アカヒレ<熱帯魚解説>

コイ・ラスボラ
コイ・ラスボラ種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回ご紹介するのはアカヒレ。
古くから観賞魚として親しまれている小型のコイの仲間です。

赤く染まるヒレと体側のブルーのラインが小型ながらも美しく、入門者向けの魚としてよく販売されています。
安価で入手性も良く、性質は極めて強健で飼育しやすい魚です。

今回は誰にでも飼いやすく、お手軽なアクアリウム入門編として長年親しまれる小型魚。
アカヒレについて紹介します。

アカヒレとは

生物学的情報
名前アカヒレ
学名Tanichthys albonubes
別名ホワイトクラウドマウテンミノー
プアマンズネオン
分類コイ目コイ科
食性雑食
分布中国-広東省
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★★★★
よく見かける
混泳しやすさ★★★★★
とても混泳向き
最大体長4cm程度
適正水温10~27℃
pH生存可能:6.0~8.0
適正範囲:6.5~7.5
備考大変強健で飼育しやすい魚です。

アカヒレは古くから親しまれている中国原産のコイの仲間です。

小型で美しいだけでなく、温帯種のため低温に強く、コップなどの小型の容器で飼育できることでも知られています。

名前の通り赤く染まるヒレが、本種の名前の由来です。
体側のブルーのラインも観賞価値が高く、容易に飼育が楽しめる魚であるため、入門にはうってつけな種といえるでしょう。

小型個体もよく見かけます。

熱帯魚として扱われることが多い魚ですが、実は中国原産の温帯魚であるため、ある程度の耐寒性を持っています。

最低で10℃くらいまでは耐えられるので、お住いの地域によってはヒーターなしで飼育することも可能です。
ただし、ヒーターはあったほうが調子が良く、活発に行動するので見栄えが良いでしょう。

群れをなして泳ぐ習性があるので、少なくとも3匹以上からの飼育がおすすめです。

アクアリウムではなじみ深い魚ですが……

アカヒレはアクアリウムでは流通量が大変多く、ポピュラーで入手しやすい種です。
流通している個体は、ほぼすべてが安定して生産されたブリード個体となります。

アクアリウムではよく見かける種ですが、原産地の一つとなる中国・白雲山周辺では、開発によりすでに絶滅したといわれています。
その後、ベトナム北部にも分布していることが明らかになったようです。

本来は強健な魚ですので、大事に飼育したいですね。


コップでも飼育可能?

アカヒレはコップでも飼育可能と古くからいわれます。
確かに強健な種であるため、定期的に水換えをきちんと行えば、小型容器でも飼育は可能です。

コップで飼育可能というのはやや誇張表現で、さすがに手狭かもしれません。

可能であれば、金魚鉢ぐらいの水量(2~3L程度)があると安心です。
3Lの容器なら3匹ぐらいまで飼育できます。

フィルターなし、水を入れた容器だけでも十分飼育は可能ですが、長期飼育のためにはフィルター付きの水槽で飼育したほうが、より良い結果を得られるでしょう。

金魚鉢でも問題なく飼育可能

この記事では、長期飼育を目的として水槽飼育を中心に取りあげて紹介します。


いろいろなバリエーション

アカヒレにはいくつかの改良品種や近縁種が知られています。

改良品種は飼育要件に特別な差異はありません。
シンプルに、アカヒレのバリエーションとしてお好みのものを選ぶと良いでしょう。

近縁種に関してはややマニアックな存在となり、入荷は珍しく値段も高めとなる傾向があります。
また、熱帯性のため飼育にはヒーターが必須となるものもいます。

ゴールデン・アカヒレ

アカヒレのゴールデンタイプの改良品種です。

黄色い体色に赤いヒレが映え、通常種と異なる雰囲気が魅力です。

飼育に関しては、通常のアカヒレと全く同様です。

ロングフィン・アカヒレ

アカヒレのロングフィンタイプの改良品種です。

このロングフィンタイプにはドイツ、ヨーロッパでブリードされているタイプと、本タイプの2タイプが存在することが知られています。
2タイプが作出された経緯について、詳細は分かっていません。

本タイプは背ビレの先端が黄色く、一般に知られるアカヒレと同じ色彩パターンを持ち、ヒレの伸張が弱めであることが知られています。

飼育に関しては、通常のアカヒレと何ら変わりません。

カージナル・アカヒレ ロングフィン

学名:Tanichthys linni var.?

