スポンジフィルター 解説

用品解説
用品解説

フィルターにはいくつか種類がありますが、今回は小型水槽やブリードを行う水槽にピッタリの「スポンジフィルター」に注目。メリット・デメリットともに、オススメの製品を紹介していきます。

スポンジフィルターとは?

プラスチック製のパイプにスポンジが付いていて、水槽の壁面に吸盤で張り付けるというとてもシンプルなフィルターです。エアーポンプと接続し、スポンジ中央の円筒部分に空気を送り込むことで水流を起こし、汚れを吸い寄せたりバクテリアを定着させたりして水をろ過します。

飼育水をスポンジ部分でろ過。ろ過した水はパイプを通り、水槽内へ戻っていきます。

スポンジフィルターの特徴

スポンジフィルターは小型水槽かつ少数の飼育であれば、十分に物理ろ過・生物ろ過能力を発揮します。吐出口から出る水流は流れが弱く、体の小さな魚・稚魚のように強い水流を嫌う生体の飼育にうってつけです。小さく頼りなく見えますが、スポンジにバクテリアを住ませることで強力な生物ろ過を生み出します。

エビ水槽との相性もぴったりです。ろ過した際にスポンジについた有機物はエビのエサとなります。スポンジの形状によっては、稚エビの隠れ家にもなります。

スポンジフィルターでの飼育に向いている生き物

ビーシュリンプ
グッピー
アピストグラマ

スポンジフィルターのメリットとデメリット

メリット

物理ろ過と生物ろ過の両方に優れている
スポンジで水中のゴミをキャッチ、スポンジに定着したバクテリアによる有機物の分解・無害化という2つのろ過を両立しています。そのため、小型水槽であればこのスポンジフィルター1つで十分に飼育水をろ過し、水質を安定させることができます。

②メンテナンスが簡単
スポンジフィルターのメンテナンスはとっても簡単。本体からスポンジを取り外し、スポンジを揉み洗いするだけ!バクテリアの減少を防ぐために飼育水を使うか、カルキ抜きした水を使用してください。

③価格・ランニングコストが安い
他のフィルターに比べると圧倒的な安さを誇ります。現在、zcharm本店で取り扱いのある商品を見てみると本体では2000円以下、交換用スポンジも高くても1000円以下で購入することができます。(2022年9月30日現在)※価格は予告なく変更になる場合がございます。

また、本体価格だけでなくランニングコストも安いこと。これも1つのメリットと言えます。②で、揉み洗いをすると書きましたが、スポンジがへたってきたら交換時期です。前述した通り、交換用パーツも安価なので安心です。

④水流が穏やかで強い水流を嫌う魚を飼育することができる
冒頭にも書きましたが、ベタや稚魚飼育など強い水流を嫌う魚たちをスポンジフィルターであれば安心して飼育することができます。

⑤小さな生体が吸い込まれるリスクがほとんどない
スポンジフィルターはその名の通り、スポンジがついているため揚水部分で生体が吸い込まれる心配がありません。それどころか形状によっては隠れ家になったり、エビ飼育の場合はスポンジが足場・餌場になりむしろ有効活用できます。

⑥設置が簡単なのでサブフィルターにもオススメ
通常のエアーリフト方式のスポンジフィルターであれば、エアーポンプとフィルターをチューブで接続。
水槽に入れて動作確認をすれば導入完了。この手軽さから、他のフィルターと組み合わせて使うケースも少なくありません。物理ろ過・生物ろ過だけでなく、酸素供給も可能なスポンジフィルターと生物ろ過に優れる底面式や外部式フィルターと組み合わせることで、水槽のろ過能力を底上げすることができます。ろ過装置を2つ付けるのは、万が一片方のフィルターが止まっても、もう片方のフィルターが稼働し続けるので、ろ過が完全に止まることがなく、生体全滅のリスクを減らすことができます。

⑦外部式フィルターなどのストレーナースポンジとして使用可能

そもそも….ストレーナーとは?
水草レイアウトでは必須と言える外部式フィルターのパーツの1つです。

下の写真は、ある水草レイアウトの水槽の写真です。写真右側、赤枠で囲った部分が「ストレーナー」です。外部式フィルターではストレーナーから水を吸い込み、フィルター内へ水を送りろ過するという構造です。

