ビーシュリンプの世界

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ようこそ、ビーシュリンプの世界へ……

ビーシュリンプは、台湾原産のヌマエビの仲間。主に水槽内のお掃除、流木・水草についた苔、底床に残った残餌のお掃除といったイメージが強くあるのではないでしょうか。
今ではコケ掃除役だけではなく、繁殖能力の高さから多くの愛好家・ブリーダーさんたちのたゆまぬ努力もあって多くの品種が生まれ、今でも多くの方を虜にしてやまない存在になっています。

ビーシュリンプと聞いてイメージする個体といえば、紅白カラーでおなじみのレッドビーシュリンプでしょう。ちなみに、このレッドビーシュリンプがオリジナルではないことはご存知でしょうか?
実は、はじめからこのような色合いではなかったのです。

近年、一般的に流通している「ビーシュリンプ」は、約40年前の1982年に原産地とされる香港から輸入されたといわれています。


輸入当時は、半透明に白のバンド模様のシュリンプで、皆さんが目にしているカラーリングとは異なる地味な色合いでした。

まだ人気に火の付いていない頃でも、ドイツのアクアリストの中では注目されていたようです。

白黒の黒ビーシュリンプが日本が最初といわれていますが、以前にも台湾から現在のとは離れたカラーバリエーションのシュリンプが輸入されていました。

黒ビーシュリンプの輸入が多くなり、ブリーディングしていた中でビーシュリンプの色彩変異の赤い個体が偶然生まれました。それを選別し、赤い突然変異個体同士をかけ合わせて作られたのが、現在ではスタンダードになった紅白縞模様が特徴的なレッドビーシュリンプです。

初期は白い部分に透明感があり、「CRS=クリスタルレッドシュリンプ」と呼ばれていました。

現在流通しているような赤と白の色の厚みはなく、原種に近い、赤い半透明な色と白の粉をまぶしたバンド模様といった姿でした。

レッドビーシュリンプが誕生したのが1991年。
流行して30年経った現在でも、先人の方々の努力・知恵を受け継ぎながら多くの品種が誕生し、多くの人々に愛される存在となっています。そんなビーシュリンプの世界をもっと掘り下げていきましょう。

ビーシュリンプの魅力
  • 小型生体のために用品のサイズが選べ、スペースを取りません。
  • 繁殖力が高いためにブリーディングしやすく、探求心をくすぐる交配が可能。
  • カラー・模様のバリエーション多く、コレクション性が高い。
  • 水槽内をお掃除してくれるので手間がかからない。

ビーシュリンプの生物学的データ

分類ヌマエビ科・ヒメヌマエビ亜科・ヒメヌマエビ属
体長2~3cm
食性雑食
主な原産地中国、香港

ビーシュリンプは、茶と白のツートンカラーのバンド模様の姿から蜂(Bee)をイメージさせることから、輸入業者が流通名として付けた名前が定着しています。

成体の体長は3~4cm程度と小型。
原産国は香港・中国とアジア圏内ですが、原産地での原種は絶滅したといわれています。現在流通している個体は全て飼育下での繁殖個体と考えられています。

呼び名も多く「本ビーシュリンプ」「原種ビーシュリンプ」「リアルビーシュリンプ」など多く存在しています。また、今となってはヒメヌマエビ属と同定されていますが、以前はヒメヌマエビ属かカワリヌマエビ属か定まっていないこともありました。


グレードって?

ビーシュリンプは、額角・頭胸部・腹部・胸脚・腹脚と部位のバランス・発色が良い個体をハイグレード個体とし、グレード別に販売されることもあります。

グレードはA~SSSといった表記になり、希少価値が高い(模様、柄の出方)・色が濃い(色の厚み)・全部位のバランス(脚にも色が乗る)などの見分け方があります。

品種によってグレードの定義が異なる場合があります。希少価値もプラスされるとさらに価値が上がります。

※お店・生産者によってグレードの選別基準があります。ここでは選別の目安としてご紹介しています。


状態確認

病気になって落ちるということはあまり耳にしませんが、大量ロスよりも数匹ずつロスしている状態が続くという話はよく聞きます。

アンモニアや亜硝酸の発生もなく、原因不明のようなことはありませんか?
ソイルや水中に有機物が蓄積して雑菌(エロモナス菌など)が増えたことでシュリンプに感染し、弱い個体から落ちていくというケースがあります。

原因の1つとして、餌や添加剤などの入れ過ぎが考えられますね。

有機物がたまって水が汚れてくると、コケが生えやすくなったり、シュリンプの動きが鈍ってきたり、色が落ちて来たりします。よく観察して水質の悪化を察知し、対策をしましょう。


主なビーシュリンプ・品種

ビー・シュリンプ

学名:Neocaridina sp.