ロングフィンアカヒレやカージナルアカヒレの名で古くからヨーロッパやドイツから輸入される魚です。
通常のアカヒレとはヒレの長さだけでなく、色彩パターンも異なります。

通常のアカヒレとは別種となる、Tanichthys linniをベースにした改良品種ではないか?と推測されています。

ロングフィンタイプのアカヒレにはドイツやヨーロッパでブリードされている本タイプと、通常のアカヒレのロングフィンタイプの2タイプが存在することが知られますが、作出経緯の詳細については不明です。

本タイプは背ビレの赤の面積が多く、体側から尾ビレにかけての赤味が非常に強く、ヒレがより伸長して通常のアカヒレよりさらに美しい色彩を持ちます。

こちらは通常のロングフィンアカヒレに比べ流通が少なく、高価で希少な魚となっています。

飼育に関しては低温への耐性が異なります。
通常のアカヒレに比べると、あまり低すぎる水温は好みません。
最低でも18℃以上は維持したいところです。

ベトナム・アカヒレ

学名:Tanichthys micagemmae

ベトナム原産のアカヒレです。

通常のアカヒレよりヒレが大きく透明感が強く、体の黒のラインが青く輝き目立ちます。

また成魚になっても通常のアカヒレより一回りほど小さいようです。

オスがヒレを広げてメスに求愛行動をする様は大変美しく、小型ながらも見応えのある姿を見せてくれます。

本種は熱帯性のため、水温は22℃以上必要です。
一般的なアカヒレとは異なり、冬場はヒーターが必要です。

ラオス・アカヒレ

学名:Tanichthys thacbaensis

ベトナム原産のアカヒレです。
ラオスとつきますが同種または近縁種と思わしき魚がベトナムにいるらしく、その魚がこの名前で入荷するようです。

中国のアカヒレ、ベトナム・アカヒレに次ぐ新種として記載された経緯があり、黄色い発色を帯びた淡い色彩とヒレに見られる白いエッジが特徴的な種です。

流通量が少なくアカヒレとしてはやや高価ですが、繊細な美しさを持ち水草水槽などで一際目立った美しさを見せてくれます。

本種も熱帯性となるため、水温は22℃以上必要です。
一般的なアカヒレとは異なり、冬場はヒーターが必要です。


有用なアイテム

アカヒレの飼育は大変容易です。

30cm以下の小型水槽でも十分終生飼育が可能です。
おすすめの組み合わせは次の通りです。

水槽フィルター底床
30~60cm投げ込み、底面、外掛け、上部、外部大磯砂、砂、砂利、ソイル人工飼料(顆粒、フレーク)

最大でも4cm程度であるため、飼育水槽サイズは特に選びません。
群れる習性があるので3匹以上からの飼育がおすすめで、飼育数に応じて水槽サイズを選ぶと良いでしょう。

水1Lあたり1~2匹が、飼育可能な個体数の目安の数となります。
例えば10Lの水槽なら、10~20匹程度が飼育可能です。

きちんと定期的に水換えを行うという条件であれば、極端な話フィルターはなくとも飼育可能です。
フィルターを設置すると、水換えのペースを下げることができます。

フィルターがないとメンテナンスの頻度が増えるので、手間を掛けたくない方はフィルターを設置するのがおすすめです。

フィルターを付ける場合、種類は特に選びません。
安価な投げ込み式フィルターでも十分です。お好みの製品を選ぶと良いでしょう。

アカヒレは水質に関する要求条件が低く、弱酸性から弱アルカリ性まで幅広く適応できます。
したがってアカヒレのみを飼育する場合、底床は特に選びません。
このため何を選んでも構いません。

アカヒレと一緒に他の魚を混泳させる場合や、水草を入れる場合はそちらに合わせた選択を行うと良いでしょう。

迷う場合は「大磯砂」がおすすめです。

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混泳について

体長が同程度で、温和な種が混泳に適します。
小型のコリドラスやオトシンクルスは特に問題なく混泳できます。
小型テトラやラスボラといった群れを作るタイプの小型魚との混泳も問題ありません。

アカヒレは水質に関してほとんど要求がないので、サイズが同程度で性格が温和なら、ほとんどの小型魚と混泳が可能です。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
問題なく混泳可能です。
プラティ・卵胎生メダカ
問題なく混泳可能です。
カラシン・小型テトラ
問題なく混泳可能です。
コイ・ラスボラ
問題なく混泳可能です。
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
問題なく混泳可能です。
フライングフォックス/アルジイーター
問題なく混泳可能です。
ドワーフシクリッド
サイズ差に注意。
シクリッドに食べられる恐れがあります。
アフリカンシクリッド
×アカヒレがアフリカンシクリッドに攻撃されてしまいます。
エンゼルフィッシュ
サイズ差に注意。
エンゼルフィッシュに食べられる恐れがあります。
ディスカス
サイズ差に注意。
ディスカスに食べられる恐れがあります。
ベタ・グラミー・アナバス
問題なく混泳可能です。
コリドラス
問題なく混泳可能です。
オトシンクルス・ロリカリア
問題なく混泳可能です。
プレコ
問題なく混泳可能です。
レインボーフィッシュ
問題なく混泳可能です。
ハゼ・ゴビー
サイズ差に注意。
遊泳域が異なりますが、ハゼに食べられる恐れがあります。
フグ・パファー
×アカヒレがフグに攻撃されてしまいます。
多くの場合、エサになってしまうでしょう。
エビ・ビーシュリンプ
稚エビは食べられる可能性があります。
アカヒレの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとはいえません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

