魚先輩に学ぶ最強モテテク4選<恋に効くアクアリウム>

その他
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一般男性が突然、たいして仲良くもない意中の女性にバラの花贈ってみ?怯えられるから。

アクアリスト男子の皆様ごきげんよう。
本日はアクアリスト男子の皆さんに、今年中に駆け込みで彼女を作っていただきたく、女子がついついときめいちゃう「男のモテテク」について真剣に執筆していこうと思います。
安心してください。こちら、真面目なアクアリウム情報サイト「AQUALASSIC」です。

男のモテテク?あれだろ?壁ドンとかあごグイとかだろ?と、一瞬でも思ったあなた。水槽洗って出直して来てください。
壁ドンは、顔面国宝級のイケメンがやるからこそ成立する、「モテるテクニック」ではなく「すでにモテてるやつのみ許された所作」なのです。顔面国宝です。いつからみなさんは弥勒菩薩半跏像になったのか。いつから広隆寺に安置されたのか。
そのあたりの機微きびを理解せず世の一般男性がうっかり意中の女性に壁ドンをやらかしてしまうと、「相手を壁際に追いやり、壁に手をつけ顔を近づけた暴行罪に該当する可能性」が生じます。好意どころではなく暴行罪で訴えられますのでご注意を。

もっとけしからんのが顎グイ。特にアクアリストで釣りマニアの皆さんがやった場合、完全に顎グイは釣り上げた魚の下顎を持って針を外してる図になってしまうので避けた方が良いです。顎グイは、顔面国宝級のイケメンがやるから……(以下略

男のモテテク。そうです。アクアリストはアクアリストらしく、えら呼吸のできる脊椎動物の諸先輩方に教えを請いましょう。

アクアリストの顎グイ。

オイカワ先輩に学ぶ

オイカワ先輩の世界で最高にモテる男性はズバリ「イケメン」です。
はい。すでにテクニックではない。初っ端から元も子もないモテテクを惜しげもなく披露する。それがアクアリウム情報サイト「AQUALASSIC」。良い記事のためなら批判もいとわない。
日本産淡水魚の中でも最も美しいとされる婚姻色を持つオイカワ先輩。その美しさは顔面国宝を越えた全身国宝級。

日本産淡水魚の中でも最も美しい婚姻色の出たオイカワのオス。

婚姻色の出たオイカワ男子の美しさを説明します。頭部から背中はキリっと引き締まった黒。腹部は柔らかな桜色に染まり、各ヒレはシャープな赤で縁取られます。輝く体側はエメラルドグリーンをたたえ、所々で腹部の桜色の縞が背に向けて伸びています。そして何よりも目を引くのが翼のように大きく伸長した尻ビレ。追星おいぼしの出たシャープな小顔にもかかわらず、やや幅の広い豊かで引き締まった肉付きの胴はまさに眼福。日本淡水魚界のプリンスは恋の季節になると美しい婚姻色で己を飾ります。

しかしオイカワ先輩の凄さはただイケメンというだけではありません。オイカワ先輩は、いわゆる清流と呼ばれるごく限られた生息地でのみその姿を確認できる訳ではなく、関東ならばその辺の住宅街の脇を流れるような川でもその国宝級の美しさを惜しげもなく見せてくれることにあります。
渋谷・原宿・青山などの(オシャレ)清流にのみ生息するイケメン男子ではなく、どんな環境に置かれても己をカッコよく見せることができるその努力とその心意気が真のイケメン・真のモテテクであるとオイカワ先輩に学びましょう。

婚姻色が出始めた若魚。すでにイケメンの気配を漂わせる。

イトヨ先輩に学ぶ

イトヨ先輩は女心をがっちりつかむ天才の先輩として、アクアリスト男子はその行動を胸に刻んでいただきたい。実は不意に女性扱いされるとキュンとときめく女子も多いんです。重いものをさりげなく持ってくれたり、ドアを開けて入るのを待っていてくれたり、車道側を歩いてくれたり……。そんな日常のさりげない気遣いは、やり慣れないと恥ずかしくてできない男子も多いかもしれませんが、不意にお姫様みたいに扱われると女子はキュンとなってしまうものなんですよ。イトヨ先輩はそんなちょろい女心を見事につかむ天才です。

見てください!このイトヨ先輩の誠実そうな面構えを!

