ひと目でわかる混泳早見表 日本産淡水魚 タナゴ編

その他水生生物
その他水生生物魚同士の相性について

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回は日本産淡水魚の混泳相性表。
中でも、タナゴ類をピックアップして早見表にしてみました。

タナゴは普段は地味な魚ですが、産卵期になると熱帯魚にも負けないほど鮮やかな婚姻色を発揮します。

基本的には温和であり、ほとんどの日本産淡水魚とは混泳が可能です。

とはいえ、種類によっては産卵期になると攻撃性を見せるものもいます。
このため、他魚種と混泳させる場合は注意が必要な種もいます。

混泳におけるタナゴの傾向

ヤリタナゴ

混泳適性:

基本的には温和です。
サイズが同程度で攻撃性を持たない日本産淡水魚であれば混泳は可能です。

産卵期になると攻撃性を増す種もいますが、そうでないタナゴであれば、金魚やメダカとの混泳も可能です。

ほとんどの種は春が産卵期です。
一部、秋に産卵期を迎える種もいます。

タナゴ類は基本的にどの種も小型なので、60cm水槽で問題なく終生飼育可能です。
ですが、色々な種を集めて混泳させるとなると、繁殖期に縄張り争いのトラブルが生じがちです。

数多くの個体を飼育する場合は、90cm水槽以上の広い水槽で飼育したほうがトラブルが生じにくくなります。
または、種ごとに水槽を分けて飼育するのが理想的といえるでしょう。

攻撃性の低い種

ここに挙げるタナゴは、産卵期になっても比較的温和な種です。
混泳には向いているといえるでしょう。

ヤリタナゴ
産卵期:春
タイリクバラタナゴ
産卵期:冬以外通年
ニッポンバラタナゴ
産卵期:春
カゼトゲタナゴ
産卵期:春
タナゴ(マタナゴ)
産卵期:春
イチモンジタナゴ
産卵期:春
ミナミアカヒレタビラ
産卵期:春
多少の攻撃性を持つ種

普段は温和ですが、産卵期になると途端に攻撃性を増すことのある種です。
攻撃性の強さには個体差が見られますが、攻撃性の強い個体の場合は必要に応じて隔離なども検討したほうが良いでしょう。

カネヒラ
産卵期:秋
シロヒレタビラ
産卵期:春
アカヒレタビラ
産卵期:春
キタノアカヒレタビラ
産卵期:春

▼いざというときに役立つ隔離ケース

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できれば単独飼育
アブラボテ
産卵期:春

アブラボテは産卵期になり縄張りを持つと、とたんに気性が激しくなります。産卵期以外は温和なので混泳は可能です。

最高潮に仕上がったアブラボテの婚姻色は、茶色をベースに深みのある緑~紫色を表現し、大変美しくなります。

しかし、この時のアブラボテは攻撃性も最高潮です。
縄張りとした二枚貝の周辺に近づく魚は、蹴散らすように泳ぎ回るので、単独飼育が推奨されます。


ゼニタナゴ
産卵期:秋

ゼニタナゴは攻撃性こそ弱いものの、タナゴ類の中でも最も神経質な種です。
他の魚と混泳させると上手に餌が取れず、やせ細ってしまう傾向があります。

ゼニタナゴを美しく仕上げるのであれば、遊泳域が被る魚とは混泳させず、ゼニタナゴ単独で飼育したほうが成功率は高いでしょう。

ドジョウなど遊泳域が被らない魚種であれば、比較的混泳による影響を受けにくいです。

混泳に「絶対」はありません

混泳に成功しやすい組み合わせ、失敗しやすい組み合わせはあります。
しかし、100%絶対にうまくいく組み合わせは存在しません。

成功しやすいといわれる組み合わせでも、個体間の性格によっては失敗することもあります。
逆に失敗しやすいといわれる組み合わせでも、工夫次第で成功することもあります。
試行錯誤を要する点も混泳の奥深さといえるでしょう。

どうしてもトラブルを避けたい場合は、単独飼育を選ぶのが無難です。


混泳相性一覧表

混泳の凡例

◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとはいえません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

