稚魚を口で育てる。アフリカンシクリッドのユニークな子育て

シクリッド
シクリッド

こんにちは、スズキです。
今回取り上げるのは、子育てをするアフリカンシクリッドたち。
アフリカンシクリッドは多種多様で観賞性の高い鮮やかな色彩を持つ淡水魚です。その種は500以上ともいわれ、非常に多くの種類が存在しています。

中でもユニークなのが、口の中で子育てをする「マウスブルーダー」たち。うまくいけば水槽飼育でも見ることができる、アフリカンシクリッドのユニークな子育てについてご紹介しましょう。

アフリカンシクリッドについて

アウロノカラ・コーネリアエ 
パラキプリクロミス・ニグリピニス ブルーネオン

アフリカンシクリッドとは、アフリカにいるシクリッドの総称です。シクリッド自体はカワスズメ科の淡水魚のことで、中南米や東南アジア、アフリカまで幅広く生息しています。種類も非常に多く、小型から大型まで約1300種類に及ぶほど。シクリッドといわれてピンと来なくても、エンゼルフィッシュやディスカスもシクリッドの仲間といえば、グッと親近感が湧くでしょうか。

アフリカンシクリッドの場合、主に東アフリカ三大湖(マラウィ湖、タンガニィカ湖、ヴィクトリア湖)に生息しています。

地図上で見るとそれぞれの湖は近接しているように見えますが、湖ができた年代が異なる上に今では河川でつながっていることもありません。そういった背景もあって、それぞれの湖には数百種類のシクリッドが暮らしていながらすべて固有種というのがとてもユニーク。海水魚を思わせる美しい色彩もまた、アフリカンシクリッドの魅力です。

さて、アフリカンシクリッドを含め、シクリッドの仲間は独特の子育てをする特徴があります。
そうです、魚なのに「子育て」をするのです。

魚だって子育てをする!

一般的に魚は子育てをしないものと思われがちです。
たとえば、メダカはふ化した稚魚は親魚から隔離しないと食べられてしまいます。
卵を産んだらそれっきりという魚がほとんどですが……
一部の魚の中には子育てするものがいるんです。
子育てスタイルもいろいろで、次のようなタイプが挙げられます。

外敵から子を守る

エンゼルフィッシュ 、トミヨなど

 

お腹で育ててから
出産する

グッピー 、ウミタナゴなど卵胎生、真胎生の魚

ミルク(粘液)を
与える 

ディスカス

 

他の魚にふ化を
まかせる(托卵)

ムギツクなど

魚とは思えないほど、どの子育ても個性的ですね。
シクリッドの仲間、エンゼルフィッシュやディスカスも独特な子育てをすることで知られています。

では、アフリカンシクリッドの子育てはというとこれまたユニークなのです。
なんといっても、「口の中で稚魚を育てる」わけですから。

マウスブルーダーとは

マウスブルーダーとは口内保育のことで、親が子をある一定の期間、口の中で育てる生物を指します。
魚類においてマウスブルーダーは淡水魚、海水魚それぞれに見られますが、なかなか知る機会のない子育てスタイルではないでしょうか。

ところが、アフリカンシクリッドに限っては当たり前のように行われているようです。東アフリカ三大湖で見れば、マラウィ湖、ヴィクトリア湖はすべての種が、タンガニィカ湖は4割の種がマウスブルーダーといわれています。受精卵を口にくわえたままふ化を迎え、稚魚がある程度大きくなるまで口の中でそのまま育てるのです。

ぜひ、実際の子育ての様子を動画でご覧ください!


親魚は常に忙しそうですが、稚魚にとって口の中はまたとない隠れ家ですね。
マウスブルーダーは、卵や稚魚の捕食を防ぐための合理的な子育て戦略というわけです。

なお、育児中の親魚がストレスに対処するために子食いをするという報告もされています。
飼育の際は親魚にストレスを与えないよう気を付けましょう。

アフリカンシクリッドの飼育方法

アフリカンシクリッドは弱アルカリ性の水質を好むという点に気を付ければ、飼育自体は難しくありません。熱帯魚飼育の基礎を押さえていれば飼育でき、繁殖にも挑戦しやすいです。フンをよくするので定期的な水換えをして水質を維持しましょう。
エサは人工飼料で十分です。1日2回、それぞれ5分程度で食べきる程度をあげましょう。冷凍のアカムシ、イトメ(イトミミズ)も食べます。

飼育に適した環境

水質(弱アルカリ性)、水温(22~28℃)に適応が可能です。
水質に関しては硬水を好みます。水道水が軟水の場合、硬度を上げる調整が必要です。

小型種でも10cm程度の大きさまで成長する種が多く、複数匹泳がせるためにも最低でも60cm水槽での飼育がオススメです。過密飼育する場合は相応の大きさの水槽を用意してください。

弱アルカリ性に傾ける底砂・カキガラ

弱アルカリ性の環境で飼育するために、底砂には大磯砂またはサンゴ砂がオススメ。
特にサンゴ砂は弱アルカリ性に傾けて、かつ硬度を上げる作用があります。

弱アルカリ性でも育つアヌビアス

水草は弱酸性を好むものがほとんどのため、弱アルカリ性でも育つアヌビアスは貴重です。
アフリカ原産であることもアフリカンシクリッドとマッチするでしょう。
流木や石に活着させることで味わいのある水景を演出でき、隠れ家にもなります。

混泳について

アフリカンシクリッド全般的に気が荒いため、混泳はアフリカンシクリッド同士で行うと良いでしょう。1~3匹のように少ない匹数で飼育すると、立場の強い・弱いができてしまいます。できれば5匹程度から飼育をスタートするのが理想です。やや過密にする方が攻撃の対象を分散し、ケンカを和らげることができます。また、飼育するにあたっては隠れ家を十分に用意してください。