背中にある見事な3本の棘がトレードマークの洗練されたシャープなイトヨ先輩。婚姻色の出たイトヨ(オス)は縄張りを形成し水底に藻で球状の巣を作ります。巣が完成するとイトヨ(メス)を巣にエスコート。エスコートする様もジェントルマンで、ジグザクダンスを踊ったり寄り添って巣に誘ったりとあらゆるパフォーマンスに手を抜きません。急に姫扱いをされたイトヨ(メス)は見事にハートを射抜かれてしまいます。ちょろいです。
しかしイトヨ先輩の凄さはその巣へのエスコートだけではありません。

イトヨのメスは巣に産卵をするとさっさとその場から立ち去っていきます。しかし残されたオスはその場に残り巣の中に産卵された卵やふ化した稚魚を守ります。イトヨ先輩の世界では繁殖行為は分業制で、オスは巣作りと子育てを、メスは産卵のみをメインに行います。これを1年ちょっとの一生のうちに数回繰り返します。イトヨという種族が生き残るたびに身に着けた行動の進化とはいえ、究極のイクメン。これはもう、モテテクを超えたモテテク。

ベタ先輩に学ぶ

女子が一生に一度は遭遇したいシチュエーション(「筆者脳内調べ」)ベスト3は
3位「飛行船から足を滑らせて落ちたけど、親方ー!空から女の子が!って助けられる」
2位「食パンがじりながら遅刻だ~って曲がり角でぶつかったイケメンは転校生」
1位二人ともっ!私のために争わないでっ!」

「私のために争わないで」
……言ってみたい。死ぬ前に一度言ってみたい。
そんな女子の妄想爆発寸前ドキドキシチュエーションを叶えてくれる先輩。それがベタ先輩です。
ベタ先輩は闘魚の異名を持つことでも有名で、ベタのオス同士のケンカは相手を死に至らしめることがあるほど激しいものなのです。ベタの闘う理由は「自分よりも強いやつと戦いたい」的な、「そこに敵がいるから」的な、どこかの星の戦闘民族とうっすらリンクしますがそういうことなのです。すぐに「オラ、ワクワクしてきたぞ!」とか言い出すのです。とにかく気性が激しい。ベタの威嚇行動はフレアリングといって、普段畳んでいるヒレ・エラブタを全開にして体全体で強さを誇示してきます。
ちなみにベタは戦闘種族のため、オスだけではなくメスでもフレアリングが見られる場合もあります。他種との混泳は比較的のんびり平和に行えるにもかかわらず、自分に近寄る同種のオスと、場合によっては同種のメスにすら威嚇と攻撃行動を行うベタ先輩。

ハーフムーン ブルー&イエロー ドラゴンマーブル先輩。エラブタ全開でムッチャ怒ってます。

そんなハードボイルドな彼が恋に落ちた場合、それはもう情熱的。今までは威嚇に使っていたフレアリングを求愛に用いるのです。ヒレとエラブタを立てて最高にカッコイイ自分を見せつけるベタ先輩。「え、そんな鋭い視線で見つめられたら私……」このギャップにやられて女子は一発で恋に落ちるでしょう。落ちてしまうでしょう。
そして、情熱の権化・ベタ先輩は愛するメスの産卵も本気を出します。「ヒーヒーフーの時に背中をさする」とかそんな生易しいものではなく、こちらが見ていて恥ずかしくなるような、そう、これはまさに情事。踊りに例えると男女が絡み合う情熱的なラテンダンスのそれ。

更に特筆すべきは情事の後のベタ先輩ですよ。ピロートークとかそういうレベルの話ではないのです。ベタのオスはメスが産んだ卵を口で拾い上げ、自分の作った泡巣に運びふ化するまで甲斐甲斐しくお世話をするのです。人間のオスに爪の垢を煎じて飲ませたい(ベタの爪の垢とは。ワンオペ育児でボロボロになっている人間のママさんに見せてあげたい。
ベタのオスの愛情の深さの裏返しが攻撃行動に現れていると言っても過言ではありません。卵と稚魚を独りで守らないといけないオスは、卵を食べてしまう可能性のある同種には非常に攻撃的になります(育児モードになったオスはペアリングしたメスにも攻撃的になります)。
愛をささやくときも情熱的。愛のために戦う時も情熱的。ベタ先輩の男のモテテクは一にも二にも情熱に終始するんですよ。

