
コリドラスの魅力
コリドラスの世界へようこそ。
コリドラスは、チリを除く南米大陸に広く生息する小型ナマズの仲間です。
いわゆる「ソコモノ」と呼ばれる底層魚の代表格で、底砂に落ちているエサを掘り当てて食べる習性がよく知られています。
そんな“水槽のお掃除屋さん”としても有用な彼らは、単体でも十分に主役を張れる魅力を秘めたグループです。
ころころとした体形に、どこかコミカルな動き、そしてつぶらな瞳に惹かれてやみません。
しかも、それだけではありません。コリドラス最大の魅力は何といっても「圧倒的すぎる多様性」でしょう。
2022年時点で少なくとも200種以上(不明種込み)が知られており、毎年のように続々と新種が発見されています。どの種類にも個性的な魅力があり、そのバリエーションはとどまるところを知りません。
水質には比較的寛容で、簡単に飼育できる種類が多いのもうれしいポイントです。
基本的に温和で混泳もしやすく、ほとんどの種が5cm前後とあまり大きくならないこともあり、さまざまな種類をコレクションする楽しみもあります。
はじめての飼育する熱帯魚にもうってつけである一方、1匹数千円、数万円も超える種類も珍しくありません。
高価な種類はマニア垂涎の代物です。
しかも、基本的な飼育方法はどの種類もほとんど変わりません。
このため、「コリドラス」というジャンルの中でステップアップしやすいのも魅力の一つといえるでしょう。
それもあってなのか、初心者からハイレベルなマニアにまで、幅広い層にコリドラスは愛されています。
お掃除屋さんで終わらない、終わらせない。
熱帯魚界屈指の圧倒的な種数と奥深さを誇るコリドラスの世界へ。
貴方を誘いましょう。
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コリドラスとは

分類 | ナマズ目カリクティス科コリドラス亜科 |
体長 | 2~10cm程度 ※大半の種は5cm前後。 |
食性 | 雑食 |
主な原産地 | 南米 |
コリドラスは南米大陸に幅広く生息するナマズに近縁の熱帯魚です。
自然環境では底砂が細かく、水が新鮮で酸素の多い環境を特に好みます。
なお、水槽内では特に意識せずとも必要最低限の要件は満たされていることがほとんどです。
野生下では複数匹で群れていることが多く、同一河川内で複数の種が分布することも珍しくありません。模様が似通った別種が同一河川内に生息することもあり、これはどちらかがもう片方の種類に擬態した結果とも考えられています。
群れる性質から、水槽内では複数匹飼育したほうが落ち着きます。
必ずしも同種である必要はなく、体格が同程度のコリドラスであれば比較的どんな種類とでも群れを作るようです。
ケンカすることは滅多になく、協調性があるのもコリドラスの魅力です。
主なコリドラス
コリドラスの種数は極めて多いため、全種類紹介したいもののキリがありません・・・。
ここでは、比較的安定した入荷が見られる人気種をピックアップしてご紹介します。
コリドラス・アエネウス

学名:Corydoras aeneus
南米に広く生息するコリドラスです。
古くから通常個体は赤コリドラス、アルビノ個体は白コリドラスとして親しまれてきました。東南アジアからのブリード個体がコンスタントに輸入されています。
飼育が容易で入手しやすく、初心者向けコリドラスの代表種です。
入荷するのは大半がブリード個体ですが、ワイルド個体の入荷も時折見られます。
ワイルド個体では産地ごとに微妙な色形が異なるといわれており、マニアックなファンの需要もあります。
コリドラス・パレアタス

学名:Corydoras paleatus
ブラジル、パラナ川原産のコリドラスです。
青コリドラスの愛称で古くから親しまれる、緑灰色のまだら模様が特徴的な種です。オスの背ビレは長く伸びることがあります。
飼育は容易で入手しやすく、アエネウスと共に赤・青・白の3色セットは古くから知られる馴染み深い組み合わせです。
理想を言えばやや低水温を好み、22~25℃の範囲が望ましいです。
コリドラス・ステルバイ

学名:Corydoras sterbai
ブラジル、グァポレ川原産のコリドラスです。
茶褐色の地色に繊細な白スポットが美しく、さらに鮮やかなにオレンジ色の胸ビレの対比が目を引きます。
採集個体、ブリード個体共に多く流通し、丈夫で飼育しやすく存在感のある人気種です。
コリドラス・パンダ

