サイアミーズ・フライングフォックス<熱帯魚解説>

種類解説(熱帯魚)
種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

今回紹介するのはサイアミーズ・フライングフォックス。
黒ヒゲ状コケ対策としてはおなじみの熱帯魚ですね。

レイアウトを美しく維持するためには欠かせないメンテナンスフィッシュですが、性質を把握せずに導入してしまうと、あとあとトラブルを招いてしまうことも……。

本種の性質をよく理解して、導入していきましょう!

サイアミーズ・フライングフォックスとは

生物学的情報
名前サイアミーズ・フライングフォックス
学名Crossocheilus siamensis
Crossocheilus oblongus
分類コイ目コイ科
食性雑食
分布タイ、マレーシア、インドネシア
飼育要件
飼育しやすさ★★★★★
とても容易
入手しやすさ★★★★★
よく見かける
混泳しやすさ★★★☆☆
注意が必要
最大体長12cm程度
適正水温22~26℃
pH生存可能:5.5~8.0
適正範囲:6.0~7.0
※あまり気にしなくてOK
備考成魚になると混泳注意

サイアミーズ・フライングフォックスは黒ヒゲ状コケの退治に有用とされる、コイ科の熱帯魚です。
除去が困難な黒ヒゲ状のコケを食べてくれる性質があり、特に水草レイアウト水槽では古くから黒ヒゲ対策の定番として重宝されています。

流通量の多さに対し名前が長いので、業界では「SFF」「SFフォックス」「Sフライングフォックス」などと略して表記されることも多いです。

美しいレイアウトを維持するためには、欠かせないメンテナンスフィッシュの一つといえるでしょう。

種小名のsiamensisシャムエンシスとはタイ産を意味しており、本種はタイをはじめとした東南アジアに広く分布しています。

体側に黒いラインが一本入っていて、日本産の淡水魚でいうムギツクとよく似たカラーリングをしています。

ムギツク
カラーリングが似ています

本種の飼育に関しては、熱帯魚飼育に必要とされる基本的な設備を整えていれば、それでOKです!
幼魚のうちは、特に難しい点はありません。

小さい頃はせっせとコケを食べよく働き、他魚との協調性も良い魚です。
しかしながら……。


成長すると性質が変化

フライングフォックスは最大で体長12cm程度まで成長します。
一般的な販売サイズは4cm以下の個体が多いため、知らずに購入すると驚いてしまうかもしれません。

これは水草レイアウトをメインとした水槽に泳がせる魚としては、エンゼルフィッシュなど主役級の魚種に迫るサイズといえます。

本種は成長に従って縄張り意識が強くなるため、小さいうちは問題がなくとも、成長すると後から問題を起こしがちです。

テトラやラスボラといった群れを作るタイプの小型魚に対してはあまり影響がありませんが、エンゼルやグラミーといった同程度のサイズの中型魚に対しては小競り合いを起こすことがあります。

サイアミーズ・フライングフォックスより一回り小さく、群れを作らないタイプの熱帯魚は狙われやすいため、要注意といえるでしょう。

また、成長するとエサの好みが藻食性から肉食傾向へと変化するらしく、コケを食べにくくなることもあります。

個体の性格次第なところも
積極的に水草表面のコケを舐める
フライングフォックス

フライングフォックスは、メンテナンスフィッシュとしては性格の差が現れやすい部類に入ります。

概ね幼魚のうちはコケを積極的に食べ、成魚になると縄張り意識が強くなり肉食傾向に変化するというのが通例です。

しかし最初からコケをあまり食べないもの、逆に成長しても積極的にコケを食べるもの、小さいうちから縄張りを主張するもの、逆に大きくなっても縄張りを主張しないものなど、その個体差はさまざまです。

個体の性格により、実際の行動にはある程度ばらつきが見られるようです。


関連する熱帯魚

フライングフォックス同様に、似た役割で導入される魚種を紹介します。

シルバー・フライングフォックス

学名:Crossocheilus reticulatus

タイ、カンボジア原産のコイ科の魚です。

コケ取りとしてどの程度活躍するかはあまりよく分かっていませんが、黒ヒゲ状のコケをよく食べるということでは評判ではあるようです。

人工飼料に慣れすぎるとコケをあまり食べなくなり、成魚になるとテリトリー意識が強くなる点はサイアミーズ・フライングフォックスとあまり変わりません。

また、サイアミーズ・フライングフォックスよりも大きくなるので、十分な遊泳スペースのある水槽での飼育が良いでしょう。

フライングフォックス

学名:Epalzeorhynchus kallopterus

インドネシア、ボルネオ原産のコイの仲間です。

サイアミーズ・フライングフォックスと混同されがちですが、本種の特徴として側線のブラックラインの上に金のラインが入り、胸ビレがやや大きく赤味を帯び、背ビレなどはやや黄色味を帯びています。吻がわずかに短いといった特徴も見られます。

