
グラミー・アナバスの魅力
グラミー・アナバスの世界へようこそ。
主に東南アジアを中心に広く生息するベタに近縁なグループで、ゆったりとした泳ぎが魅力です。
サイズの割に体高があるため、存在感がありよく目立ちます。
小型水槽では混泳の主役になれる、存在感のある魚種が多く属します。
水草レイアウト水槽とも相性が良く、テトラ類やラスボラ類とも混泳ができるため、レイアウト水槽ではワンポイントとして目を惹く役割を担ってくれます。
このグループはベタ同様「ラビリンス器官」という特殊な呼吸器官を持ち、水面から直接空気呼吸ができます。このため酸欠には強めです。
さらにグラミー類の特徴として、腹ビレが細長く変化していることが挙げられます。
これはまさに昆虫やエビの触覚のように、周囲の様子を探るために用いられているようです。
また、この腹ビレを使ってお互いにコミュニケーションをとる様子が観察できるのも、グラミー類の魅力です。
このグループは他にも、「リコリス」「パラダイスフィッシュ」「クテノポマ」といった仲間が属しています。
いずれもゆったりとした泳ぎと、個性の強い色彩が魅力です。
アジアの雄大な大自然を彩るグラミー・アナバスの世界へ。
貴方を誘いましょう。
グラミー・アナバスとは

アナバスとは、スズキ目キノボリウオ亜目に属する魚類の総称です。
「アナバンテッド」とも「ラビリンスフィッシュ」とも呼ばれることがあります。
アナバス類の共通点として、「ラビリンス器官」と呼ばれる特殊な呼吸器官を持っていることが最大の特徴です。
主にエラで呼吸しますが、この器官により水面から直接空気呼吸もできます。
このため、酸欠にはかなり強いグループです。
このうち腹ビレが細長く伸長するグループを「グラミー」と呼び、アクアリウムではベタに次いでポピュラーなアナバスといえます。


このページでの解説は、アナバス類の中でも「グラミー」「リコリス」「パラダイスフィッシュ」「クテノポマ」の4グループを主な対象として紹介します。
「ベタ」と「スネークヘッド」もアナバスの仲間ですが、独自の要素が強いためこのページでは解説しません。
別の機会に紹介したく思います。
グラミー・アナバスの魅力
ワンポイントで良く目立つ
グラミー・アナバス類は体高があり、水槽内でのワンポイントとして良く目立ちます。
テトラやラスボラといった小型魚を周囲に群れさせ、水槽内の主役としても良いでしょう。
泳ぎがゆったりで愛らしい
グラミー類は泳ぎがゆったりとしており、きびきびと泳ぎ回る小型魚に比べると落ち着きある振る舞いが魅力的です。
サイズ差があることで小型魚にほどよく緊張感が生まれ、群れを作りやすくなる効果もあります。
動きの速い小型魚と、ゆったりした中型魚を組み合わせることで、行動の違いにより対比を演出させるのも◎です。
主なグラミー・アナバス
比較的安定した入荷が見られる人気種を主にピックアップして紹介します。
グラミー類は改良品種も数多く流通するので、それらも併せて紹介します。
ゴールデンハニーレッドドワーフグラミー

学名:Trichogaster chuna
Colisa sota
インド原産の小型グラミーです。
水草レイアウト水槽で人気の高いゴールデンタイプが数多く流通しています。
実はこの色彩は改良品種で、原種は茶色となります。
温和な性格で、小型魚との混泳に向いています。
ドワーフグラミー

学名:Colisa lalia
パキスタン、インド、バングラデシュに分布するグラミーです。
オレンジとメタリックなブルーの縞模様が特徴で、これをベースにさまざまな改良品種も作出されています。
美しく飼育が容易なことから初心者の方にもおすすめできるグラミーです。
雌雄で発色が異なり、オスのほうが鮮やかな発色を示します。
同種間では若干の小競り合いが見られますが、激しいケンカに至ることはありません。
基本的に温和でゆったりとしていることから、小型魚との混泳も可能です。
スリースポットグラミー