学名:Corydoras panda
ペルー原産のコリドラスです。
その名の通り、パンダのようなカラーリングが愛らしい印象から人気の種です。
人気種ながら導入時などは非常にデリケートな一面を見せます。水合わせは慎重に行ったほうが良いでしょう。
一度水槽の水に慣れてしまえば、大変丈夫なコリドラスです。
コリドラス・トリリネアータス

学名:Corydoras trilineatus
コロンビア、ブラジル、ペルー原産のコリドラスです。
古くからコリドラス・ジュリーとあまり区別されずに扱われ、現在でもトリリネジュリーとして親しまれています。
本物のジュリーの入荷はやや珍しく、ホームセンターなどでジュリーとして販売されているコリドラスは、ほとんどの場合が本種です。
背ビレには黒斑を持ち、体や額に不規則な網目状の模様が見られます。模様や体高にバリエーションが多い点も楽しみの一つです。
コリドラス・パンク

学名:Corydoras leucomelas
ペルー、パカヤ川原産のコリドラスです。古くから親しまれている種であり、コリドラス・レウコメラスという名でも知られます。
目と背に黒いバンド、頭部に薄いオレンジ、全身に細かい黒のスポット という体色はさまざまなコリドラスで見られますが、本種はその代表といえるでしょう。比較的長寿であることも知られています。
コリドラス・コンコロール

学名:Corydoras concolor
ベネズエラ、パルグアザ川原産のコリドラスです。
黒と赤の独特のグラデーションが美しく、仕上がってくると頭部側は暗緑褐色、尾ビレと背ビレ側はオレンジに染まります。
飼育は容易な上、安定した環境で長期間飼育するほど、色彩がより深みを帯びてきます。
じっくりと飼い込むほど、本来の美しさを堪能できます。
コリドラス・アークアタス

学名:Corydoras arcuatus
ペルー、エクアドル原産のコリドラスです。
アーチ状の模様を持ち、古くから知られるコリドラスの代表的な種です。コロンビアなどでも分布が確認され、生息地が分散的で産地によって体色や体型に差異が見られます。流通量の多いポピュラー種でありながら繁殖例が少ないことでも知られています。
コリドラス・メタエ

学名:Corydoras metae
コロンビア、メタ川原産のコリドラスです。
古くから知られるポピュラーな種で、やや寸胴な体型と茶色の体色がかわいらしい種です。アークアタスのアーチ状のバンドをより外側にカーブさせたようなバンドが入り、目・背ビレ・尻ビレにかけて黒いバンドが入ります。
飼育は導入時の水質の変化に弱い面がありますが、一度落ち着けば丈夫な種です。
コリドラス・メリニ

学名:Corydoras melini
コロンビア、メタ川原産のコリドラスです。
茶褐色のボディに、斜めに入るブラックバンドが美しく人気の種です。メタエとよく似たカラーリングをしていますが、メタエは後半部のラインが背に沿うのに対し、メリニでは脂ビレ付近にはバンドが掛からず地の茶褐色が見えます。
ポピュラー種の中では飼育は若干難しい部類に入り、水質の変化にデリケートで弱酸性の水を好みます。
コリドラス・ソダリス

学名:Corydoras sodalis
ペルー ヤバリ川原産のコリドラスです。
体にはネットワーク模様と呼ばれる網目状模様が入る美しい種です。レティキュラータスによく似ていますが、背ビレにはレティキュラータスのような黒斑が入りません。
模様には個体差が大きく、ジャンクション上にラインがあるタイプと無いタイプが知られます。飼育は容易ですが若干臆病な性格なので、複数匹導入すると良いでしょう。
コリドラス・レティキュラータス

学名:Corydoras reticulatus
ブラジル、ペルー原産のコリドラスです。
ソダリス同様、ネットワーク模様と呼ばれる網目状模様が体と尾ビレに入ります。背ビレに大きな黒斑が入る点で、ソダリスと区別できます。脂ビレにも黒いラインが入ります。
ソダリスと並びネットワーク系コリドラスの代表種ですが、よく見るとソダリスとの相違点は多くあります。
コリドラス・ベネズエラオレンジ

