コリドラス・シミリス<熱帯魚解説>

コリドラス
コリドラス種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するのはコリドラス・シミリス。
頭部の斑点模様と尾部に入る濃い紫色の斑が特徴です。

「コリドラス・バイオレット」という別名でも古くから知られる、ポピュラーなコリドラスです。

コリドラス・シミリスとは

生物学的情報
名前コリドラス・シミリス
学名Corydoras similis
別名コリドラス・バイオレット
コリドラス・ヴァイオレット
分類ナマズ目カリクティス科コリドラス亜科
食性雑食
ノーズショートノーズ
シミリス系
分布ブラジル ― マディラ川
飼育要件
飼育しやすさ★★★★☆
容易
入手しやすさ★★★☆☆
ふつう
混泳しやすさ★★★★★
とても混泳向き
最大体長6cm程度
適正水温20~27℃
pH生存可能:5.5~8.0
適正範囲:6.0~7.0
※あまり気にしなくてOK
備考基本的に丈夫ですが、古い水を嫌います。

コリドラス・シミリスはブラジル、マディラ川原産のコリドラスです。

飴色の地肌の頭部に黒く細かいスポットが乗り、尾部に書けて濃い紫色に染まります。
このため、「バイオレット」という名で販売されていることも多いです。

本種はワイルド個体、ブリード個体どちらも流通します。
ブリード個体の方が安定的に流通が見られます。

シミリス ブリード個体

本種の飼育に関しては、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていれば、それでOKです!
注意点があるにしても、底砂に砂粒の細かいものを採用するぐらいでしょう。

目が細かい砂を使おう
田砂

コリドラスと田砂は定番の組み合わせです。

田砂の砂粒はほどよく細かいうえに角が丸く、コリドラスのデリケートな髭を傷つけない点が評価されています。

他にも、“ほどよく細かく、粒の角が丸い”砂であればコリドラスと好相性です。相性の良い組み合わせを探してみましょう。

コリドラサンド
ナチュラルネグロサンド
No.111 Spring Water
アマゾン川の白砂

一応、大磯砂でも飼育は可能です。

飼育難易度は、一般的なコリドラスに比べるとわずかに難易度が上がります。
管理に関しても特に難しい点はありませんが、丈夫とされるコリドラスに比べると古い水を嫌う傾向があります。

水質悪化に対してはやや弱めなので、気持ち多めの水換えを心がけると良いでしょう。

購入したてのうちは、体色が薄いことも多いです。
安定した環境で長期間飼い込むと、発色が濃くなります。


バリエーション

コリドラス・シミリス ショートボディ

ブリード個体の中に、まれに混じっていることがあるショートボディタイプです。
ショートボディタイプが単独で入荷することはほぼありません。

通常のシミリスに比べ、ころころとした体形と泳ぎに愛嬌があります。


シミリス似のコリドラス

コリドラス・カウディマキュラータス

学名:Corydoras caudimaculatus

ブラジル、グァポレ川原産のコリドラスです。
尾ビレの付け根の黒いスポットと体の点々模様が特徴的な種で、寸詰まりなかわいらしい体形が人気の種です。

シミリスとは非常によく似ていますが、尾部のスポットがこちらの方がくっきり入る点で区別できます。

コリドラス類は比較的丈夫な種が多い中、本種の幼魚は水質の大きな変化に弱いため、導入時などは非常にデリケートな一面を見せます。
一度水槽の水に慣れれば、丈夫で繁殖も狙える魚です。

シミリスとの比較
カウディマキュラータスの尾部
  1. 尾ビレの付け根の濃紫色のスポットの輪郭がくっきり
シミリスの尾部
  1. 尾ビレの付け根の濃紫色のスポットの輪郭がぼんやり

カウディマキュラータスの尾部のスポットは比較的輪郭がくっきりして範囲が狭いです。
これに対し、シミリスの尾部のスポットは比較的輪郭の境界があいまいでぼんやりしており、より広範囲に乗っています。この点で区別が可能です。

コリドラス・グァポレ

学名:Corydoras guapore

ブラジル、グァポレ川原産のコリドラスです。

カウディマキュラータス柄のエレガンスタイプといった位置づけにある種で、中層を活発に泳ぎ回ります。
コリドラスの中では例外的なほど遊泳性の高い魚種です。
レイアウトはあまり複雑に組まないようにし、遊泳スペースはできるだけ広く取りましょう。