学名:Trichogaster trichopterus
東南アジアに広く生息するグラミーです。
改良品種が数多く流通しており、古くからポピュラーな人気を誇る種類です。
流通するものは圧倒的に改良品種が多く、原種の流通はまれとなります。
飼育は容易ですが、同種間では小競り合いをすることがあります。
また、サイズが同程度か少し小さい魚に対し、個体によっては攻撃性を示すことがあるので注意が必要です。
テトラやラスボラ等の体型が大きく異なり、動きも機敏な小型魚であれば、混泳は可能です。
レッド・グラミー

学名:Colisa labiosa
ミャンマー原産のシックリップグラミーの改良品種です。
シックリップグラミーを元に赤い発色が強く出るように改良された品種で、専らこちらのみが入荷します。原種の入荷はほぼありません。
原種には縞模様が入りますがこちらにはなく、尾ビレ付け根周辺以外は全て赤一色に染まります。
ハニードワーフグラミーと同程度のサイズで販売されていることが多いですが、成魚になると10cmほどとやや大型になる点に留意しましょう。
パール・グラミー

学名:Trichogaster leeri
マレーシア、スマトラ島、ボルネオ島原産のグラミーです。
美しい色彩で古くからポピュラーな種で、全身に散りばめられたパールスポットが本種の特徴です。
成熟したオスは喉元がオレンジに発色し、背ビレと尻ビレも伸長します。
グラミーの中でも際立って優雅な印象を与えます。
同種間では多少の小競り合いをしますが、激しいケンカにはなりません。
サイズの割に温和でゆったりとしており、小型魚との混泳も可能です。
チョコレート・グラミー

学名:Sphaerichthis osphromenoides osphromenoides
マレーシア南部、スマトラ島東南部原産のグラミーです。
渋い体色が美しく、可愛らしい雰囲気もあり古くから人気の種です。
体色は褐色で、ストライプ状に入る模様や、伸長する尾ビレ、ゆったりとした泳ぎが魅力的です。
親しみやすい名前や愛嬌に反して、飼育はやや難しいことでも知られています。
状態良く長期飼育するには、低pHの軟水と、ろ過の効いた清潔な水が有効です。
また人工飼料を与えても、すぐに食べるとは限りません。
個体によっては慣らす必要があり、ミジンコやブラインシュリンプのような小型の生餌を好みます。
総じて、中級者以上向けのグラミーとなります。
ピグミー・グラミー

学名:Trichopsis pumila
成魚でも4cmほどにしかならない、小型のグラミーの仲間です。
小型水槽でも群れで飼育しやすく、独特な魅力があります。
そのままでは派手な魚ではありませんが、状態良く長期間飼育すると体がメタリックに輝いてきます。
後述するリコリスグラミーとの中間的な性質を持ち合わせます。
体型はリコリスに近く、飼育方法は通常のグラミーに近いといった形となります。
水草レイアウト水槽での群泳もおすすめです。
リコリス・グラミー

学名:Parosphromenus deissneri?
マレー半島南部、スマトラ島原産のリコリス・グラミーと呼ばれるグループの代表種です。
小型で美しいことから非常に人気の魚で、細長く黄褐色の体が特長です。
このように細長い体形で暗~黄褐色の色彩を持つものを、「リコリス」系と総称します。
成熟したオスは褐色の2本のラインがくっきりと現れ、各ヒレが美しく発色します。
一般的なグラミーと異なり、“仕上げる”楽しみがあるのがこのリコリス系グラミーの魅力ともいえるでしょう。総じて、中級者以上向けのグラミーといえます。
一般にインドネシアから輸入されるリコリスグラミーは、オスが色彩を出していないと判別が困難です。
“ディスネリー”の名で入荷する個体であっても、その中には複数種が含まれているようです。
パラダイス・フィッシュ