学名:Corydoras venezuelanus
緑とオレンジのコントラストが美しいコリドラスです。
以前はアエネウス似の不明種という扱いでしたが、現在では独立種として落ち着きました。東南アジアでのブリード個体が多く流通しており、入手性は良いです。
状態良く飼育するとオレンジ色が鮮やかに映える美種です。
コリドラス・ベネズエラブラック

学名:Corydoras schultzei var.
1990年代にドイツで作出された全身が真っ黒になるコリドラスで、その特異な風貌から人気の種です。
かつてはコリドラス・ベネズエラオレンジの突然変異個体ともいわれておりましたが、実際は一切無関係でした。
本品種の正体は昨今「コリドラス・イルミネータス」の名で流通するシュルツィの改良品種というのが真相です。ややスレンダーな体形で、目まで真っ黒な姿は水槽内でもよく目立ち、とても愛嬌たっぷりです。
痩せやすいので、給餌を多めに心がけると良いでしょう。
原種:コリドラス・イルミネータス Corydoras schultzei
コリドラス・イルミネータスは背中に入る蛍光色のラインが特徴的なコリドラスです。
「イルミネータス」は流通名であり、正式な学名は「シュルツィ」です。
背中に入る色にいくつかのタイプがおり、グリーン、ゴールド、レッドなどのバリエーションが知られています。
ベネズエラブラックの正体がまさか本種だったとは、全く異なる色彩からも驚きですね。
コリドラス・シュワルツイ

学名:Corydoras schwartzi
ブラジル、プルス川原産のコリドラスです。
整った体の斑紋が美しく、胸ビレ、背ビレの白さが映えます。
体高もやや高くなることから、端整な印象を持ちます。
胸ビレの毒がコリドラスの中ではやや強いといわれているため、素手で触るのは避けましょう。
本種の名前は、ブラジルの熱帯魚輸出業者のウィリー・シュワルツィ氏にちなんでいます。
シュルツィとは名前が似ていますが、全く無関係です。
コリドラス・アドルフォイ

学名:Corydoras adolfoi
ブラジル、ネグロ川上流原産のコリドラスです。
明るい肌色の体色に目と背に黒のバンドがはっきりと入り、背ビレ手前の鮮やかなオレンジのスポットが最大の特徴です。
飼育自体は容易ですが、pH6.0前後のやや酸性に傾いた水質で体調や発色が良くなります。
ポピュラー種の中では高価な部類に入ります。本種の良さが分かるなら、立派なマニアの第一歩といえるでしょう。
コリドラス・ゴッセイ

学名:Corydoras gossei
ブラジル、マモレ川原産のコリドラスです。
輸入当初は非常に高価な種でしたが、今では落ち着きました。
独特の色彩からコリドラスの中ではステルバイ、アドルフォイに次ぐ人気のある種です。胸ビレ、背ビレの棘条は美しい黄色に染まり、頭部から背部に見られる濃紺の体色、尾ビレに入る縞模様が特徴的です。複数のコリドラスの特徴を良いところどりしたような美種です。
ヒレから出る毒が強いことでも知られます。刺されると特に痛いため、素手で触らないようにしましょう。
個別解説記事
主要なコリドラスを個別に詳しく解説した記事です。
このコリドラスのことがもっと知りたい!
と感じた時、きっと役に立つ情報が載っています。
解説しているコリドラスと色や柄が似た種についても、一覧と相違点を合わせて紹介しています。
充実したコリドラスライフにお役立てください。
さまざまな珍しいコリドラス
ここまで紹介したコリドラスは、比較的多く入荷が見られるほんの一部です。
コリドラスにはもっともっと多様な種類がいて、数えきれないほど存在します。
入荷は多いのに知名度が低いもの、あるいは年に数えるほどしか入荷しないもの、数年に1回レベルのもの、もしかすると1回きりのもの・・・
本当にさまざまな種類がいます。
まだ名前が付いていない種類もおり、いくら集めても集めきれません。
ぜひ、お気に入りの1匹を、見つけてみてくださいね。
▼チャームに今まで入荷したコリドラス全種一覧
コリドラスのカテゴリー
コリドラスと一口にいっても約200種以上がいるため、これを一括りにするのは実際のところさすがに無理があります。
コリドラスはざっくりと大別すると、「ショートノーズ」「セミロングノーズ」「ロングノーズ」「ラウンドノーズ」「ミニコリ系」「エレガンス系」の6グループに分けることができます。
グループごとに若干ですが性質も異なります。
各グループの基本的な性質を押さえておきましょう。
人気があって入荷も多いポピュラーなコリドラスは大半が「ショートノーズ」に該当します。
最も吻が長いグループです。比較的大型になるものが多く、かわいらしいイメージが強いコリドラスの中では迫力のある部類に入ります。
ロングノーズ系のコリドラスは低水温で溶存酸素の多い環境を好み、一般的なコリドラスと同じ感覚で飼育すると状態を崩してしまいがちです。
吻が長いため探索能力が高く、底砂の奥まで突っ込んで探すことができます。
底砂が薄いと吻がつぶれてしまうため、厚く敷くことが重要です。
少なくとも3cm以上の厚みで敷いておけば安心できます。
このグループは大型化しやすく、10cmに迫るサイズにまで育つこともあります。
エアレーションを強めに行うこと、水流を強めに設定すること、底砂を厚くすることの3点が、ロングノーズ系コリドラスを上手に飼育するための秘訣です。
コリドラス・バルバータスについて
テトラやラスボラなどのように、中層域を群れで遊泳するタイプのグループです。
このグループは大変小さく、成長しても3cm程度にしかならないものがほとんどです。
コリドラスとしては異色の性質を持つグループですが、古くから人気の根強い3種がいます。
飼育上の感覚はコリドラスよりもむしろテトラ類に近いです。
特にコリドラス・ハステータスは「ハステータス・カラシン」や「テトラ・オーロ」などの小型テトラ類に擬態しているとさえいわれ、模様もそっくりです。