エビや稚魚など小さい生体はここへ吸い込まれてしまう事があります。それを防ぐために、スポンジフィルターのスポンジ部分をストレーナー部分に装着します。水草の枯れ葉などが引っかかって流量が低下することも防ぐことができます。ストレーナースポンジではスポンジフィルター同様、物理ろ過・生物ろ過が行われます。中には、外部式フィルターと接続をさせる製品も販売されています。

テトラ P-Iフィルター
テトラ P-IIフィルター
交換用スポンジ

特に、この「テトラ P-I/P-IIフィルター 」はエーハイム製の外部式フィルターと互換性があることが知られています。エルボを接続することで、スポンジフィルターを上向きにつけられるようになります。
メンテナンスの際はスポンジを上に引き抜くだけ。非常に楽になります。

デメリット

①スポンジが目立ってしまう
凝ったレイアウトをしていない水槽や小さな水槽水槽の場合、どうしてもフィルター自体の存在感が主張してしまいがちになってしまいます。あまり目立たせたくない時は水槽背面に貼って使用する「バックスクリーン」を活用しましょう。さまざまなカラーバリエーションがありますが、ブラックを使用するとスポンジの色となじんで、目立ちにくくなるはずです。

バックスクリーン

②CO2添加の水草レイアウト水槽には不向き
スポンジフィルターは基本的に空気の力で水を上に押し上げ、水面近くの吐出口からろ過された水を排水します。CO2添加が重要な水草レイアウトの水槽では、せっかく添加したCO2が排水の際に水面の揺れなどで水中から逃げてしまいます。水草育成では、CO2を逃がしにくい外部式フィルターの使用をオススメします。

③大型水槽や過密水槽には不向き
基本的に他のフィルターと比べ、ろ過能力が弱いです。どんな機材にも言えますが、スペックよりキャパシティーが大きいものは対応しきれなくなります。スポンジフィルターに向く水槽は小型水槽(~60cm)であまり水を汚さない生体を多く入れていない水槽・稚魚の育成・ビーシュリンプでしょう。

④人によっては音が気になる場合がある
エアリフト式だとどうしてもエアポンプの作動音や吐出口から空気が出る音が鳴ります。それが神経質な方には耳障りになるかもしれません(実際に筆者も夜は無音でないと眠れません)。その場合、音の静かさで優秀といわれるエアポンプを使用するなど、対策すると良いでしょう。ただし、いくら静音性に優れると言っても無音にはなりません。

静音性が優秀なエアーポンプ 水心シリーズ

スポンジフィルターは洗い方が重要

スポンジフィルターのスポンジは定期的な揉み洗いが必要。メンテナンス時にいくつかポイントがあるんです。

カルキ抜きした水か飼育水を使用しよう

スポンジには、汚れもついていますが有益なバクテリアも沢山住み着いています。ここでポイント。揉み洗いに使用する水は飼育水か、カルキ抜きして飼育水と水温を合わせた水を使用しましょう。また、必ず水槽の外で行いましょう。

特に、直接水道水を使ってしまうとせっかく定着したバクテリアがダメージを受けたり死滅してしまいます。その結果、水質に変化を起こし水槽内の環境を悪化させてしまう可能性があります。

入念な揉み洗い は逆効果!?

また、きれいにしたいあまり、入念に揉み洗い。実は、これもあまりよくありません。バクテリアは肉眼では見えない存在。汚れのような物がスポンジから染み出なくなるまで揉んでしまうと、バクテリアも一緒に出て行ってしまっている可能性があります。汚れたスポンジを握ると初めはボールなどの容器に溜めた水が泥水のようになります。その水を一度新しい飼育水と交換します。揉み洗い完了の目安は「ボールなどの容器に溜めた水が少し濁るが、水に入れたスポンジは見える」になったら、十分です。

