メチレンブルーの使いどき

活用テクニック
活用テクニック病気になった

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回はメチレンブルーを使うべきタイミング について、いくつか事例を紹介しようと思います。

体表に白点が付いている

白点病

観賞魚の体表に白点が付着している状態は、それ即ち「白点病」です。

メチレンブルーを使用すべきタイミングとしては、最も分かりやすいものがこの白点病でしょう。

いずれにせよ魚の体表に白点が見られるとき、このタイミングがメチレンブルーの出番です。

白点病は進行が速いので、見かけたらすぐに手を打つことが重要です。
1日(24時間)放置するだけで、原因となる寄生虫(原虫)は数千倍にも増殖しています。

ちょっと深掘り 白点病

白点病はウオノカイセンチュウと呼ばれるゾウリムシに近縁な生物(原虫)の寄生が原因です。
ウオノカイセンチュウ自体は常在的な生物で、どの水槽にも多かれ少なかれ存在しています。

健康で体力のある魚が寄生されることはふつうありませんが、輸送などのストレスで体力が低下している魚に対し寄生することで白点病は発症します。

▼こちらも参考


体表にもやが見られる

水カビ病

魚の体表にもやもやとした白いものが見られるときも、メチレンブルーの使いどきかもしれません。

これは「水カビ病」の可能性があります。

水カビ病に対しても、メチレンブルーの出番です。

水カビ病は他魚とのケンカや網で掬った際になど生じたなどにより物理的に生じた傷口から入りやすいです。

水カビが発生していない状態でも、傷のある魚に対して使用するのも有効です。


尾ビレに張りが無く、ギザギザしている

尾腐れ病

尾ビレに張りが無く、縁取りがギザギザしているときもメチレンブルーの使いどきかもしれません。

これは「尾腐れ病」の可能性があります。

尾腐れ病に対してもメチレンブルーは一定の効果が見込めます。

ただし尾腐れ病の原因はフレキシバクター・カラムナリスという細菌感染によるものです。
メチレンブルーの殺菌作用は強いものではないため、どちらかといえば抗菌剤の方が有効です。

抗菌剤が手元にない場合は、メチレンブルーが次点として効果ありということになります。
また、併用も有効です。

「グリーンF」のように、メチレンブルーと抗菌剤の両方を配合した製品もあります。


卵の水カビ対策

薄いメチレンブルーは
卵のカビ対策に有効

病気以外での有用な場面として、卵に発生する水カビの対策としても使われます。

特にメダカの卵の管理には有効です。
チャームでメダカの卵を発送する際は、発送時にメチレンブルーを少量添加することにより、カビの発生を抑制していました。

※メチレンブルーを使用してもカビの発生を100%抑制するわけではありません。
※使用した上でカビが生えてしまう場合は、多くの場合その卵は無精卵でしょう。


メチレンブルーのデメリット

メチレンブルーは魚病薬の基本とも言えるほどよく使われる薬品ですが、大きく3つの注意点があります。

着色のデメリット

メチレンブルーの使用にあたっての注意点は、水槽のシリコンやエアーチューブが着色されること。

メチレンブルーを使用した水槽はもれなくシリコンやエアーチューブが青く染色されてしまいます。
また、この着色は除去できません。

美観を重視したオールガラス水槽などの場合は、この着色は鑑賞上の大きな妨げになるかもしれません。
したがって、メチレンブルーを使用する場合は着色が生じても困らない水槽に投入しましょう。

トリートメントタンクは別途用意しておくのがおすすめです。

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水草へのデメリット

メチレンブルーは水草にダメージを与えます。
したがって添加する場合、水草は取り出しておかなければなりません。

バクテリアへのデメリット

メチレンブルーはろ過バクテリアにもダメージを与えます。
したがってフィルターを設置している添加する場合、ろ過バクテリアは1からリセットと考えたほうが良いでしょう。

白点虫自体はフィルター内にも潜んでいるので、白点病が発生しているということはそれ相応の数が水槽内に潜んでいることもあります。

もし万全に対策するのであれば、ろ過バクテリアの死滅を覚悟の上でメチレンブルーのメイン水槽への投入が確実といえるでしょう。
一方で、この場合ろ過バクテリアの立ち上げは最初からやり直しになってしまいます。