一般的なコリドラスと異なり底砂にさほどこだわりがないため、底砂をあまり選好みしないのがポイントです。
ただし、浮上性のエサは食べにくいため、沈下性のものを与えましょう。
ピグミー、ハステータス、ハブロースス以外の入荷はとてもまれです。
たまに「コチュイ」という名前で入荷することもありますが、大抵はハブローススが別名で流通したものとなります。
本物のコチュイ
体高が低く、目がやや下寄りに付くコリドラスです。
基本的な性質はショートノーズに準じ、飼育しやすいグループです。



他のグループにも言えることですが、このグループは特に飼い込むことで色彩が増します。
状態良く飼育すると、鮮やかなメタリック系の表現を発色するものが多いです。
エレガンスの名に恥じない、優雅な発色を見せてくれます。
コリドラスのオスメスの判別は困難なものが多いものの、このグループに関しては体色や模様で判別できることが多くあります。
コリドラス飼育の基本
水槽の選択
コリドラスの飼育において、基本的に水槽サイズは問いません。
ポピュラーなショートノーズの種を1匹飼うだけであれば、30cm未満の水槽でも十分飼育は可能です。
しかし、コリドラスはそのあまりに多すぎるバリエーションから、ついついコレクションしたくなってしまうもの。できれば、60cm以上の水槽で始めるのが良いでしょう。
フィルター、照明が付いたセットなら、より安心して始めることができますね。


フィルターの選択
コリドラスは、ロングノーズ系を除けばそこまで水質に敏感ではない種がほとんどです。
外掛け式、上部式、外部式なら、どれを選んでも問題ないでしょう。
ちなみに水槽サイズが30cm以下は外掛け式、45cm以上は上部式か外部式がおすすめ。
ロングノーズ系に関しては、60cm以上で外部式フィルターの利用をおすすめします。
水質について
コリドラスは基本的に、水質はさほど気にしなくとも問題はありません。
どちらかといえば弱酸性を好みますが、多少弱アルカリ性に傾いても平気です。
従って、フィルターに初期付属のろ材をそのまま利用すればOKであることがほとんどです。
アドルフォイ、メタエ、パンダなど一部の弱酸性を特に好む種で、発色をより良く仕上げたい場合には、水質を弱酸性に傾けるろ材を使用すると良いでしょう。



これらの「茶色系」といわれるコリドラスは、「導入初期に弱い」といわれがちです。というのも、本来は弱酸性のこなれた水質を好むためです。
もちろん、コリドラスなので環境適応力は高く、時間をかければ大抵の水質には適応します。
とはいえ、すんなりとなじんで発色も良くなることを考えると、できれば最初から弱酸性に整った環境に導入してあげるのが理想的です。

