば、早めに1/3~1/4程度の水換えを行うと効果的です。


停電の際にすべきこと まとめ

停電が起きたらこれをする!
  • まず身の回りの安全を確保しましょう。水槽や飼育魚の処置はその次です。
  • 水温の維持に努めます。夏は難易度が高いです。
  • 余裕があれば酸素供給。多くの魚種で水温ほど優先度は高くありません。

停電の発生は熱帯魚飼育において、全滅という結果に至ることも珍しくありません。
それほどまでに致命的な事故であると言えます。

それでも、対策を知っておくことで大切な熱帯魚を失う確率を少しでも下げることはできるので、ぜひ押さえておきましょう。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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