エンゼルフィッシュ先輩に学ぶ

最後に、男のモテテクを披露していただく先輩は、ご存じエンゼルフィッシュ先輩です。そろそろオスだけが最終的に一人で育児をする悲しい生態は見続けるのがつらい……という気持ちになった頃合いかと思います。〆は超ラブラブなエンゼルフィッシュ先輩のモテテクを見て、ほっこりして終わりにしましょう。

レッドバック・エンゼルフィッシュ(ウィルヘルムブリード)

エンゼルフィッシュはペアを作りそのペアのどちらかが死ぬまで同一ペアで繁殖を行うペアの愛情が非常に深い魚といわれています。しかも繁殖を続けてペアの実績が長くなればなるほど絆が深まっていくというのだから、なんかもうその話を聞いただけで推せる。エンゼルフィッシュ推せる。
エンゼルフィッシュのペアはアマゾンソードの葉や産卵筒などに産卵し、ペアで卵の世話を行います(場所が悪かったりすると卵を咥えて位置を変えたりもします)。ふ化してから2カ月程度は親魚の周りを稚魚がうろうろと泳ぎ回り、親魚たちに守られながら成長します。

夫婦愛だけではなく親子愛までも見せつけてくれるエンゼルフィッシュ先輩。2匹で力を合わせて卵の世話をする姿や、ふ化した稚魚たちが親魚の周りをちょろちょろ泳ぐ姿などにほっこりとします。そんな仕草から、エンゼルフィッシュは古くから愛好家が多い魚でもあります。

オスのモテテクというよりも、飼育者の気持ちをぐっと掴む観賞魚の飼育者に対してのモテテクというか、趣旨から逸脱しているというか。言ってしまえば元も子もありませんが、夫婦愛・親子愛コンテンツは生命体としてモテる要素モリモリですね。
エンゼルフィッシュと同じ繁殖形態を持つ魚ではディスカスも有名です。ディスカスの場合はさらに子育てがユニークで、体表から出るディスカスミルクを稚魚に与えて夫婦で子育てをするんです。(ちなみにディスカスミルクはなんとオスからも分泌されます。ディスカス先輩は気合が違います。)

アレンカーレッド・ディスカスのペア

ちなみにエンゼルフィッシュのペアリングは、ほぼ本人たちのインスピレーションで決定されるようです。色や柄が美しいとか、良い踊りを踊るとか、素晴らしい家(巣)を作るではなく、幼魚から5匹ぐらいを同じ水槽に入れていたら自然と気の合う同士がペアになるという、「ただのクラスメイトから成り行きで気づいたら結婚しているパターン」なんですね。
それでも家族や配偶者を大事にできるということが、エンゼルフィッシュ先輩の最大にして最高のモテテクと言えるでしょう。

まとめ

アクアリウム男子の皆様、脊椎動物の諸先輩方の男のモテテクはいかがでしたか?
無脊椎動物の大先輩でいうと、メタリフェルホソアカクワガタは樹液を舐めているメスをオスが守る、メイトガードという行為がよく知られています。世のレディファーストの頂点に君臨しているのですが、それはまた別のお話で。
さて。オイカワ先輩にイケメンとは何かを学び、イトヨ先輩に女性のエスコートを学び、ベタ先輩に情熱を学び、エンゼルフィッシュ先輩に家族愛を学びましたね。これでもう怖いものはありません!アクアリウム男子の皆様におかれましても、時にあざとく、時に真摯に、ペアリングを目指して行動を起こしてみてください。

そういうこともある。

AQUALASSICはアクアリスト男子の皆さんが今年中に駆け込みで彼女を作れるよう、常に全力で応援していますよ!

投稿者
黒デメキン

犬と馬とリクガメが好き。
友人の自宅で生まれた黒出目金を稚魚から2匹飼っている。
口癖は「自分、アクアリウムに興味がない初心者なんで」。
うっかり詳しいなんて社内で言った日には、アクアリウム知識マウントの争いに巻き込まれて不要な怪我を負わされてしまうのです。

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