パワーハウス ソフトタイプがその中では代表的です。
底床の選択

とりあえず、田砂。
「コリドラスには田砂」。
古くからそう言い伝えられるほど、コリドラスと田砂は定番の組み合わせです。田砂の砂粒はほどよく細かくて角が丸く、コリドラスのデリケートな髭を傷つけない点が評価されています。
とりあえずは田砂、脊髄反射的に選択してOK!なレベルでの好相性です。

でも、コリドラスが本当に求めている底床は他にあるのではないでしょうか。
実は、“ほどよく細かく、粒の角が丸い”という条件に当てはまれば、どんな砂でも使えるんです。
田砂以外にも相性の良い組み合わせをぜひ見つけてみましょう。
表現の幅が広がりますよ。




底砂の色と体色
さて、コリドラスの体色と底砂の色は実は密接に関係しています。
砂の色が濃ければ濃いほどコリドラスの発色は濃くなり、引き締まった発色が見られます。
基本的には色が濃い底砂の採用がおすすめです。
色が明るい砂を使うと、色味が白っぽくなります。
種類によっては色が抜けると、元に戻るまでに時間がかかる場合があります。
一方で、アドルフォイやロレトエンシスなどの白さに魅力がある種類や、アルビノ系の各品種に関しては、明るい色の底砂を採用すると白さがよく映えるでしょう。

アドルフォイは意識すべき点が多いのも、コリドラスマニアの登竜門といえます。

地色がもともと白なので、底砂は明るいほうが本来の体色が引き立ちます。

アルビノ系は底砂の色が明るいほうが白さが引き立ちます。
砂利での飼育はダメ?
不可能ではありません。
同居魚との相性の関係などで、大磯砂など目の細かい砂以外の底床を採用したい場合もあるでしょう。
あまりに粒が大きいとコリドラスの口ヒゲが傷つきやすく、また水質がアルカリ性に傾き過ぎると口ヒゲが溶けてしまうことがあるといわれます。
とはいえ、それが直接的な死因になることはありません。
コリドラスは丈夫なので、なんとか堪えてくれる場合がほとんどです。
ただ、コリドラスを中心に考えた場合、このような飼育はあまり良いとはいえません。
できれば、コリドラスが最も好む粒の細かい砂を用いるのが最善といえるでしょう。
コリドラスのNGアイテム
コリドラスの飼育には相性が悪く、使用をおすすめできないアイテムは次の通りです。
水草とコリドラスは相性が悪い?
コリドラスは底床を掘る性質上、水草との相性はあまり良くないといわれています。
例えば、ロタラなどの有茎草を底床に植えた直後にコリドラスを入れた場合、たちまち引っこ抜かれてしまうでしょう。
この点では確かに相性は良くありませんね。
でも、十分に根を張った水草まで掘り起こしてしまうようなことは、まずしません。
有茎草を植えて十分に時間を経過させ、根張りさせた状態でコリドラスを導入すれば、このような問題は起きにくいでしょう。
もし、根が張るまで待てない!ということであれば、水草用のおもりを使用するのが有効です。

また、アヌビアスやミクロソリウムといった、石や流木に活着させるタイプの水草を中心にした場合、お互い特に影響を受けません。
この組み合わせは、相性が良いと言えます。
ソイルを使用する場合は、ソイルを敷いたエリアが一面水草で覆われ、茶色い部分が見えないぐらいに茂っていればコリドラスを入れても問題ないでしょう。
砂のエリアとソイルのエリアをきちんと敷き分けると、コリドラスを主役としたレイアウト水槽を作り上げることも夢ではありません。
このように、水草の種類の選定や、水草を植えてからコリドラスを入れるタイミングを十分に考えることで同居は可能です。決して相性が悪いなんてことはありません。
ぜひ、コリドラスと水草が織りなす水景を作り上げてみてくださいね。
餌
コリドラスは、水槽のお掃除屋さんとしても有名なほど、他の魚の残飯をよく食べます。
しかし、残飯掃除要員と決めつけてしまった場合、大抵それでは餌が足りずにやせ細り、しまいには餓死してしまいます。
コリドラスは意外にも大食漢です。
このため、コリドラスにも専用にきちんと給餌してあげる必要があります。
コリドラスには専用のタブレット(通称:コリタブ)がありますので、これらを利用すると良いでしょう。