メンテナンスをするタイミングの目安

メンテナンスをする目安としては次の方法があります。

あらかじめメンテナンスする周期を決めておく

吐出口から出るエアーを見て勢いがなくなっているか確かめる

スポンジが明らかに汚れている→スポンジに反発力がなくなったら汚れがたまっている証拠です。

スポンジにコケが大量に発生している

ここで、スポンジフィルターの洗い方を画像で解説!今回はサイト運営メンバーのTWさんに
ご協力いただきました。

今回使うのはこちらの置き型スポンジフィルター
①一度握るとみるみる汚れが….
②うわぁぁ….
③みるみるうちにボウルの水が濃く色がついていきました
④汚れがひどいのでかけ流しで洗います
⑤チャームでは蛇口から出る水はカルキが抜かれ水温が調整された水。飼育水と同じなのです。ご家庭では水槽の水をくんで洗ってくださいね。
⑥強く絞っても水がほんのり茶色になる程度になればOK
きれいになりました!

目で確認してみて、このようなことが確認できればメンテナンスを行う合図です。

スポンジが2つ装着されているツイン・ダブルタイプの場合は、片方だけ揉み洗いし、もう片方は次回洗うようにするとバクテリアの急激な減少を防ぎつつ、掃除を行うことができます。

使い込まれたスポンジフィルターは超強力

重複してしまいますが、スポンジフィルターは生物ろ過で水をろ過する仕組みになっており、バクテリアが定着して初めて機能するフィルターです。

スポンジフィルターを使いこんでいくと大量のバクテリアが住みつき強力な生物ろ過能力を発揮します。投げ込みフィルターと同等のサイズでありながらスポンジ全体がろ材として働くので、使い込んでいくほど、強力なろ過フィルターとして活躍してくれます。

「使い込まれた」といわれる目安は「透明な水の中でスポンジを揉むと茶色い水が出てくる」程度です。ただし、泥水のようにひどく濁ってしまう場合は汚れも沢山含んでいるのでスポンジを数回揉んで透明の水が薄く茶色に色づき、スポンジの反発力が復活するまで揉み洗いしましょう。

表面にコケなどがついていたらろ過能力の低下につながるため、除去しましょう。また、揉み洗いが終わってもスポンジの反発力が復活しない場合はスポンジが劣化している合図です。
スポンジの交換をおすすめします。

オススメのスポンジフィルターをご紹介

最後に、オススメのスポンジフィルターをご紹介!画像やボタンをタップすると商品ページに飛ぶことができます。

テトラ ツインブリラントフィルター
LSS研究所  LS-100S
テトラ P1フィルター

40L以下の水槽に対応したスポンジフィルターの定番商品。スポンジフィルターの存在と性能を世に知らしめ、一世を風靡しました。バクテリアの繁殖を補助する2つの特製スポンジにより、ろ過能力に優れます。カラーも水槽内で目立ちません。

コンパクトでありながら100Lまで対応するスポンジフィルターです。据え置きタイプで使いやすく汎用性が高いのも魅力。

外部フィルターや水中ポンプなどに接続できるよう開発されたスポンジフィルター。P1の他にP2があり、そちらはスポンジが2つ付いています。

スポンジフィルターをうまく使いこなそう

スポンジフィルターが世に出だした頃は、アクアリストが皆「こんなもので本当にろかができるのか?」と口をそろえました。しかし、テトラ製のブリラントフィルターやビリーフィルターの登場でその認識は一変。その有効性が実証されると、ブリーディングや小型水槽ではスポンジフィルターを使うことが当たり前になっていきました。安価・コンパクト・高性能なスポンジフィルターはアクアリウム用フィルターの中では画期的な発明の1つです。

使い方次第で、さまざまな形でサポートしてくれるスポンジフィルター。お手頃な価格ながら、ビーシュリンプ・熱帯魚のブリードをしている方はもちろん。ベタの飼育、小型水槽などでも活躍してくれることでしょう。この機会にスポンジフィルター導入を検討してみてはいかがでしょうか?

投稿者
T

1997年10月8日生まれ。愛知県出身。アクアリウムは初心者で、ビギナーの心に寄り添った記事を目指しています。自宅でフトアゴヒゲトカゲを飼育(8歳)趣味のオートバイはかれこれ6年目に突入。

ティーよりコーヒーが好き。

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