学名:Macropodus opercularis
中国福建省以南から東南アジア原産のアナバスの仲間です。
成熟したオスの個体は尾鰭が赤く染まり、体側も赤と青の美しいストライプ模様を表現します。
ヒレの形状も相まって、非常に見応えのある姿になります。
このような特徴を持つグループを、「パラダイスフィッシュ」系と総称します。
別名“タイワンキンギョ”と呼ばれることもありますが、分類上は金魚とは全く無縁の魚になります。
グラミーではないので、腹ビレは伸長しません。
本種は国内でも沖縄県に分布が知られています。
ルーツについては在来とする説と外来とする説がありますが、いまのところどちらなのかははっきりしていません。
低水温にも強いため、暖かい室内などであれば冬季も無加温での飼育が可能です。
飼育自体は大変容易です。
ブラックパラダイス・フィッシュ”レッドバック”

学名:Macropodus erythropterus
Macropodus concolor?
中国南部、ベトナム原産のアナバスの仲間です。
本種の流通はほとんどなく、大変希少な種です。
本種をはじめとしたパラダイス・フィッシュの仲間には、流通が少なく入手しづらいものの、極彩色に染まる美麗種が数多く知られています。
購入できるチャンスは少ないので、見かけた時が買い時です。
以前はブラック・パラダイスフィッシュは1種とされていましたが、外見の異なる2種が流通しています。
本種は“レッドバック”の名で知られ、背部に赤い発色を持つのが特徴的です。
各ヒレは優雅に広がりオスはフィン・スプレッディングする姿は非常に迫力満点です。
黒と赤の発色が最高潮に至った瞬間は、息をのむ美しさといえるでしょう。
飼育は容易ですが、やや大きくなるため小型魚との混泳には向きません。
チョウセンブナ

学名:Macropodus ocellatus
Macropodus chinensis
中国、朝鮮半島原産のアナバスの仲間です。
パラダイスフィッシュの近縁種で、日本にも一部地域で帰化している個体群が知られています。
体型・発色はよく似ますが、こちらは尾ビレがラウンドテールになる点で区別が可能です。
“フナ”の名称がついていますが、分類上フナとは全く無縁の魚になります。
パラダイスフィッシュをより飼いやすくしたようなイメージの魚で、より低温に強く、発色もさせやすいです。また流通量も多く、比較的安価で入手しやすい点も嬉しいところです。
暖かい室内などであれば冬季も無加温での飼育が可能です。
飼育自体は大変容易です。
レオパード・クテノポマ

学名:Ctenopoma acutirostre
アフリカ原産のクテノポマの仲間です。
クテノポマの仲間の中ではもっともポピュラーな種で、ブリードされた幼魚が数多く流通しています。
幼魚時は白っぽい体色に黒のスポット模様をしていますが、成長するにつれて名前にもある豹柄の模様に変化していきます。
肉食傾向が強く、餌は生餌などを好みます。
また、成長するにつれて気が荒くなる面があり、特に同種間では激しく争います。
クテノポマ類は比較的大型に育つ傾向があります。
本種は最大20cmまで成長するため、小型魚との混泳はできません。
混泳させる場合、サイズが同程度の別種と組み合わせると良いでしょう。
▼チャームに今まで入荷したグラミー・アナバス全種一覧

グラミー・アナバスのグループについて
主に「グラミー」「リコリス」「パラダイスフィッシュ」「クテノポマ」の4グループです。
いずれにも当てはまらないものも少数います。

最もスタンダードなグループです。
腹ビレでコミュニケーションを取る姿が愛らしいです。
入荷が多く、入手もしやすいです。

味わい深い美しさが魅力のグループです。
アピストグラマやワイルド系ベタに通ずる、奥深い魅力があります。

独特のフォルムと極彩色の発色が特徴のグループです。
比較的低温に強く、無加温で飼育が可能な種もいます。
強健さなら1番ですが、入荷は少なめです。

アフリカ原産の大型化するグループです。
中大型種としてはゆったりとした泳ぎが魅力です。
同種間では争います。
腹ビレが細長い糸状に伸長するグループです。
このグループにおいては代表といえ、混泳水槽でも水草水槽でも人気の高い魚種が多く含まれます。
赤枠で囲まれた種類は、少し気が強いです。
混泳の際には注意が必要です。
系統関係
スズキ目キノボリウオ亜目(アナバス亜目)は大きく3つの科に分けられると考えられています。