香港原産、原種型のビーシュリンプ。
茶のバンドに白いパウダー状ラインがあり、頭や尾に黄色が見られます。

「本ビーシュリンプ」「元祖ビーシュリンプ」「原種ビーシュリンプ」「リアルビーシュリンプ」「香港ビーシュリンプ」というように、呼び名も多くあります。

ニュービー・シュリンプ

学名:Neocaridina sp. 

中国南部、香港原産のシュリンプ。

原種の香港ビーシュリンプの次に輸入されたことから、「ニュービーシュリンプ」「中国ビーシュリンプ」とも呼ばれています。

レッドビー・シュリンプ

学名:Neocaridina sp.

ビーシュリンプの色彩変異個体。

現在、最もスタンダードなタイプとなった紅白模様の淡水エビです。

本来は黒くなる部分が赤くなる突然変異体を固定化した品種です。

初期は白い部分に透明感があったことから「CRS=クリスタルレッドシュリンプ」と呼ばれていました。

ブラックビー・シュリンプ

学名:Neocaridina sp.

黒のみを強く出したシュリンプです。レッドビーシュリンプはこの黒から派生しました。
「白黒ビーシュリンプ」「黒ビーシュリンプ」などの呼び名も存在します。

今ではブリード個体のみの流通になり、主にあげられるシュリンプといえばこの4品種になります。

輸入当時は高額で敷居の高いイメージもありましたが、現在は価格も安定し、安価で入手できるようになりました。


変幻自在・豊富なバリエーション

タイガー

腹部のバンドが左右対称2本に分かれている個体を指します。
他に、太バンド・4バンド・3バンド・Vバンドなど、頭部から尾にかけての白のバンドで決まります。

日の丸

腹部のバンドが日本の国旗の様に日の丸状の個体です。
W日の丸・進入禁止・二の字・一の字など、さまざまに派生した模様も存在します。

モスラ

腹部全体が白くなった個体。日の丸とは違い、赤い模様がなくなって白のみでの表現になっています。

丹頂(タンチョウ)

丹頂は、タンチョウヅルのように頭に赤い模様が頭部入っている個体です。全体的に白色の方が多く、赤(黒)部分は少な目となっています。

麻呂(マロ)

頭胸部に麻呂点と呼ばれる白いドットを持つ個体を指します。

クリーム(ホワイト)

ビーシュリンプの改良により、体色がクリーム~ホワイトで表現された品種です。表現下にピンクが薄く出る個体もいます。

ファンシー

ビーシュリンプ同様の色彩を持つ品種です。ピントシュリンプ作出過程に出現したといわれていますが、詳細は不明となっています。ピント模様を持つものや、タイガーシュリンプのような模様等、バリエーションが多く見られます。

レッドファンシータイガー

不規則な白い模様を持つゼブラシュリンプ系の品種。

一部の愛好家が国内で繁殖させている品種のため、流通量が少ないといわれています。

フィッシュボーン

名前の通り、個体の表現として赤(黒)の甲殻に魚の骨のようなバンド模様が入ります。ツヤと透明感、体色が美しく、スポットの出方にさまざまなバリエーションが存在するのが特徴です。

ピント

ドイツで作られた品種、頭部に白いドット柄(ピント斑(まだら))が入ります。ドット柄がかわいらしく、バンドの麻呂とは抜け方が異なります。

シャドー

ビーシュリンプに比べると黒または赤に透明感(光沢)があり、厚みのある色彩表現を持ちます。白色が入らないフルレッド・フルブラックや、頭と尾に白が入るキングコング・バンド模様が入る個体には、パンダのようにシャドーにも模様の入り方に豊富なバリエーションがあります。

ターコイズシャドー

台湾で作られた改良品種の1つで、ブラックシャドーを交配して作られています。体表に青と淡い青が混ざった表現を持っています。品種から模様のバリエーションをご紹介しましたが、紹介できなかった品種もまだまだたくさん。
今まさに新しい品種が生まれているかもしれません!
こんなコレクション性の高さこそ、ビーシュリンプの醍醐味ともいえます。


