コリから目線でモノを言う vol.17 深掘り!コリドラスの混泳事情

コリから目線でモノを言う
コリから目線でモノを言うコリドラス生き物系魚同士の相性について

どうも、ほにゃらら sp.です。

このコーナーではアクアリウムの森羅万象、あらゆる関連製品・生体について、

コリドラス飼育目線

での、見解・感想なんかを紹介していきます。

このくらい深掘りします。

ここではより具体的な混泳相性や、混泳させる場合に使えるテクニックなどについて、”まるでロングノーズ種のように深掘り”していこうと思います。

今回お届けするのは混泳に関連する、ちょっぴり深~い話です。

便利なお掃除屋さん?

混泳水槽において、コリドラスの基本的な役割といえば「便利なお掃除屋さん」としての採用が多いのではないでしょうか。

便利なお掃除屋さん?
アエネウス
パレアタス
ステルバイ
パンダ

現在コリドラスのマニアを自負する方であっても、一番最初のコリドラスとの出会いは、底床の掃除要員が欲しいというきっかけだった方は少なくないでしょう。

掃除要員として起用されることの多い彼らですが、混泳水槽であったとしてもコリタブは与えたほうが良いでしょう。

ただし、毎日は必要ないかもしれません。2~3日に1回程度で十分です。

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混泳水槽で毎日コリタブを与えてしまうと、残餌が過剰になり水質悪化を招く恐れがあります。
毎日与えるのではなく、与える頻度を少し減らすのがベストでしょう。


攻撃性を誘発する飼育環境

コリドラスは基本的に他魚に対する攻撃性を持ちません。(※一部のロングノーズ系は除きます。)
また、コリドラスに対して攻撃を仕掛ける魚種も多くはありません。

したがって、コリドラスは多くの熱帯魚との混泳が楽しめます。
先の混泳相性表で「◎」と表記されている組み合わせであれば、ほとんどの場合問題は起こらないでしょう。

基本的には混泳可能なグル-プ
グッピー
卵胎生メダカ
小型カラシン(テトラ)
小型コイ(ラスボラ
ローチ
フライングフォックス
ドワーフシクリッド
ベタ
グラミー
レインボーフィッシュ

先の相性表で混泳相性が◎の魚種です。

多くの魚種との混泳が楽しめるのが、コリドラスの魅力の一つです。

しかし……。

飼育環境によっては、本来温和であるはずの魚の攻撃性を誘発してしまうことがあります。

もし、コリドラスが攻撃されていたり、ヒレをかじられていたりするように見える場合、以下の要素がないかチェックしてみると良いでしょう。

飼育密度が低い

水槽サイズに対して、魚の数が少なすぎると逆に攻撃性を誘発することがあります。

一般に縄張りを持つ種の場合、個体数が少ないとその分広く縄張りを持ちます。
逆に個体数が多い場合、縄張りを持つメリットが縄張りを維持する労力に見合わないと判断し、縄張りを持たなくなることがあります。

対策としては魚の数を少し増やすと良いでしょう。
ある程度の密度が保たれることで攻撃性が落ち着きやすくなります。

それでも攻撃をやめない時は

飼育密度が低い水槽で攻撃性の強い個体がいる場合は、弱い個体ではなく強い個体を一定期間隔離すると良いです。

例えばヒレをかじられるトラブルが起きているのであれば、ヒレをかじられている個体ではなく、ヒレをかじっている個体を一定期間隔離します。

この隔離により、水槽内のパワーバランスを一度リセットするのが目的です。
強い個体が水槽内に広く縄張りを持ちすぎていることが攻撃性の原因なので、一旦別の水槽に隔離することで縄張りがリセットされるのです。

このとき、隔離ケースがあると何かと便利です。

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しばらく期間を経過させてから戻すことで、その個体は縄張りを失っているので落ち着くことがあります。

2、3回試してみて改善しない場合、単純に当該個体との性格的な相性が悪いものと思われます。

水槽が狭い

逆に水槽が狭すぎるのも攻撃性を誘発します。
魚のサイズに対し、狭すぎるとお互いにヒレをかじり合う原因となります。

例えば本来は温和なテトラ類であっても、ストレスのかかる環境では他魚のヒレをかじってしまうことがあります。

本来は温和なグローライト・テトラ。
ストレスのかかる環境下では、
他の魚のヒレを齧ることがあります。

特に45cm以下の水槽でこの現象は発生しやすいです。
水槽サイズが小さい場合は、サイズアップを検討してみるのも良いでしょう。

60cm水槽以上で遊泳スペースが十分にある環境ならば、ストレスを原因とする攻撃性の誘発は発生しにくくなります。

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水槽が広すぎると攻撃性を誘発しますが、狭すぎても誘発するというのは、なかなか難しいところですね。

実はかじられていないかも?