繁殖について

普段は雌雄判別が困難ですが、成熟するとメスは抱卵して腹部が膨らみ、判別可能になります。

ウィローモスなどの産卵床になるものを入れておくと、オスがメスを追いかけ産卵行動に至ります。
バラまき型の産卵形態のため、産んだ卵はすぐに散らばります。
卵はそのままにしておくと、親魚に食べられてしまいます。

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稚魚を育てたい場合、産卵を終えたらすぐに採卵するか、親魚に見つからないほど水草をよく茂らせておく必要があります。

親魚から卵を隔離しふ化した稚魚には、細かくした人工飼料を与えてください。
親に与えている餌をすり潰したものでも大丈夫です。

アカヒレの稚魚は生まれてすぐにはブラインシュリンプ幼生は食べられませんが、ある程度成長すると食べられるようになります。

ブラインシュリンプ幼生を食べられるサイズにまで成長したら、エサを切り替えると成長が速くなります。
人工飼料のみでも、成魚まで育てることは可能です。

▼こちらも参考

アカヒレの繁殖をきちんと狙う場合は、相応の仕掛けをしないとなかなか産卵してくれません。
自然産卵を狙う場合は先に紹介した水草水槽での飼育が理想的で、あまり手間を掛けなくともいつの間にか増えていた、ということもあります。
しかし、この方法はある程度運頼みになってしまいます。

確実に繁殖を狙う場合、ポイントは抱卵したらメスを群れから隔離して産卵させることです。

抱卵してお腹がぷっくりと膨らんだメス1匹に対して、オス1~2匹を小型水槽か、大きめの産卵箱に入れると良いでしょう。

水槽、産卵箱に鉢底ネットのような目の粗いネットを入れておくと、バラまかれるように産んだ卵がネットの隙間を通り抜けて落ち、親魚に食べられないで済みます。

2~3日様子を見て、メスの腹がしぼんでいたら親魚は元の水槽に戻しましょう。
底に卵が沈んでいれば、産卵成功です。

何日か様子を見ても生んでいないようであれば、オスを入れ替えましょう。

このように隔離して産卵させたほうが、水草を茂らせた水槽でそのまま繁殖を狙うよりも、より確実に繁殖を狙えます。

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病気について

低温にも強く、水質の適応範囲も広く極めて強健な魚種です。
淡水魚が飼育可能な範囲であれば、およそどのような水質にも時間をかければ適応できます。
ただし、水温・水質共に、急激な変化には弱いです。

白点病はアカヒレがかかりやすい病気として代表的です。

元々丈夫な魚種で病気にはあまりかかりませんが、急激な水温・水質の変化や、長期間水換えを行わなかったりすると発症しやすくなるので注意しましょう。

▼こちらも参考


アカヒレ まとめ

アカヒレ。

古くから親しまれる、赤いヒレと青いラインが美しい小型魚です。

流通量も多く入手しやすく、性質は極めて強健で飼育もしやすいので、観賞魚飼育の入門としてもおすすめの魚です。

コップでの飼育は不可能ではありませんが、水量が足りないのであまりおすすめはできません。
できれば最低でも1~2匹あたり1Lは確保したく、また群れる性質があるので3匹以上での飼育が推奨されます。

これを踏まえると、できれば少なくとも2~3Lは欲しいところです。

フィルターはなくとも飼育可能ですが、その分水換えの手間が増えます。
安価な製品で問題ないので、設置したほうが水換えの頻度を低減でき、より楽に飼育できます。

熱帯魚として販売されることが多い魚ですが、実は耐寒性を持っています。
お住いの地域によっては、ヒーターがなくても飼育可能です。
とはいえ、入れておいたほうが活発に行動するので、観賞魚としては見栄えが良いでしょう。

エサに関しても人工飼料を与えればよく食べます。
混泳に関してもサイズが同程度で温和な種とであれば問題なく混泳可能です。

まさに初めて飼育する観賞魚に求められる要素を全て兼ね備えており、入門用として完璧な魚といえるでしょう。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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