こんな魚まで飼えちゃうんですか

大型肉食魚
大型肉食魚生き物系種類解説(熱帯魚)

「珍しい魚を飼ってみたい。」アクアリウムを志した者なら一度ならずとも願う欲求ではないでしょうか。
水族館でしか見られないような珍しい魚、不思議な生態の魚、そもそも一般宅で飼育できるんですか?という魚の中で、国内で流通し、一般の方向けに販売をしている(していた)魚をご紹介します。
もちろん、容易に飼育ができるものだけではありません。
中には気合の入った相応の設備と、魚の寿命までしっかりと飼育しきれるだけの情熱を保ち続けなければならない魚もいます。そういったことを十分に念頭に置いて飼育の検討をしてくださいね。

見た目のインパクトがすごい

初見でのインパクト大。「世の中にはこんな魚がいるんだ」と生き物の進化に純粋に感動する魚を集めてみました。初心者でも飼いやすいやすい魚もいますので、水槽のポイントとして導入してみるのはいかがでしょうか。

トランスルーセント・グラスキャット

透明な熱帯魚の代名詞といえばこの魚、トランスルーセント・グラスキャット。タイ・マレーシア原産のナマズの仲間で、骨や内臓を惜しげもなく透けて見せてくれます。この透け感は、外敵から発見されづらくするための進化なのだそう。丈夫で飼いやすく、混泳や群泳にも向いているため初心者にも人気があります。背景の水草が透けて見えるほどの透明感は見飽きることがありません。最大体長8cm程度になる魚たちの群泳する姿は、水槽の中をとても涼やかに演出してくれます。

サカサナマズ

変な泳ぎ方をする魚といえば真っ先に名前が挙がるサカサナマズ。名前の通り、逆さになって水面に浮遊する餌を食べることができる小型ナマズです。魚は一般的に上から狙う敵から身を隠すために背中側は濃い色、下から狙う敵から身を隠すために水面の色に合わせて腹側が薄い色になります。しかし、サカサナマズは水面を逆さになって泳ぐため、お腹側までしっかりと柄が入るのが特徴です。
ただ、いつも逆さ泳ぎというわけではありません。基本的には通常の魚と同じ向き。場合によっては逆さになって泳ぐこともできるんだよという程度に考えておいてください。

ブラックゴースト

カッコイイの定義は人それぞれですが、個人的にフォルムが一番カッコいいと思う魚がこのブラックゴーストというナイフライクフィッシュです。流線型の身体とひらひらの腹びれ。泳ぎ方もゆらゆらしていてゴーストの名前負けは決してしていません。ちなみにこの魚、魚なのに高速でバックできるんです。
夜行性のため昼間は物陰で寝ています。しかも寝るときには横になったり仰向けになったりする姿が目撃されるという、やはり変わった魚なのです。
見慣れない人が見たら「なんなのこれ、魚なの?何なの!?」と驚くこと間違いありません。

カンピロモルミルス・ヌメニウス

見た目のオリジナリティで群を抜くのがこの魚、カンピロモルミルス・ヌメニウス。超長い吻部からスーパーロングノーズエレファントと呼ばれるグループに属しています。カモノハシ?ペンギン?イルカ?おおよそ魚とはかけ離れた風貌ですね。夜行性で視力が弱いため、泥の中から餌を探すのにこの長い長い口先から微弱な電流を流し、レーダー探知機のように使用します。最大体長は65cm程度にまで成長するため、飼育には大型の水槽の用意が必要です。何があってどうしてこんな形に進化したんだろうと一日中眺めていられる姿です。

両生類的な魚

両生類の定義が「幼体はえら呼吸、変態して成体になったら肺呼吸」ということは一般的に知られています。そういった定義を覆す「肺魚」という魚がこの世には存在しているんです。ハイギョ(肺魚)はデボン紀に出現した生きた化石。最近の研究から魚から両生類への進化の途中で分岐したシーラカンスよりも四足類に近いとされる魚ということがわかりました。

ハイギョには肺呼吸と夏眠という大きな2つの特徴があります。
ハイギョは他の魚と同じようにエラを持っています。ただ、エラとは別に幼生時期はウーパールーパーのような外鰓がいさいを持ち、成長とともに肺が発達していくことが知られています。肺の発達とともに呼吸をエラではなく肺で行うようになるため、水中で罠にかかって水面に呼吸に行けないような状況になると、魚なのに溺死してしまうのです。
また、雨季と乾季のある場所では、ハイギョは「夏眠」と呼ばれる休眠状態になり、水のない乾季を地中でやり過ごします。泥と粘膜で繭を作り、地中で休眠状態となるのです。肺呼吸のできるハイギョだからこその習性といえます。