※混泳相手の種や個体の性格によっては、例外もあります。

混泳相手混泳相性備考
タナゴの仲間
基本的に問題なく混泳できます。
産卵期になると、種によっては多少の小競り合いが生じる場合はあります。
コイの仲間(遊泳性)
サイズが同程度であれば、基本的に問題なく混泳できます。
オイカワやカワムツはサイズ差が生じやすいです。
モツゴ・モロコ類がおすすめです。
コイの仲間(底生)
基本的に問題なく混泳できます。
ドジョウの仲間
基本的に問題なく混泳できます。
ハゼ・カジカの仲間
サイズが同程度の種であれば混泳は可能です。
ただし、若干の攻撃性が見られます。
個体によっては、ハゼがタナゴに攻撃を仕掛けることもあります。
隠れ家をたくさん入れることで混泳が成立する場合もあります。
ナマズの仲間
サイズが同程度の種であれば混泳は可能です。
ただし、若干の攻撃性が見られます。
個体によっては、ナマズ類からタナゴに攻撃を仕掛けることもあります。
隠れ家をたくさん入れることで混泳が成立する場合もあります。
金魚

基本的に問題なく混泳できます。
できるだけワキン型から選んだほうが相性が良いでしょう。
産卵期になると、タナゴが金魚に対し攻撃を仕掛けることもあります。
メダカ
タナゴの口に入らないサイズであれば、基本的に問題なく混泳できます。

金魚との混泳

金魚とタナゴは混泳が可能です。

金魚はできるだけワキン型の品種から選び、タナゴも産卵期になっても温和な種から選ぶとトラブルが少ないでしょう。

リュウキン型など体型が丸い品種は、タナゴとの泳ぎの上手さにどうしても差が出てしまいます。

なるべくワキン型がおすすめ。

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メダカとの混泳

メダカとタナゴも混泳が可能です。

タナゴの口に入ってしまうほどのサイズ差がなければ、問題なく混泳できます。

金魚と違って、特に品種の制限もありません。

クロメダカと泳がせて自然の環境を再現するも良し。
改良メダカと混泳させて、賑やかな水槽を楽しむのも良いでしょう。

クロメダカと合わせて
日本の原風景を再現
幹之メダカと合わせて
タナゴと共に輝きを楽しむ

なお、針子や幼魚のうちは食べられてしまうリスクがあります。
メダカの繁殖に重きを置きたい場合は、混泳させないほうが良いでしょう。

▼こちらも参考


熱帯魚との混泳

可能ですが、タナゴの持つ本来の性質を引き出すことを考えればあまりおすすめはできません。
タナゴの魅力は婚姻色にありますが、通年一定の温度で飼育しているとせっかくの婚姻色が現れにくくなってしまうからです。

婚姻色が出ていないタナゴは、銀色の地味な魚と言わざるを得ません。
婚姻色を考慮しないのであれば混泳はできるものもいますが、その場合はあえてタナゴを飼育する意義が薄くなってしまうかもしれません。

タナゴの婚姻色を引き出すには、水温や日照の変化などで日本特有の四季を感じさせることが重要です。
このため無加温での飼育が基本となります。


二枚貝との混泳

タナゴと二枚貝は切っても切れない関係にあります。

ドブガイやイシガイといった淡水性二枚貝は野生下におけるタナゴの繁殖に欠かせません。

このため、繁殖を狙う場合は二枚貝を水槽に入れる人も多いです。

ドブガイ
イシガイ


二枚貝を入れておくと、縄張りを持ちやすくなりますが婚姻色を引き出しやすくなります。
なおタナゴの婚姻色は貝殻(死貝の殻)だけでも、ある程度引き出す効果はあるようです。