コリドラスはその性質上、多頭飼育になりがちです。
1匹で飼い始めても、いずれ集めたくなってしまうでしょう。
気が付いたらあれもこれも欲しくなり、そして水槽にいろいろなコリドラスが増えていくのです。
コリドラスたちがにぎやかにタブレットを食む姿は、なかなか愛くるしいものですよ。
それでも飼育尾数が少なければ、タブレット丸ごと1個では多い場合があります。
この場合、小さく割って与えるか沈下性の顆粒フードを与えると良いでしょう。

混泳
コリドラスが口に入らないサイズの魚であれば、ほとんどの種類と混泳可能です。
サイズが同程度で執拗にコリドラスに対し攻撃を仕掛ける種類でなければ、ほぼどんな熱帯魚とも混泳できます。
エンゼルフィッシュとの混泳も可能な、数少ないグループです。
性質も温和、水質にも寛容なのでさまざまな組み合わせが楽しめます。
pHはどちらかといえば弱酸性を好むものの、多少弱アルカリ性に傾いていても7.5くらいまでならほとんどの種は問題ありません。
コリドラスの場合、混泳相性が悪いグループのほうが少ないので、
混泳がおすすめできないグループをご紹介します。
コリドラスと混泳がおすすめできない熱帯魚
古代魚系、アフリカンシクリッド系、淡水フグ系。
コリドラスとの混泳が難しいグループは、主にこの3グループぐらいです。
古代魚や大型魚は、万が一口に入ったときのリスクが大きいため、不向きです。
アフリカンシクリッドと淡水フグは、コリドラスに対する攻撃性が高いため不向きです。
この3グループ以外であればほとんどの種とコリドラスは混泳可能です。
シクリッドでも、ラミレジィやアピストグラマなどのドワーフシクリッドは、混泳可能です。
体格が同程度で、コリドラスに対して攻撃しない種なら、いろいろな組み合わせが楽しめます。ぜひ試してみてください。
さまざまな熱帯魚と混泳させれば、にぎやかな水槽になるでしょう。
コリドラスの繁殖

主にコレクション目的で飼育されることの多いコリドラスですが、種類によっては繁殖が狙えます。
ただし、オスメスの区別がやや難しいため、狙ってオスメスを複数手に入れることが最初の難関になるかもしれません。
一般には、腹ビレが尖っているものがオス、丸いものがメスといわれています。
種類によって異なるので、殖やしたい種類ごとに詳細な確認は必要です。
繁殖を狙う場合、親魚の成熟が重要です。
ブリード個体では1年程度で性成熟しますが、ワイルド個体では5年程度を要する場合もあります。
コリドラスの飼育は容易ですが、繁殖の難易度は比較的高い部類に入ります。
産卵させるまでの手順
- コリドラスの基本的な飼育設備を整えます。繁殖を狙う場合は45cm水槽以上がオススメです。
- 繁殖させたいコリドラスを、オス2匹メス3匹程度入手します。1ペアだと上手くかからないことがあるためです。
- 生餌を主体に十分な給餌を行います。イトメが最も理想的です。活イトメが最良ですが、入手が難しい場合は冷凍や乾燥のものでも代用可能です。
赤虫も良いといわれます。(ミニコリ系にはやや大きいです。) - 十分に成熟したメスはふっくらとした体型になってきます。十分に成熟するとオスがメスをしきりに追うようになります。
- このタイミングで2/3以上、普段の換水より多めに水を換え、水質変化による刺激を与えます。
- うまく行くと、pHや水温・水質の変化をきっかけに産卵行動に至ります。
- 卵は非常に粘着性が高く、水槽面やパイプ、流木などに数個ずつまとめて産卵します。この産卵時にはTポジションと呼ばれるユニークな行動が見られます。



※イトメを与える場合、直にまくより小皿に乗せて与えると底床が汚れにくいのでおすすめです。
産卵後の育成
産卵直後の卵は簡単にはがせるので、別容器に移して十分にエアレーションします。
ふ化後の稚魚は、ヨークサックが吸収されるまでそのまま様子を見てください。
卵の殻や飼育水中のゴミは、見つけたらスポイトで除去しましょう。
ヨークサックが吸収されたら、ブラインシュリンプの幼生をふ化して与えます。
コリドラスの繁殖は難種も多く、ロングノーズ種では稚魚の育成が難しい種も多くいます。