こちらの記事で混泳の難しさを詳しく解説しています。

繁殖行動も特徴的

赤色の囲み内にある粒々がエッグスポット。オスのみに現れます。
エッグスポットがあるこちらはオス。
エッグスポットがないのでメスまたは立場の弱いオスと判別できます。

アフリカンシクリッドの場合、一般に群れの中で最も大きい個体がオスで、尻ビレのスポット模様(エッグスポット)が大きく、発色が良いとされています。幼魚、若魚のうちはオスメスの判別が困難なため、繁殖を狙う場合は複数匹飼育し、自然形成されたペアを得る必要があります。

マウスブルーダーは繁殖行動も特徴的です。ペアが決まったオスとメスがグルグルと回転するような動きをしたらそれは繁殖行動と見て良いでしょう。回転している間、次のようなことが行われています。

①はじめにオスとメスは互いの総排出腔を相手の鼻先に示します。
②オスがメスをつついて産卵を促し、メスは産んだ卵を口で拾い上げて回収します。
③メスが卵を回収する際にオスは尻ビレにあるスポット模様(エッグスポット)をメスにアピールします。
④メスはエッグスポットを卵と勘違いし、くわえようと口を近づけます。
⑤オスは放精することで、メスの口の中で受精が完了します。

10分ほどの間、②~⑤の行動が繰り返されます。卵の数は最終的には数十個ほどでメスの口の中で育てられます。

マウスブルーダーを行う美しいアフリカンシクリッド

ここでは、マウスブルーダーを行う美しい種をピックアップしてご紹介しましょう。

ニコルシー・エジプシャンマウスブリーダー

最大体長:7cm
コンゴ川原産のシクリッド、エジプシャンマウスブリーダーの中でも特に美しい種です。南米のアピストグラマのような色彩を持ち、各ヒレ、体色ともに赤と青の色彩が美しく、背ビレの黒い縁取りが特徴的。

中性の水質を好み、水質にもうるさくなく飼育、繁殖ともに容易です。小型ながらも気性は荒く、口に入るエビや小型魚は捕食される可能性があります。

アウロノカラヤコブフレイベルギ

最大体長 :12cm
マラウィ湖に生息するシクリッド、アウロノカラの仲間でも美種として古くから知られています。頭部と背ビレの青や体側のオレンジなど複雑な色彩が非常に美しい。

ブリード個体が多く流通しますが、アウロノカラの仲間は種間交雑が容易で交雑品種が多く、原種が分からないことも少なくありません。

弱アルカリ性の水質を好み、飼育は容易です。やや気が荒く、他種、同種間でケンカをします。

ネオランプロローグスブリチャージ

最大体長:10cm
タンガニィカ湖原産のシクリッドで、古くから親しまれています。英名で「フェアリー・シクリッド」と呼ばれるほど上品な美しさを持ち、数種の地域変種も知られています。

弱アルカリ性の硬水を好み、飼育は容易です。ペアで仲良く繁殖し、親子で群れて泳ぐ姿は非常にほほえましい。産卵後はペアで産卵と子育てを行うため、親魚に任せておけます。

アフリカンシクリッドの美しさ、繁殖の楽しさを味わうにはうってつけの種です。

ハプロクロミスsp.“Thick Skin”(CH44)

最大体長:9cm
ヴィクトリア湖原産のシクリッド、ハプロクロミスの仲間です。成熟したオス個体は重厚感のある金属光沢を持ち、体側のバンド模様も特徴的。尻ビレと尾ビレ、背ビレの縁が赤く色付く精悍な風貌を見せます。

独特な色彩から人気ですが、流通は非常に少なくヨーロッパからまれにもたらされる程度です。

同属の中では比較的温和な性質ですが、それでも小競り合いは起こり得ます。また、口に入るエビや小型魚は捕食される可能性があります。

丈夫で飼育しやすいムブナの仲間

以下はいずれもマラウィ湖原産のシクリッド、ムブナの仲間です。
ムブナの仲間は丈夫で飼育は容易ですが、やや気が荒く同種間でよく争います。
もちろんマウスブルーダーです。

ラビドクロミスカエルレウス
最大体長:10cm
美しい黄色に染まり、背ビレには黒のラインが入ります。その鮮やかさは海水魚のような鮮やかさです

イエローストライプシクリッド
最大体長:10cm
古くから親しまれ、イエローの体に黒いラインが美しい。発情したオスは黒と黄色の模様が逆転します。

ゴールデンゼブラ・シクリッド
最大体長:12cm
ムブナの代表的な種。幼魚のうちはオスメス共に鮮やかな青い体色ですが、オスは成長に伴い体色が黄色に変化します。

オレンジゼブラ・シクリッド
最大体長:12cm
コバルトブルー・シクリッドのゴールデン個体とされる改良品種です。全身が美しいオレンジから黄色に染まります。

スノーホワイト・シクリッド
最大体長:10cm
ラビドクロミス・カエルレウスの改良品種です。純白の体と赤い目の対比が美しい。


アフリカンシクリッドの中には、マウスブルーダーを行わないものもいます。
繁殖スタイルについては、商品ページの繁殖の項目でご確認ください。

まとめ

どこか民族衣装を思わせるような鮮やかな色彩、模様を持つアフリカンシクリッド。
ユニークな子育てをするという一面もまた、飼育の楽しみを広げてくれますね。

投稿者

ハオコゼに刺されてしまうスズキ。
三浦半島はうちの庭、熱海はうちの風呂と回遊しています。
伊豆半島ジオ検定1級を目指して勉強中。

AQUALASSIC(アクアラシック)

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