どうも、ほにゃらら sp.です。
今回紹介するのはアピストグラマ・エリザベサエ。
”サエ”の通称でも知られる、アピストグラマのスターともいうべき美種です!
1996年に初輸入されてから今なおファンを魅了してやまない、アピストグラマきっての大変美しい種として知られます。
アピストグラマ・エリザベサエとは
名前 | アピストグラマ・エリザベサエ |
学名 | Apistogramma elizabethae |
分布 | ブラジル ― ネグロ川水系(及びその支流) |
グループ | ペルテンシスグループ |
尾形 | ランケオラート型 |
最適pH | 5.0 |
アピストグラマ・エリザベサエはアピストグラマの中でもトップクラスの美種です。
成熟したオスは伸張する背ビレ、青をベースとした体色と、頬から腹部にかけて赤系の発色を呈します。
コンディションを完璧に整えたオスは大変美しく仕上がります。
本種のユニークな要素として、オスの尾ビレは成長段階でさまざまに形状変化する点が挙げられます。
幼魚のうちは、トリファスキアータのような「ラウンドテール」ですが、その後ビタエニアータのような「ライヤーテール」へと変化します。
はじめのうちは上記2種に似た尾形をしていますが、成長すると最初の画像のような「ランケオレート型」になるのです。
中には、スペードテールになるものもいます。
このように、エリザベサエの尾形は変化に富み、さまざまな形状への変化が見られるのです。
産地によるバリエーション
アピストグラマは、地域によるバリエーションの広さにも注目したいところです。
同じエリザベサエでも産地によりこれだけ変化します。
有用なアイテム
エリザベサエはネグロ川水系出身です。
ネグロ川産のアピストグラマは低pH、低硬度、低伝導率といった、弱酸性の超軟水を好むといわれています。
本種のコンディションを仕上げるには、水質をきちんと調べることはほぼ必須です。
繁殖はやや難しい部類に入りますので、水作りの際に有用なアイテムについても紹介します。
本種はアピストグラマの中でも特に超軟水の清浄な環境を好むといわれます。
”しっかりとした水作り”を行う上で、押さえるべきポイントや、有効なアイテムは次の通りです。
三種の神器
スポンジフィルター、吸着系ソイル、ココナッツシェルター(水草付が理想的)
これらはもはやどんなアピストグラマでも共通する、基本中の基本セットですね。
RO浄水器
エリザベサエは超軟水を好みます。
水道水原水ではお住いの地域によってpHや硬度は大きく異なります。一般的にpHは7前後です。
地域によっては原水のpHや硬度が低く、”エリザベサエ向き”の原水の地域にお住まいの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、もしpHや硬度が高い地域にお住いの場合は難しいのでしょうか。
その場合、硬度が高いとpHが下がりにくく、pHを下げるためには硬度を下げる必要があります。
そのためにはRO浄水器が有効です。
「逆浸透膜式」のろ過方式を持つ浄水器のことで、たとえばこちらが該当します。
エリザベサエを仕上げるには、とにかく水質が重要です。
もし、原水の水質がエリザベサエに合ったものでない場合は、RO浄水器を試してみてください。
RO浄水器を用いた場合、硬度が0になることを意識しましょう。
硬度が0の場合、pH変化の幅が大きくなります。
超軟水といっても、硬度0よりは1程度、わずかにあった方が調子が良いです。
RO水を利用する場合、硬度が下がりすぎることがあります。
気になるようであれば、モンモリロナイトなどの硬度上昇機能のあるアイテムをごく微量、添加しておくと有効かもしれません。
添加する場合でも微量とし、測定しながら理想の水質を目指すと良いでしょう。
入れすぎるとせっかくROで硬度を下げた意味がなくなってしまいます。
pH調整アイテム
エリザベサエは水質にかなりシビアです。
従って、調整剤と精密な測定ができる電子式のpH測定器はほぼ必須といってよいでしょう。
RO浄水器を用いる場合は、その機能を正確に測る意味でTDS測定器も欲しいところです。
ただし、重要なのは「pHをいくつに合わせるか」ではありません。
エリザベサエの場合pH5.0付近が理想値ではあるのですが、最も重要なのはその個体のコンディションが整う水質を、「いかに維持できるか」がポイントです。
pHの数字をいくつにするかではなく、安定した数字を長期間維持することの方が重要です。
中性では飼えない?
エリザベサエは低pHを好む代表的なアピストグラマですが、「正直、水質を測るの面倒くさい!」と思われることもあるでしょう。
結論から言えば、水質を測らなくても飼育できないことはありません。
pHが直接的な死因になってしまうことは、まずないと考えてよいでしょう。
しかしながら、その場合はエリザベサエが本来持つ発色を十分に発揮することは難しいでしょう。
また、長期間その状態が続くと調子を落とす遠因となり得ます。
これは低pHでは病原菌の繁殖も抑制されていたところ、pHが上がることにより特にエロモナス系感染症を発症するのがよくあるパターンとして知られています。
水質が悪化している場合、まず換水が最初の対応になると思います。
しかし、ここで新しい水をpH調整を行わずに注水するとpHが上がってしまいます。
さらに、換水時にどうしても底床の汚れが舞ってしまうことから、病気の発生率が高くなってしまいます。この対策としては、底床は薄く敷くことが有効です。
ネグロ川水系、オリノコ川水系産などの、特に低pH帯を好む種類がエロモナス系感染症にかかりやすい といわれます。
その理由は、pHを意識しない換水や、底床内の浮遊物を考慮しない管理に由来するものと考えられています。これが、いわゆる上級者向けといわれる理由です。
可能であれば、pHを調整する術をきちんと整えたうえで迎えることをオススメします。
最低でもpH下降剤は欲しいところです。
色揚げ
エリザベサエの発色の魅力は、なんといっても「赤」にあります。
頬から腹部にかけての鮮やかな赤系の発色が魅力的で、これに背やヒレに乗るメタリックブルーが最高のコントラストを生み出すのです。
このため、発色を最大限に引き出すには、餌も吟味したほうが良いでしょう。
繁殖の際に利用するブラインシュリンプ幼生を親魚にも与えるのは、大変有効な手段の一つです。
アスタキサンチンやβカロテンを含む人工飼料は、普段使いに良いでしょう。
エリザベサエ まとめ
アピストグラマ・エリザベサエ。
さまざまなアピストグラマの良いところを寄せ集めたかのようで、大変に魅力的ですよね! 産地によるバリエーション、赤と青のコントラスト、どれをとっても素敵な魚です。
若い個体から飼育を始めると尾ビレの形状変化を楽しむことができるので、成長を追うごとに愛着が深まりますよ。
入手の機会がありましたら、ぜひ飼育にチャレンジしてみてくださいね。
アピストグラマ共通事項は、下記ページをご覧ください。