飼育に関しては丈夫で飼いやすく、混泳にも向いています。

コリドラス・オウラスティグマ

学名:Corydoras ourastigma

ブラジル、プルス川、イクイリ川原産のコリドラスです。
シミリスのロングノーズタイプといった位置づけにある種になります。

シミリスとは異なり、頭部ではなく体の後半部が細かいスポットに覆われます。
尾ビレ付け根にはシミリス同様、輪郭がぼんやりとした大きな黒いスポットを持ちます。

このスポットの大きさや、頭部の模様の入り方には個体差が見られるようです。
それぞれが地域変異なのか、種の差なのかは、よく分かっていません。

飼育は容易ですが、他のロングノーズ種同様若干気が荒く、大き目の水槽での飼育に適しています。

バリエーション

オウラスティグマにはいくつかのバリエーションが知られています。

頭部にスポットが見られるタイプも知られており、こちらは「オウラスティグマ2」と呼ばれます。

チャームへの入荷は今のところありませんが、他にもいくつかのタイプが知られているようです。

オウラスティグマ2

コリドラス・ニューバイオレット

学名:Corydoras sp.cf.similis
Corydoras sp.NEW VIOLET

ブラジル原産のコリドラスです。
尾筒付近の濃色のスポットが特徴的で、コリドラス・シミリスに似た特徴からニューバイオレットの名前で流通します。

本種の方が濃色のスポットがより鮮明で、面積も限られる点で判別がつきます。
飼育は本家バイオレットよりも容易らしく、他のコリドラスと同様で問題ありません。

入荷は極めて稀です。

シミリスとの比較
ニューバイオレットの尾部
  1. 尾ビレの付け根の濃紫色のスポットの範囲が狭い
シミリスの尾部
  1. 尾ビレの付け根の濃紫色のスポットの範囲が広い

どちらも色やスポットの輪郭は良く似ています。
ニューバイオレットの方が面積が狭く、スポットの発色も濃い傾向があります。
これに対し、シミリスは広範囲にスポットが拡散しています。この点で区別が可能です。

コリドラス・マツザカエ

学名:Corydoras sp.

ブラジル、プルス川原産のコリドラスです。

ここまでで紹介したニューバイオレットやカウディマキュラータス、シミリスなどのセミロングノーズ版といえる位置づけにある種です。

頭部の細かなスポット模様は個体差あり、頭部のみに見られる個体や、あまりはっきりとスポットが見えない個体も見られます。

本種の名前は発見者の松坂氏にちなんでいます。
ただし学名として記載されているわけではなく、あくまでも流通名となるようです。

コリドラス・ミラグロ

学名:Corydoras sp.

ブラジル原産のコリドラスです。

シミリスとロレトパンダを足して2で割ったような色彩が特徴的な、「幻のコリドラス」とも呼ばれる希少種です。

生息地の環境汚染が進んでいるため入手するのが非常に困難で、入荷のタイミングがあれば奇跡的と言えるでしょう。
角ばった頭部と大きな目、伸長する背ビレが非常にかわいらしい種です。

ロレトパンダ

体には細かいスポット状の模様が入り、黒い背ビレの棘条は伸長してよく目立ちます。
飼育は水に慣れてしまえば丈夫ですが、臆病で食が細い面があるので、気の荒い魚との混泳は避けた方が良いでしょう。


有用なアイテム

おすすめの組み合わせは次の通りです。

水槽フィルター底床
30~90cm外掛け、上部、外部タブレット、顆粒(沈下性)

冒頭にも述べた通り、底床には基本的に目の細かい砂を敷きましょう。

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シミリスの飼育に関しては教科書通りの飼育で十分対応できるため、初心者の方でも飼育しやすいコリドラスです。

コリドラス全般に共通する基本的な性質については、コリドラス共通ページをご覧ください。

コリドラス
「コリドラス」の記事一覧です。

混泳について

シミリスは非常に混泳向きのコリドラスです。
コリドラス同士であれば基本的に問題ありません。

グッピー、プラティ、テトラ、ラスボラ・・・。
人気の小型熱帯魚とも混泳相性は抜群です。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
グッピーは弱アルカリ性を好みます。
プラティ・卵胎生メダカ
多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。
カラシン・小型テトラ
コイ・ラスボラ
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
ローチ、タニノボリ系は好相性です。
ボーシャ系の攻撃性を持つ種では注意が必要です。
フライングフォックス/アルジイーター
ドワーフシクリッド
アフリカンシクリッド
×
エンゼルフィッシュ
ディスカス
ベタ・グラミー・アナバス
コリドラス
オトシンクルス・ロリカリア
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※一般的なオトシンクルスやオトシンネグロは特に問題はありません。
プレコ
大型種の場合、遊泳域が重なるのでエサの取り合いが発生することがあります。
サイズや飼育数、遊泳スペースを調整すれば問題はありません。
※タイガー、ブッシープレコ系はトラブルを起こしにくいでしょう。
※セルフィン、ロイヤルプレコ系は力関係を要観察です。
レインボーフィッシュ
ハゼ・ゴビー
遊泳層がかぶるため、攻撃性の高い種では注意が必要です。
フグ・パファー
×
エビ・ビーシュリンプ
稚エビは食べられる可能性があります。
コリドラス・シミリスの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとは言えません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

基本的には、コリドラスに対し攻撃を仕掛ける生体でなければ、ほとんどなんでも混泳可能です。
コリドラスがトラブルの火種になることは少ないですが、コリドラス以外の同居魚同士の相性はよく考えてあげてくださいね。

コリドラス以外の生体間での相性はあるので、留意しましょう。

▼こちらも参考


コリドラス・シミリス まとめ

コリドラス・シミリス。

飴色のボディに頭部の細かなスポットと、「バイオレット」の由来でもある尾部の濃紫色が映える美しいコリドラスです。

本種も長期間じっくりと飼い込むことで、その発色が際立つようになります。
水質の悪化に多少弱い傾向があるので、水換えの際は気持ち多めの換水を意識してみてください。

本種とその類似種を集めてみるのも楽しいものです。
多くの類似種とは、尾部のスポットの乗り方で区別できます。
区別ができるようになると、さらに奥深さが楽しめますよ。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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