飼育している魚種の体力や、水槽立ち上げのやり直しにかかる労力を天秤にかけた上で、メイン水槽に投入するか?しないか?を判断すると良いでしょう。

エビや貝といったコケ取り生体に対して、メチレンブルーはダメージを与える点にも注意が必要です。

後で買いなおさなければならないものは出てくるかとは思いますが、判断に悩む場合は生体への病状の進行を考えると投入してしまったほうがよいです。


メチレンブルーが効く仕組み

メチレンブルーの病原体に対する作用機序は、酸化還元作用によるものといわれています。
色素が分解される際に活性酸素が発生し、ここで発生した活性酸素に殺菌・消毒効果があるため、病原体となる原生動物や細菌類に有効とされています。

なお、最も出番が多いと思われる白点病に対しては、実は目に見える白点そのものには効果がありません。また殺菌作用については、抗菌剤よりは弱いと考えられています。

メチレンブルーは魚の体表に肉眼で確認できる状態の白点には効果が無く、白点中のライフサイクルの過程で魚体から離れるタイミングがあり、このタイミングで消毒効果が作用します。

このライフサイクルを早め白点虫を魚体から離れさせるには、ヒーターによる加温が有効です。
28℃程度への加温+メチレンブルーの組み合わせで白点病が早く治るといわれるのは、この性質によるためです。


メチレンブルーとグリーンFリキッド

どちらもメチレンブルーが主成分の白点病治療薬です。

メチレンブルー水溶液
アクリノール添加無し
グリーンFリキッド
アクリノール添加あり

基本的な用途は似ていますが、「アクリノール」の添加有無が一つの差です。

「アクリノール」とは殺菌消毒剤の一種であり、観賞魚においては傷口からの感染症予防の目的で使われることが多いです。

特に水カビ病は傷口からの二次感染が原因となることが多いため、メチレンブルーで水カビ自体を退治しつつ、水カビ発生の原因となる傷口の消毒も行える点がアクリノールが添加されているグリーンFリキッドのメリットといえます。

薬効のみを求める場合は、メチレンブルー水溶液を。
薬効だけでなく、物理的な外傷に対しても使用する場合はグリーンFリキッドが有効でしょう。


マラカイトグリーンとの違い

アグテン
マラカイトグリーンが主成分

メチレンブルーとよく似た薬効を示す薬品として、他に「マラカイトグリーン」を主成分とした「アグテン」があります。

マラカイトグリーンとメチレンブルーの違いは次の通りです。
メチレンブルーよりも効き目が強く、早く効くといわれています。

ただし薬効期間が短いため、白点虫のライフサイクルを考えると複数回の投薬が必要になります。

  • 水草に使用可(メチレンブルーは不可)

メチレンブルーは水草水槽では使用できませんが、マラカイトグリーンは使用可能です。
ただしシリコンやエアーチューブなどが染色される点は、メチレンブルー同様です。


メチレンブルーの使いどき まとめ

こんな時に使いましょう
よく見られる魚の病気はメチレンブルーで解決!
  • 魚の全身に白い点が見られるとき。(白点病)
  • 魚の体表にもやもやとした白いものが見られるとき。(水カビ病)
  • 魚のヒレがギザギザ・パサパサになり部分的に溶けているとき。(尾腐れ病)
    ※ただし、尾腐れ病に関しては抗菌剤の方がより有効です。
  • メダカの卵が孵化するまでのカビ対策。

比較的頻繁に見られがちなトラブルに対しては、メチレンブルー1本でも幅広く対応が可能です。
メチレンブルーが効かない病気となると、ほとんどの場合細菌性感染症ということになります。
その際は抗菌剤を使用すると良いでしょう。

また、対象が白点病で、水槽を青く着色させたくない場合は「グリーンFクリアー」も有効です。

こちらの主成分は色素剤ではなく二酸化塩素です。
白点病にのみ有効ですが、水槽への着色が無いこと、水草を枯らさないことの2点がメチレンブルーに勝ります。特にレイアウト水槽では重宝する魚病薬です。

※赤系水草にはダメージを与えることがあります。

一方で価格に対して使用量が多く、コスパ的には割高です。
また効果もメチレンブルーよりやや弱いといわれています。

その水槽の目的や役割に応じて、薬品を使い分けるのも重要ですね。

▼こちらも参考


観賞魚の診療所

日本動物薬品株式会社様が観賞魚の病気と治療方法、魚病薬の使い方についてまとめたサイトです。
こちらも参考にご活用ください。

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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