レピドシレン・パラドクサ

レピドシレン・パラドクサは別名「南アメリカハイギョ」といわれ、南アメリカ大陸に唯一生息するハイギョです。ブラジルのアマゾン川、パラグアイ川、パラナ川等に広く分布しています。アフリカのハイギョと比べて乾季でも繭は作らず、泥に潜る程度だそうです。最大体長は1m近くにもなりますが、ハイギョの中ではおとなしい性格とされます。ただし、基本的には単独飼育をおすすめしています。

プロトプテルス・ドロイ

アフリカハイギョの一種でアフリカ中央部、コンゴ川に生息するハイギョです。ひも状の対鰭が特徴とされ、この対鰭は移動や泥を掘るときに使われるとされています。人間に描かれたのかと見間違う漫画のキャラクターのようなペイント模様が非常に個性的。ハイギョの中でも細長い体型のため、小型水槽でも……と思われがちですが、結局1m近くには成長します。きれいな身体を保つためにも、大型水槽での飼育を想定しておきましょう。

プロトプテルス・エチオピクス

アフリカ中央部から東部にかけて生息するアフリカハイギョの一種です。ハイギョの中では最大種で、最大体長2mまで成長し、通常の飼育下でも1m超えをする種です。体の網目模様が非常に美しく、しなやかなひも状の外鰓を持ちます。水質の悪化や変化には非常に強いため、その点では飼育しやすいといえますが、いかんせんこの巨大な身体を飼育するだけの水槽を置けるのかどうかが重要です。

プロトプテルス・アンフィビウス

東アフリカ沿岸域に生息する最小のハイギョです。非常に希少種のため、なかなかお目にかかることがない魚でもあります。水質などにうるさくなく、丈夫な種類が多いハイギョの中では、水質悪化に弱く飼育難易度が高いといわれています。ただ、他のハイギョのように大きくならず、水槽で飼いやすいことから飼育に挑戦したい人は多いようです。
愛らしい外見はウーパールーパーを彷彿とさせます。

電気を発生させる

電気魚(でんきうお)と呼ばれる発電器官をもつ魚は、デンキウナギ・デンキナマズ・シビレエイが他の動物を感電死させるほどの強い電流で有名ですが、そのほかにも先述したカンピロモルミルス・ヌメニウスのように微細な電流を餌の探知に使う魚もいます。

ロングノーズ電気ナマズ

水族館の人気コーナーに「デンキウナギの発電」というものを見たことがある人も多いでしょう。デンキウナギが馬を感電死させることができる電気を発することに対して、デンキナマズは小魚を感電死させる程度の電気のため、人が死ぬことはまぁないと思います。ただ、当然ですがお世話の際にゴム手袋は必須。電気ナマズの仲間は頭部がマイナス極、尾部がプラス極になるといわれ、成魚では400~500V程の電気を発生することが知られています。しっかり飼い込めばよくなつき、顔も非常に愛らしいのでペットフィッシュとしても人気が高いのもうなずけます。

人食い魚?

魚というのは基本的には臆病で人を襲うことはほとんどありません。ただ、強靭なあごと歯を持つものの中には、時と場合によっては食物連鎖の一環として人を含む大型の動物を襲うことがあります。こういった魚の飼育は可能ですが、かまれる・かじられる可能性が十分あること念頭に置き、安全をしっかりと確保しながら飼育をすることをおすすめします。

ピラニア・ナッテレリー

アマゾンの人食い魚として非常に有名な魚です。ピラニアといってもさまざまな種類のピラニアがいます。中でも、ピラニア・ナッテレリーは群れで行動するため、現地の川では非常に厄介な存在とされています。基本的には超臆病な魚で、いつもビクビクと物陰で固まっていますが、ひとたび血の臭いと水面のバシャバシャという水しぶきを感知すると集団で襲ってきます。このツンデレ具合にやられる人は多いはず。ブリード個体も多く出回り、危険魚なのに割と安価に購入できてしまいます。ただ、1匹ではなく集団で襲われた場合は人間でもかなり危険です。飼育下でもかじられないよう細心の注意を払って飼育をしないといけません。

ゴリアテ・タイガーフィッシュ(ムベンガ)

ピラニアの知名度が高すぎて他の肉食魚がかすんで見えるとは言わせません。ゴリアテ・タイガーフィッシュはコンゴ川に生息する大型のカラシンで、別名を「ムベンガ」といいます。この魚に関しては、流通しているのが不思議なぐらいに本当に危険です。1mを超す体長とワニをも食らうといわれる獰猛さで淡水魚最凶の呼び声も。日本でペットとして流通している魚はかなり小さく、写真からはそこまでの獰猛さは感じられませんが、最大体長1.5mを考慮して水槽の準備をしてください。また、すごい勢いで飛び出すため、飛び出し防止のフタに重しを乗せて双方の危険回避をしてください。