ビーシュリンプ飼育の基本

水槽の選択

ビーシュリンプを飼育するにあたり、最優先で考えないといけないことは繁殖能力の高さです。オス・メスを選んで購入できれば繁殖の可能性を減らすために少数での飼育、繁殖を込みで考えるのであれば水槽のサイズも考慮しておきたいものです。

※30cmキューブ~60cm水槽、1Lあたり1匹という考え方、飼育の方向性を考慮して水槽選びをすれば失敗ないでしょう。

フィルター

ビーシュリンプは水質の変化に非常に敏感です!とはいいますが、ろ過機能が高いものを選んでいただければ大丈夫でしょう。

水槽内は自然を再現したい方はレイアウトに干渉しない、隠すことのできる外掛け・外部・上部フィルター。

ろ過能力を一番に考えるなら、底面フィルター・スポンジフィルターなどプラスして使用すればろ過能力が高くなります。

繁殖を考えている場合は、稚エビが吸われないよう、底面フィルター・スポンジフィルターを選ぶと良いでしょう。

底床(ソイル)

シュリンプ飼育で使用される底床(ソイル)は2種類。「栄養系ソイル」と「吸着系ソイル」があります。使用用途で選ぶと良いでしょう。

栄養系ソイル

水槽が立ち上がるまでに1カ月程度かかりますが、立ち上がればビーシュリンプもたくさん繁殖してくれる環境を作ることができます。ただ、良いこともあれば悪いこともあり、立ち上げ初期では亜硝酸などの放出が見られます。
これには、亜硝酸を分解するバクテリアが定着すれば問題は解決します。

吸着系ソイル

吸着系ソイルはその名の通り、水槽内のアンモニアなどを吸着する性質のあるソイルです。シュリンプが初めて、アクアリムが初めてという方にもオススメのソイルです。

水槽の立ち上がりは1~2週間と短く、底面フィルターなどと組み合わせることで、より水質の維持(管理)も容易になります。

吸着系ソイルにも欠点はあります。寿命が短いことやリセットへの判断が難しいことが挙げられます。
見た目で判断ができないため、判断基準となると水槽を立ち上げてから6か月を目安にすると良いでしょう。

田砂・大磯

ビーシュリンプ系の多くは弱酸性での飼育が可能になりますが、品種によって弱アルカリ性の硬水の方が飼育しやすくなります。

弱アルカリ性だと調子が良い!

ゼブラ系シュリンプに多くみられますが、現在では弱酸性の水で問題はありません。

活性があがらず、調子が悪いと思ったら環境を見なおしてみましょう。

水質・水温について

シュリンプはデリケートなため、pHショック・高水温・水質の悪化で水槽崩壊することも考えられます。

理想とされる数値としては、弱酸性6.0~6.5の軟水とされています。ただ、ビーシュリンプは甲殻類であり、水中のカルシウムマグネシウム等のミネラルを吸収して殻を作ります。そのため、軟水では殻の薄い弱いエビになり、最悪の場合は脱皮不全で死んでしまうこともあります。

水質は、カルシウムやマグネシウム等のミネラル豊富に含まれる硬度の水質で、水温も22~26℃を維持できるよう管理できれば問題はありません。
成長・繁殖を促進させる成分の入ったビーシュリンプ用添加剤も数多く出ていますが、添加剤は飼育されているシュリンプの様子を見て使用すると良いでしょう。

添加剤使用に不安がある方は、水質向上、ミネラル分(カルシウム、マグネシウム、鉄など)を含む鉱物、「モンモリロナイト」というシュリンプ飼育に効果的なアイテムもあります。

デリケートとはいいましたが、神経質になる必要はありません。
今はシュリンプ用の添加剤も多くあり、昔に比べて比較的管理しやすくなっています。

夏季に注意!!

熱い時期は水温の調節が必要になります、高水温に比較的強いといわれていますが、
30℃を超え続けたりするとロスにつながります。
ロスを防ぐためにも、クーラーやファンなどを使用して水温調整を行うことをおすすめします。

シュリンプのNGアイテム

基本的にNGとなるアイテムはありません。シュリンプに寄り添った飼育方法を行ってください。

水草投入時の注意

水草などを入れたいとお考えの方も多いと思われます。水草を入れる際には無農薬の物を選ぶようにしましょう!購入された水草の農薬が心配であれば、別の水槽や保管できそうなものを用意し、活性炭・農薬除去剤を使って除去作業を行ってから投入しましょう!