(アナバス科代表種)

(ヘロストマ科代表種)

(オスフロネームス科代表種)
- アナバス科
- アナバス属(キノボリウオ系)
- クテノポマ属(クテノポマ系)
- ヘロストマ科
- ヘロストマ属(キッシング・グラミー系)
- オスフロネームス科
- オフスロネームス亜科
- オフスロネームス属(オフスロネームス・グラミー系)
- マクロポドゥス亜科
- ベタ属(ベタ系)
- マクロポドゥス属(パラダイスフィッシュ系)
- パロスフロメヌス属(リコリス系)
- トリコプシス属(ピグミー・グラミー系)
- ルキオセパルス亜科
- コリサ属(グラミー系)
- スパエリクティス属(チョコレート・グラミー系)
- トリコガスター属(スリースポット・グラミー系)
- オフスロネームス亜科
※観賞魚としての入荷が極端に少ない属は省略しています。
一口にグラミーといっても、オフスロネームス/キッシング/それ以外、では類縁関係がやや遠くなるようです。
ルキオセパルス亜科に属する種の多くが、いわゆる標準的なグラミーを指すことが多いです。
グラミー・アナバス飼育の基本
グラミー・アナバスの飼育については、熱帯魚に飼育に最低限必要な設備が整っていれば問題ありません。容易な部類に入るといえます。
一部の種を除けば、水質も幅広い範囲に適応します。
どちらかといえば弱酸性の軟水を好むものが多く、また流れの緩い河川や沼地を中心に生息するため、止水環境を好むものが多いです。
このグループの特徴として、「エアーポンプの重要性が低い」という点が挙げられます。
エラ呼吸が中心ですが、アナバス特有のラビリンス器官により直接空気呼吸ができるため、酸欠にはかなり強い魚です。
他の魚と混泳させる場合は、エアーポンプはあったほうが良いでしょう。
水槽の選択
特に選びません。
フィルターが設置できるものであれば、どのサイズでもOKです。
フィルター、照明が付いたセットなら、より安心して始めることができますね。
飼育可能数は、8Lあたり1匹が目安です。
「ハニードワーフグラミー」や「ピグミーグラミー」といった小型種の場合、4L換算でも大丈夫です。
例えば30cmキューブ水槽なら2~3匹程度、60cm水槽なら6~7匹程度が目安となります。
なお、「スリースポットグラミー」とその改良品種や、「キッシンググラミー」はやや気が強いです。
数は少なめにしたほうが安心でしょう。
フィルターの選択
飼育するだけなら特に選びません。
どのフィルターでも飼育可能です。
グラミーは止水域に生息するものが多く、水流を嫌います。
できるだけ水槽内に流れを作らないよう心がけると良いでしょう。
メンテナンス性と長期的な維持管理を視野に入れると、小型水槽では「投げ込み式フィルター」、60cm以上の水槽では「上部式フィルター」「外部式フィルター」がおすすめです。
水流は壁に当てよう
グラミー類の多くは強い水流を嫌います。
上部式フィルターや外部式フィルターを利用する場合、排水による水流は壁に当てて和らげましょう。
水流をできるだけなくし穏やかな流れにすることで、グラミーにとって住み心地の良い環境になります。
水流が全くないと淀みが生じてしまうので、多少は必要です。

好む傾向があります。
底床の選択
サンゴ砂以外であれば、どの底床も使用できます。
腐植質の多い湿地帯に生息する種が多いため、ソイルが最も理想的です。
水質への影響が少ない大磯や砂、ゼオライトも使用可能です。
大磯砂はアルカリに傾ける性質があるとはいえ、強く傾けるわけではないので問題なく使用できます。
グラミーの中でも「チョコレートグラミー」の近縁種と、「リコリス」系に関してはソイルが必須です。
これらの種は腐植質がたっぷり蓄積したブラックウォーターに生息するといわれており、pHの低い軟水環境を要求してきます。