ブラウン・カンディル

ピラニア、ムベンガという二大巨頭が出そろってもうないでしょうと思いきや、最近流行り(?)のやばいやつがこちら。
「なにこの鮭の稚魚みたいなやつ。」と思った方は「カンディル」についてしっかり学んでいただくと良いでしょう。南米の人喰い魚として恐れられているこのナマズの仲間、他の魚のエラや動物の肛門などの身体のあらゆる穴から体内に侵入し、内部から肉を食べることから、現地ではピラニアよりも恐れられる魚です。遊泳性が高く、エラ蓋からは返し針のような棘が出ており、体内に入り込んだら抜けないような構造になっています。あぁ、書いているだけでもう痛い……。

目が退化した魚

魚の多様性は進化の多様性です。種として生き残るために、より天敵のいない場所へより競争相手のいない場所へとすみかを変えていき、その特殊なすみかに適応するように身体を進化させていくのです。進化の結果、身体の一部を退化させるという選択が行われることもあります。

ブラインドケープカラシン

ブラインドケープカラシンは、洞窟の暗闇に適合していく進化の過程で、目というエネルギーを大量に消耗する器官を退化させることで、光の差さない洞窟という限られた環境で得た貴重なエネルギー源を効率よく体内で利用することに特化した魚です。光のない世界ですから体色も不要。視覚の代わりに嗅覚が発達し、水圧や水流の変化を感じとる側線という器官が発達しています。洞窟という閉鎖空間は、餌も限られている代わりに天敵もいないため、このような究極の進化が可能になったのでしょう。

巨大魚

水族館で大型水槽を見て以来、「大きい魚を飼いたい」という少年のような夢を見る方も少なくないでしょう。大型プールのような飼育水槽が用意できれば、飼育の可能性は開きます。ただ、巨大魚は得てして長寿です。長寿で巨大な魚を飼いきれるのか。自分が面倒を見れなくなったら誰に託すのか。そこまで計画を立てることができたら、ぜひ挑戦してみるのもいいかもしれません。
なお、飼いきれなくなった巨大魚を日本の河川に放流することは法律で禁止されています。
このことも重々理解しないといけません。

ロシアチョウザメ

ロシアチョウザメ

最大体長4m
カスピ海、黒海沿岸域から河川域に生息するチョウザメの仲間。見た目と名前はサメっぽい雰囲気ですが、サメとは異なる種族です。また、卵は高級食材のキャビアであり、乱獲による個体の減少が顕著になりました。野生のチョウザメの捕獲が禁止されて以降、はブリードが盛んになって飼育方法が確立されていますが、とにかく広い飼育場所が用意できるのか。水質管理・水温管理・水流管理は可能なのかが重要になります。しっかりと水質・水温管理ができれば鯉と一緒の池で泳がせることも可能です。

ピラルク

最大体長4m
アマゾン川流域、沼地や川の流れのゆるい部分に生息しているピラルク。幼魚は観賞魚としての流通もされていますが、神経質な性格の巨大魚の飼育には水族館並みの超巨大水槽とその飼育水を維持できるだけのろ過機・ヒーターなどの設備が必要です。生半可な気持ちでの飼育はできません。大きな体ながら人を襲うようなことはなく、エビや小魚を食べるにとどまります。1億年以上前から姿をかえずに生きてきたアロワナに近縁な1属1種の魚で、空気呼吸を行うことも知られています。

オオチョウザメ

最大体長7m
別名ベルーガ。カスピ海や黒海で見られ、産卵のため川を遡上します。淡水魚という定義としてはあいまいですが、「淡水でも生きられる最大の魚」といってもいいかもしれません。オオチョウザメの寿命は100年ほどいわれ、生涯成長します。近年の乱獲や環境破壊により、かつて捕獲されたような長寿の個体が見られなくなりました。そのため、ここで挙げている最大体長は、今では理論数値となってしまっています。国内でもキャビアを生産するために養殖されることもあり、そういった施設に近いものを自宅で用意できれば飼育は可能かもしれません。

こんな魚も流通しているんだ!と驚くような魚を紹介してみました。どの魚もいわゆる「魚」の概念を覆す個性的な面々でしたね。お気に入りの魚、見つかりましたか?

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投稿者
黒デメキン

犬と馬とリクガメが好き。
友人の自宅で生まれた黒出目金を稚魚から2匹飼っている。
口癖は「自分、アクアリウムに興味がない初心者なんで」。
うっかり詳しいなんて社内で言った日には、アクアリウム知識マウントの争いに巻き込まれて不要な怪我を負わされてしまうのです。

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