コリドラス豆知識
知っておくと飼育がさらに楽しくなる、
コリドラスに関する補足情報を紹介します。
よく似てるけど別種です
コリドラスの中には、模様が似通った組み合わせがいくつか存在します。
例えば、コリドラス・アドルフォイとコリドラス・イミテーター。
両者の模様はとてもよく似ており、どちらもネグロ川に生息しています。
混ざって入荷することもあります。
よく見ると体型や口部の形など、その他の要素で微妙ながら区別することは可能です。
例えばアドルフォイとイミテーターは吻部の長さで区別することができます。
詳しくは後述しますが、アドルフォイはショートノーズ、イミテーターはセミロングノーズと呼ばれるタイプになります。
「イミテーター」とはラテン語で「偽物」や「擬態」の意ですが、もしかするとアドルフォイのほうがイミテーターに擬態しているのかもしれませんね。
卵が先か鶏が先かに通ずる話ではありますが・・・。
防御力に全振りしました

白いヒレが美しい種ですが、ヒレの毒が強めということで知られています。
網ですくえば問題なし。
コリドラスは全身が硬い鱗で覆われており、背ビレ、胸ビレは意外と鋭いです。
サイズこそ小さいものの、防御力に特化した進化を遂げた小型ナマズがコリドラスといえるでしょう。
鱗が硬いだけでなく、種類によっては胸ビレから弱毒を分泌するものもいます。
あくまでも防御手段なので、コリドラス自ら刺してくることはありません。
素手でつかめば刺さりますが、網ですくう分には全く問題ありません。
万が一刺されてしまっても、ほとんどの種類ではチクッとする程度で済みます。
一部の毒の強い種の場合は、しばらくの間痛むことがあります。
人気種の中では、シュワルツィ、ゴッセイがその代表です。
この毒はタンパク質系の毒であるといわれており、ぬるま湯に患部を付けておくと和らぐようです。
※万が一、痛みが引かない場合には病院に行きましょう。そもそも素手でつかまない限り、コリドラスは安全です。
大型の肉食魚に食べられてしまった場合、コリドラスは口の中でヒレを突き刺し抵抗します。
しかし、脱出することができません。
一方で、肉食魚はコリドラスが口の中に挟まったままとなり、餌を食べることができません。
その結果、両者ともに餓死、共倒れという事態が起こり得ます。
このため、大型肉食魚との混泳は全くおすすめできません。
サイズが同程度の魚であれば、ほとんどの魚と混泳が楽しめます。
硬い鱗と鋭いヒレ、種類によっては毒まで備えて、「絶対に食べられるものか!!!」という鉄壁の意思を感じられますね。
寿命が長い
一般的な小型熱帯魚の寿命は2~3年程度ですが、コリドラスの寿命はやや長く、5年程度生きるものが多いといわれています。
上手に飼育すると10年以上生きる例もあるようで、小型魚としては長寿な部類に入ります。
コリドラス専門コラム<コリから目線でモノを言う>
コリドラス用語集
コリドラスの飼育において特に使われる専門用語をピックアップしてご紹介します。
スポット系・・・全身に斑点が散りばめられるコリドラスを指します。
主にステルバイ、トリリネアータス、ジュリー、シミリス、カウディマクラータスなどが代表種です。
アイバンド系・・・目に黒いバンドが入るコリドラスを指します。
主にパンダ、パンク、メタエ、メリニ、アドルフォイなどが代表種です。
ネットワーク系・・・体に網目状の模様が入るコリドラスを指します。
主にソダリス、レティキュラータスなどが代表種です。
口吻(ノーズ)・・・コリドラスの口とヒゲの部分です。この部分の長さで近縁関係がグループ分けできると考えられており、そのグループごとにおおまかな共通する性質があります。
棘条・・・トゲのように鋭く尖る背ビレ、胸ビレの硬い部分を指します。種類によっては毒があるため注意が必要です。ただし素手で触らない限りは問題ありません。
鱗板・・・コリドラスの全身を覆う固い鱗を指します。
ジャンクション・・・コリドラスの下半身の体側中央にある鱗板の繋ぎ目を指します。
この部分に線が乗る場合、ジャンクションラインと呼ばれます。

黒い線の部分が、まさに
ジャンクションラインです。
Tポジション・・・コリドラスが繁殖行動の際に見せる特殊な姿勢を指します。
ここまで紹介したコリドラスたちは、チャームで販売しています。
魅力的なコリドラスに興味を持たれた方は、ぜひ飼育を始めてみましょう!
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