狭い水槽では水質の悪化が早いです。

ここでいう水質の悪化とは主に硝酸塩の蓄積を指しており、pHが必要以上に下がりすぎている可能性があります。

pHが著しく低い環境下ではヒレの先端が溶け、かじられたように見えることがあります。
そのまま放置すると尾腐れ病の発生を誘発しますので、まずはpHを測定しましょう。

その後、必要に応じて水換えで対応しましょう。

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水流が弱い

基本的に遊泳魚は水流を好みます。
水流がない、あるいは弱いと低層魚に接触しやすくなり、本来であれば起こりにくいはずのトラブルが起きることがあります。

これは水流の弱いスポンジフィルターや、外掛け式フィルターなどを使用している場合に起こりやすいです。
元々水流が強い外部式フィルターを使用している場合、それほど心配は要らないでしょう。

強めの水流を上層部に用意することで、好んで上層を泳ぎ回るようになり、逆に下層には近づきにくくなります。

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水流は上層で循環させよう

多くのコリドラスは基本的に、そこまで強い水流は不要です。

水流を好む遊泳魚を居心地の良い上層に留まらせ、下層で泳ぐコリドラスとの接触機会を減らすことがポンプ設置の目的です。

上層にプレッシャーをかける存在がいない

遊泳魚は基本的に群れることが多いのですが、プレッシャーを感じていない環境下では自由に散って泳ぐことがあります。

バリアタスやブラックモーリー、ドワーフ・グラミーやパール・グラミーなど、中型で他魚への攻撃性の少ない魚種を入れておくと、遊泳魚に程よいプレッシャーがかかります。

その結果攻撃性が落ち着き、群れでまとまった行動を見せてくれるようになります。

プレッシャーを与える熱帯魚

無視も制御もできない「個体の性格」

混泳においてどうしてもコントロールできない要素があります。
それは「個体の性格」です。

温和とされるテトラ類やプラティの中にも、個体の性格によっては他魚のヒレをかじるような攻撃的な個体もたまにいます。

反対に、攻撃性が強いとされるシクリッドやエンゼルフィッシュの中にも、個体の性格によっては他魚に攻撃しない温和な個体もたまにいます。

混泳の成否は、個体の性格により二分される要素も大きいです。
このため90%上手くいく組み合わせは存在しますが、100%上手くいく組み合わせは存在しません。
一般的に考えれば上手くいくことのほうが多いものの、少数の例外的な個体は必ず存在します。
このため、いかなる組み合わせであっても100%にはなり得ないのです。

成長の過程や、輸送などをきっかけに性格が変化することもあるので、狙い通りの性格を持った個体を手に入れることは極めて難しいのです。

性格のばらつき

個体による性格のばらつきはグループや魚種によっても異なります。

ラミレジィ
シクリッド系は個体差が大きめです。
基本的には混泳可能ですが、
攻撃性のある個体も一定数見られます。

知能が高いと思われる魚種ほど性格のばらつきが大きく、特にシクリッド類は個体間での性格の差が行動に顕著に表れる傾向があります。

例えばラミレジィやアピストグラマなどのドワーフシクリッドは体形が異なる魚種には興味を示さないことが多いため、基本的にはコリドラスとの混泳は可能です。

しかし、中には攻撃性を見せる個体もたまに見られるようです。
特にペアができたり、産卵・子育て中は攻撃性が増すので留意しておきましょう。


その上で安全に混泳できる魚種

ここまでで述べたように、混泳に100%絶対はありません。

飼育環境や性格の個体差まで加味した上で、コリドラスへの攻撃性が特に低く、よほどのことがない限り安全に混泳できる魚種は次の通りです。

よほどのことがない限り安全
グッピー
アフリカン・ランプアイ
ポポンデッタ・フルカタ
クーリー・ローチ

グッピー

ブルーグラス・グッピー

基本的に他魚への攻撃性は皆無です。
自分より大きい魚に手出しをすることはまずないでしょう。
コリドラスと安心して混泳できる代表的な組み合わせです。

ただし、水質に関しては本来、弱アルカリ性に寄ったものを好みます。この点はコリドラスと相違します。

とはいえ、水質に関してはどちらも適応力は高めです。
pH7.0±0.5の範囲であれば、問題が起こることはそうそうありません。
メインとするほうの魚種が好む水質に合わせると良いでしょう。