タナゴと二枚貝はさながら運命共同体のような関係にあり、二枚貝が生息できない水域にはタナゴも生息できません。二枚貝がいなくなれば、繁殖できなくなるからです。

なお、タナゴの種類や産地によって、二枚貝の種類には選好みがあるといわれています。
どの貝でも良いわけではないらしく、気に入らなければ産まないこともあるようです。

二枚貝のデメリット

二枚貝はタナゴ繁殖の必需品……というイメージが先行しがちですが、実はなかなか取り扱いの難しい生き物です。

二枚貝を上手に管理するには、ある程度の練度が要求されてしまいます。
特に自然産卵を狙うのでなければ、必須というわけでもありません。

  • そもそも二枚貝自体の飼育がタナゴよりも難しい
  • タナゴの種類や産地、個体の好みによっては産まないこともある
  • 流通はほぼ野外採取個体のため、他のタナゴやヒガイ類の卵が混入することがある
  • 混入確認には貝を開く必要があるため、生かしたままの確認が不可能
  • 貝を中心に縄張りを形成するため、個体数が多いと小競り合いが増える
  • 生きているのか死んでいるのかが見た目で分かりにくい
  • 水槽内で死んでしまうと、著しく水質を悪化させてしまう
カワヒガイ
タナゴ同様、二枚貝に産卵します。
野生採集された貝の場合、混入している可能性も……。
二枚貝の貝殻
婚姻色を引き出すだけなら、
貝殻だけでもある程度効果があるようです。
なお、貝殻には産卵しません。

二枚貝を入れる場合は、プラケースの中に砂を厚めに敷き、二枚貝を立てておくと管理がしやすいです。

この手法では二枚貝の生存が確認しやすく、タナゴも貝を覗きやすくなります。

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一方で、近年では、人工的に採卵する手法も確立されつつあるようです。

詳しいノウハウは不明点も多い手法ですが、二枚貝を必要としない点から環境に負荷をかけずにタナゴの繁殖にチャレンジできるといわれ、将来性のある手法とされています。

タナゴの繁殖にチャレンジする場合は、こちらの方法を探求した方が将来のためには良いでしょう。


水草との相性について

タナゴ類の発色は季節の影響を大きく受けるため、無加温ので飼育が良いとされています。
このため、水草を入れる場合、日本の気候に適応している水草から選ぶと良いでしょう。

また、pHが酸性に傾いてしまうとタナゴの好む水質ではなくなるため、CO2の添加もあまりおすすめはできません。

以上を踏まえると、「CO2添加不要で育てられる低温に強い水草」から選ぶ形となるでしょう。
おすすめは次の通りです。

マツモ
ホザキノフサモ
クロモ
セキショウモ

一方で、タナゴ類の食性は草食傾向の強い雑食性です。
このため、水草はある程度食べられてしまうことを念頭に植えておくと良いでしょう。

水草を好むタナゴ
カネヒラは水草が大好き。

カネヒラはタナゴ類の中でも群を抜いて草食傾向が強いです。
水草を植えておくと、植物質の補給には大変役立ちます。

赤虫や人工飼料一辺倒の給餌よりも、植物質を与えたほうが発色も良くなると言われています。

一方で、植えたそばからむしゃむしゃと食べられてしまうので、レイアウトには向いていません。


放流は厳禁!

タナゴ類は日本各地で独自に分化を遂げており、それぞれの地域で独自の遺伝子を持った集団が存在しています。

日本産の魚であっても、本来の生息水系とは異なる水系に放流が行われると、交雑によりその地域固有の遺伝子を持った個体群が絶滅に追いやられてしまう可能性があります。

タナゴ類は同種であっても、出身となる河川が異なると遺伝子も異なるといわれています。
また、異種間での交雑も比較的生じやすい分類群です。

このため、日本産淡水魚の中でもとりわけタナゴ類に関しては、放流にまつわる問題が大変重く見られています。

タナゴだけでなくすべての魚種に共通して言えることですが、一度飼育を始めた魚は絶対に途中で放流してはなりません。必ず最後まで飼育してください。


まとめ

産卵期にはちょっと注意
  • 基本的には温和であり、ほとんどの日本産淡水魚と混泳が可能です。
  • 一部の種は産卵期に攻撃性を増すことがあるので、注意が必要です。
    アブラボテやタビラ類は攻撃性が高まりやすい傾向があります。
  • 金魚やメダカとの混泳も可能です。
    金魚はなるべくワキン型の品種から選ぶと相性が良いでしょう。
  • タナゴ類の最大の魅力は婚姻色にあります。
    熱帯魚との混泳も可能ですが、一定の温度で飼育すると婚姻色は現れにくくなります。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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