チャームでは無農薬の国内栽培品の水草を販売しております。ご安心ください。

種類によっては、残留農薬処理済み品もございます。ご購入の際は注意ください。

組織培養も徹底した管理の下で行っています。他の無農薬の水草と同様に安心してご使用いただけます。

ビーシュリンプは流木や水槽内のコケもお掃除する生体であるため、餌で悩まれる方も多いのではないでしょうか。

餌の与え過ぎは水質を悪化させるため、調子を落としてロスにつながってしまうこともあります。
餌は少量を与えることをおすすめします。
量は1時間で食べ切れる程度、1~2日に1回与えます。

与えた餌が1~2時間経っても残っていたら取り出すことで水質悪化を防げます。

餌を与えなさ過ぎませんか。大丈夫ですか?と心配される方もいるかもしれません。
大丈夫です。1週間与えなくても生きています。

水槽内のコケ、プランクトンなどを捕食しているため、問題ありません。

餌の種類には「動物性」と「植物性」があります。雑食ですが、植物性の方が栄養への転換が得意です。ただし、バランスを考えて動物性の餌も与えるようにしましょう。


混泳について

シュリンプは水槽内のコケ取り・お掃除役として活躍します。温厚な性格であることから混泳を考える方も多いでしょう。

混泳OK

※口が小さく温厚な小型の魚・オトシンクルス・コリドラス・プレコ・小型ローチ系・同サイズのシュリンプとの混泳は可能です。

混泳NG

口が大きな魚・サイズ違いの大きなシュリンプなど、飼育個体に害を及ぼしかねない混泳は避けた方が良いでしょう。

稚エビ

サイズは約3~4mmと非常に小さい稚エビは、どんな魚でも食べられてしまうことがあります。

シュリンプ同士の混泳

チェリーシュリンプ・ミナミヌマエビなど同サイズのシュリンプとの混泳は可能です。

ビーシュリンプ系との交雑はありません。

ビーシュリンプ系の改良品種同士では交雑します。

シュリンプの交雑について下記の記事でご紹介しております。参考にしていただけると幸いです。


ビーシュリンプの繁殖

ビーシュリンプは大卵型のシュリンプで水槽内で繁殖が可能なタイプになります。成熟したオスとメスが揃って環境がマッチしていると殖えます!

1に多くの卵を産みますので、繁殖をお考えの方は飼育のキャパを越えないよう注意をしてください。

産卵させるまでの手順

1.ビーシュリンプの基本的な飼育設備を整える。

2.シュリンプに最適な水質・環境(水草・流木)などを作る。

3.繁殖させたい品種をオス3とメス7の比率で準備をする。(数が多いほど抱卵する個体確率を増やすため)

4.栄養価の高い餌を与える

5.水温は22℃~25℃での飼育を維持する

上手くいけば抱卵個体が増え、約3週間前後でふ化します。
水草など入れておけば稚エビの餌にも隠れ家にもなります。

20℃以下や25℃を超えての飼育は問題ありませんが、抱卵が止まることが多いといわれています。

ビーシュリンプの繁殖は、品種の固定や改良などとても奥が深く、醍醐味の一つです。

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抱卵(ハッチアウト)後の育成

稚エビのサイズは約3~4mmととても小さく、生まれたばかりの稚エビは殻が柔らかく、じっとしているのが特徴です。
1回目の脱皮を終えたあたりから水槽内を移動します。

生まれたばかりの稚エビは水槽内の微生物(ワムシなど)を食べて成長します。1~2回脱皮を行うと砕いた人工飼料などを食べるようになります。


ビーシュリンプ用語集

ビーシュリンプの飼育において特に使われる専門用語をピックアップして紹介します。

バンドタイプ…赤(黒)の帯状のタイプ。
(タイガー・太バンド・4or3バンドetc.)

日の丸タイプ…赤(黒)の日本の国旗の様。バンドがなくなり丸く形態を変えている。
(日の丸・W日の丸・進入禁止etc.)

モスラタイプ…バンドがなくなり白地になっているタイプ
(丹頂etc.)

シャドー系…シャドーシュリンプの改良品種。

ピント系…ピントシュリンプの改良品種。

クラウド系…ギャラクシー・フィッシュボーンなどの品種。

ハイブリッドシュリンプ…別々の種で交配して作出したシュリンプの品種の総称。

抱卵…卵を抱えたシュリンプ個体。

投稿者
WT

多くの生き物のブリーディングを経験をし、今はもっぱら観葉植物・DIY!

自分の好きな物での部屋作りが楽しい。

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