NGアイテム

サンゴ砂などの「水質をアルカリに傾ける作用が強い底床」のみ、不向きです。
サンゴ砂などのカルシウム分を多く含む底床は、腐植質の多い湿地帯を好むグラミー類には全く不向きです。
餌
顆粒またはフレークの人工飼料が良いでしょう。
どちらを与えても良く食べます。
多くの種は餌付けに苦労せず、人工飼料を与えればすんなり食べてくれる個体がほとんどです。
赤系の種に関しては赤系の色揚げ飼料も有効で、普段のエサに混ぜて与えるとより良い発色のために効果的でしょう。
「レッド・グラミー」や「サンセットドワーフ・グラミー」では効果が大きいです。
どうしても食べてくれない場合には、冷凍赤虫が有効です。

混泳
グラミー 基本的に混泳可

「グラミー」類は基本的には温和なため、混泳に向いています。
コンディションが整ってくると同種のオス同士では多少の小競り合いを見せることがありますが、一部の種を除きそれほど激しい争いにはなりません。
細い糸状の腹ビレを使って、お互いにコミュニケーションをとる姿は大変愛らしく、混泳させてみたくなる理由の一つです。
この腹ビレは混泳相手との相性によっては、かじられて短くなってしまうことがあります。
切れても生存に支障はありませんが、元の長さに戻るとは限りません。
なるべく温和な魚種と組み合わせたいところです。
リコリス 温和を通り越して神経質 単独飼育推奨

「リコリス」類は温和というより、やや臆病で神経質な傾向があります。
活発で機敏な種との混泳は苦手で、可能であれば単独飼育が理想です。
飼育や混泳の性質はチョコレートグラミーに通ずる点があります。
弱酸性の軟水を維持しつつ、静かで明るすぎない環境でじっくり飼育することで、黒地に鮮やかなブルーやゴールドなどの発色が見られるようになります。
パラダイスフィッシュ 攻撃性かなり強め 単独飼育推奨
「パラダイスフィッシュ」類は他魚に対する攻撃性が強めです。
沖縄では「琉球闘魚」や「トーイユ(闘う魚の意)」と呼ばれるだけあり、同種間だけでなく近縁種とも激しくケンカします。
このため、基本的にアナバス類同士での混泳はおすすめできません。
ベタよりも広い範囲の相手に攻撃性を示すという認識で良いでしょう。
クテノポマ 同属に対して攻撃性強め 大型魚のタンクメイトに
「クテノポマ」類はやや大型になり、同種間ではケンカします。
体型が似た魚や立場の弱い魚を蹴散らすように追いかけることがあるため、注意が必要です。
また現地では小魚を主食としており、このことからも小型魚との混泳には不向きです。
混泳させる場合は、中大型魚のタンクメイトにすると良いでしょう。
ヒレをかじる魚に要注意

スマトラ
グラミーは比較的温和であり、多くの熱帯魚と混泳が楽しめます。
しかし、「ヒレをかじる」習性を持つ魚との混泳は要注意です。
グラミーの細い腹ビレはコミュニケーションに欠かせません。
しかし、その細いヒレはかじりグセのある魚に取って格好のターゲットになってしまいます。
かじられて短くなっても生存に支障はありませんが、グラミー特有の行動が観察できなくなってしまいます。
スマトラ、インパイクティス・ケリー、エンペラーテトラ、モンクホーシャ、ブルー・テトラ、ブラック・テトラ、ペンギン・テトラ、アフリカンシクリッド全般、フグ類全般
▼グラミーの混泳についてはこちらも参考

アナバス・グラミーの繁殖
アナバスの仲間はオスが泡で巣をつくり、メスがそこで産卵・ふ化させるという独特な生態を持っています。
この産卵生態を「バブルネストビルダー」といいます。
アナバス類の産卵生態はどの種もおおむね共通していますが、種類によって巣を作る位置に差があるとはいわれています。
ここでは代表として、ドワーフグラミーの繁殖についてピックアップして紹介します。
産卵を目的とする場合、フィルターはスポンジフィルターがおすすめです。
グラミーは水流を嫌うため、水流はできるだけないほうが良いです。
また、水面に浮草を浮かべておくと、それを手掛かりに巣を作りやすくなるといわれています。