卵生メダカ

アフリカン・ランプアイ

ランプアイ系、またはオリジアス系の魚種であれば、他魚への攻撃性は皆無です。
自分より大きい魚に手出しをすることはまずないでしょう。

こちらもコリドラスと安心して混泳できます。

特にランプアイ系は弱酸性の水質を好むものが多く、水質の観点からも相性も良いです。

卵生メダカの仲間は特に水面付近を主な遊泳域とするため、コリドラスと接触することがあまりないのもポイントです。

レインボーフィッシュ

ポポンデッタ・フルカタ

小型レインボーフィッシュも攻撃性が皆無です。
最大サイズが6cm以下の種であれば、コリドラスとはまず問題なく混泳できます。

「ポポンデッタ・フルカタ」「ネオンドワーフ・レインボー」「ニューギニア・レインボー」「バタフライ・レインボー」「セレベス・レインボー」の中から選ぶと失敗が少ないでしょう。

おすすめのレインボーフィッシュ
ネオンドワーフ・レインボー
ニューギニア・レインボー
バタフライ・レインボー
セレベス・レインボー
中大型種はちょっと注意
ハーフオレンジ・レインボー

「ハーフオレンジ・レインボー」や「ブルー・レインボー」など、やや大型に育つ種に関しては若干の注意が必要です。

こちらもコリドラスとの混泳で問題が起きることは少ないですが、先に紹介した小型種に比べると体格差が出やすくなります。
最大で6cmよりも大きくなる種に関しては留意しておきましょう。

ローチ(ドジョウの仲間)

クーリー・ローチ

小型ローチ類もまず安全です。
コリドラスと同じく目の細かい砂地を好みます。

遊泳域は被りますが、お互いに攻撃性を持たないので仲良く低層で戯れる姿が観察できるのもポイントです。

「クーリー・ローチ」「ブラッククーリー・ローチ」「ポルカドット・ローチ」「ホースフェイス・ローチ」「ゴンゴタ・ローチ」の中から選ぶと失敗が少ないでしょう。

いかにもドジョウらしい形をした、にょろにょろとした体形の種から選べば概ね安全です。

おすすめのローチ
ブラッククーリー・ローチ
ポルカドット・ローチ
ホースフェイス・ローチ
ゴンゴタ・ローチ
ボーシャ体型はちょっと注意
ブルー・ボーシャ

ローチの中でも「ボーシャ系」と呼ばれるグループは若干の注意が必要です。
このタイプは一般的なローチ類に比べると遊泳性が高く、縄張りを持つ傾向があります。

特に「ブルー・ボーシャ」や「スカンク・ボーシャ」など気が強めの種類は注意が必要です。


ロングノーズはちょっと注意

基本的にコリドラスは温和なので、他魚に対し攻撃を仕掛けることはまずありません。

しかし、コリドラスの中でもロングノーズ系のグループだけは縄張りを持つ性質があり、例外的に攻撃性を持つことがあります。

コリドラス・ケルビヌス
ロングノーズは気が強め

▼ロングノーズ系コリドラスについて 詳しくはこちら

混泳させようとしているコリドラスがロングノーズ系の種の場合は、留意したほうが良いでしょう。


単独飼育がゼロリスク

コリドラスの混泳は熱帯魚全体で見れば、かなり混泳させやすい部類に入ります。
しかし、他グループの魚種との混泳はどうやってもリスクは0になりません。
90%安全な組み合わせはあったとしても、100%安全な組み合わせは存在しません。

希少なコリドラスや、伸長するヒレが命のコリドラス。
損傷すると著しく観賞価値を損なう種を飼育しているなど、絶対にリスクを避けたい場合は、コリドラスのみでの飼育がおすすめです。

希少なコリドラス
ゼブリーナ
ミラグロ
エヴェリナエⅡ
パンタナルエンシス
伸長するヒレを楽しみたいコリドラス
スーパーシュワルツィ
レセックス
パレアタス(ハイフィン)
ハイフィン・アルマータス

深掘り!コリドラスの混泳事情 まとめ

基本的には混泳させやすいほう
  • 便利なお掃除屋さんとして採用されることが多いコリドラス。
    コリドラス専用のエサは必要です。
  • 一般的に混泳可能とされる魚種であっても、飼育環境によっては攻撃性を誘発することがあります。
  • 一般的に混泳可能とされる魚種であっても、個体の性格によってはコリドラスに攻撃を仕掛けることがあります。
  • 「グッピー」「卵生メダカ」「レインボーフィッシュ」「ローチ」系の魚種は、その上でも攻撃リスクが低く、より混泳に成功しやすい部類です。
  • コリドラスが「ロングノーズ系」の場合は、多少の攻撃性があるので注意が必要です。
  • どうしてもリスクをゼロにしたい場合は、コリドラスのみでの飼育が無難です。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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