※チョコレートグラミーとその近縁種は、「マウスブルーダー」という全く別の繁殖生態を持ちます。
産卵させるまでの手順
- グラミーの基本的な飼育設備を整えます。
- 浮草を浮かべます。
- 繁殖させたいグラミーのペアを入手します。
グラミーの雌雄判別は困難な種が多いですが、ドワーフグラミーは容易です。
ドワーフグラミーの場合、模様の派手なほうがオス、発色の薄いほうがメスです。 - 冷凍赤虫を中心に、栄養価の高いエサを多めに与えます。
- 調子良く飼育を続けると、オスが水面付近に泡を吐き出すようになります。
これを集めて巣を作り始めます。 - オスがメスを泡巣に誘い込み、その中で産卵が行われます。
- 泡巣の中に産み付けられた卵は、オスがふ化するまで守ります。
産卵後の育成
ふ化した稚魚は非常に小さく、ブラインシュリンプの幼生を食べることができません。
このため孵化して数日は、より小さいインフゾリアを与えます。
稚魚の初期飼料のハードルが高いため、グッピーやメダカに比べると育成難易度は上がります。

インフゾリアを与えるべき期間は長くはありません。
最長で1週間程度でしょう。この時期をいかに乗り切るかが、成否を分けます。
グラミー・アナバス類の稚魚の初期飼料に、巷では本来バクテリア剤である「PSB」が有効という話もあります。
なぜ有効なのか、詳細なメカニズムについては不明です。
しかし初期飼料にPSBを与えることで、「ゴールデンハニードワーフグラミー」などで稚魚育成の成功例がいくらか知られており、一定の効果はあるようです。

ある程度のサイズまで育ってきたら、ブラインシュリンプの幼生をふ化させて与えます。
稚魚が自力で摂餌できるようになる頃には、親は隔離したほうが良いでしょう。

アナバス・グラミーの病気
白点病や尾腐れ病など、よくある病気は下記で解説しています。
コショウ病
アナバス・グラミー類に多い病気として他に「コショウ病」が挙げられます。
白点病によく似ていますが、より斑点が小さくなります。
全身にコショウを振りかけたように見えることから、この名前で呼ばれています。
対処法自体は白点病と同様で、メチレンブルーなどの色素剤が有効です。

pHの下げ過ぎ
アナバス・グラミーは弱酸性の軟水を好むものが多いですが、あまりに長期間水換えを怠ると、硝酸塩が水槽内に蓄積します。
この硝酸塩によりpHが下がりすぎると、ヒレの溶け等の原因になります。
この溶けが原因で尾腐れ病の発症にまで発展することがあります。
水換えは適宜行っていく必要があります。
アナバス・グラミー用語集
グラミータッチ・・・グラミー特有の細長い腹ビレを使い、興味のあるものに触れる行動を指します。
周囲の状況を確認したり、他の個体とコミュニケーションをとるときなどに使用しています。
グラミーを飼育していて最も癒される瞬間ともいえるでしょう。

フィンスプレッティング・・・ヒレを大きく広げて相手を威嚇する行為です。魚の美しさが最高潮に引き出される瞬間です。リコリスやパラダイスフィッシュでは特に顕著です。
泡巣・・・アナバス特有の泡で作られた巣です。
成熟したオスは水面に泡を吐き、巣を作ってメスを誘い込みます。
バブルネストビルダー・・・泡巣を用いて産卵を行う種を指します。
グラミー・アナバスの多くはこのバブルネストビルダーとなります。
マウスブルーダー・・・口の中で卵の保護を行う種を指します。
チョコレート・グラミー系はこちらの繁殖生態を持つ傾向があります。
闘魚・・・ベタの別名です。
タイで行われる、魚を戦わせる賭け事そのものを指すこともあります。
琉球闘魚・・・パラダイスフィッシュの別名です。特に沖縄産の個体を指してこう呼ばれます。
在来か外来かははっきりしていないものの、沖縄では古くからこの名が知られています。
また「トーイユ」という方言が存在することから、もし外来であったとしても、かなり古い時代に移入されたのではないかといわれています。
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