サイアミーズ・フライングフォックスに比べコケ取り能力はやや弱く、性格もやや荒めです。
コケ取り能力を求めている場合、偽物と呼ばれてしまうこともあるようです。

色彩はサイアミーズより鮮やかに表現されるので、観賞性という点ではこちらが勝るでしょう。

アルジー・イーター

学名:Gyrinocheilus aymonieri

タイ原産のコイ科の魚です。
Algae eaterコケを食べる者という名前のとおり、水槽のコケ掃除役として人気があります。

フライングフォックスに比べると、こちらは水槽セット初期などに生える茶ゴケを良く食べ、コケ取りとして非常に効果があることが知られています。

一方で、本種も成長とともに気が荒くなります。
特に遊泳域の重なる中低層魚に対してテリトリー意識が強くなるため、導入にあたっては将来を見越した計画を立てる必要があります。


有用なアイテム

フライングフォックスに期待される役割は、それ自体の鑑賞用としてよりも、主に黒ヒゲ状コケ対策としてのメンテナンスフィッシュになるかと思います。

比較的幅広い環境に適応するので、水質や飼育環境に関してはあまり選びません。
ただし、最大で12cm程度にまで成長するため、小型水槽には向いていません。

一方で、販売されている個体は4cm以下の個体が多いです。
小さいうちは小型水槽でのコケ取り要員としても活躍するので、将来を見越したプランを立てて導入しましょう。

おすすめの組み合わせは次の通りです。

水槽フィルター底床
30~90cm外掛け、上部、外部ソイル、大磯、砂フレーク

底床は特に選びません。ソイルでも大磯砂でも飼育可能です。
どちらかといえば弱酸性の環境を好みます。

サンゴ砂は、アルカリ性に傾ける性質があるため向いていません。
サンゴ砂以外であれば使用可能です。

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口の形状から、フレークフードが良いでしょう。
ただし、コケ取りを目的とする場合は、エサを与えすぎるとコケを食べなくなることがあります。


混泳について

本種の混泳については難しいところがあります。

一般によく販売されている4cm程度のサイズのうちは比較的温和で、他魚との協調性も良いです。
さしあたって混泳において問題が生じることは、あまりないでしょう。

しかし成長して10cmを超えるようになってくると、だんだん縄張りの主張が激しくなり、他魚に対してちょっかいをかける場面が出てきます。

このため、「小さいうちは可能だが、将来的にどうするかも考えておく必要がある」のが本種を混泳させる場合に必要な心構えといえるでしょう。

以下、混泳相性欄の左側に4cm程度まで、右側にそれ以上のサイズに成長後の相性を示します。

全体的な傾向として、動きが機敏で群れを作る小型魚との組み合わせは、成長後も比較的問題が起こりにくいです。
動きが緩慢な魚種や、サイズが同程度の魚種に対してはトラブルを起こしやすい傾向があります。

混泳相手混泳相性備考
グッピー
〇/△グッピーは弱アルカリ性を好みます。
成長後は尾ビレを突かれるかもしれません。
プラティ・卵胎生メダカ
◎/△多くの卵胎生メダカは弱アルカリ性を好みます。
成長後は追い回されるかもしれません。
カラシン・小型テトラ
◎/〇動きが機敏で群れる性質のあるテトラ類は、大きくなっても問題は起こりにくいです。
コイ・ラスボラ
◎/〇動きが機敏で群れる性質のあるラスボラ類は、大きくなっても問題は起こりにくいです。
ローチ・ボーシャ・タニノボリ
◎/〇お互いへの干渉が少ないため、大きくなっても問題は起こりにくいです。
フライングフォックス/アルジイーター
◎/〇成長後は、サイズや力関係が同程度なら問題は小さいです。
多少の小競り合いは生じることがあります。
ドワーフシクリッド
〇/△お互いに多少気が強いので、小競り合いが生じることはあります。
アフリカンシクリッド
△/△サイアミーズ・フライングフォックスは素早いのでアフリカンシクリッドの攻撃をかわしやすいです。
双方の小競り合いが続くようなら分けたほうが良いでしょう。
エンゼルフィッシュ
△/△お互いに多少気が強いので、小競り合いが生じることはあります。
長いヒレが突かれないように注意が必要です。
ディスカス
〇/△成長後はディスカスが突かれないように注意が必要です。
ベタ・グラミー・アナバス
〇/△成長後は長いヒレが突かれないように注意が必要です。
コリドラス
◎/△小型のうちはお互いへの干渉がほとんどなく、問題の起こりにくい組み合わせです。
成長すると、機敏なフライングフォックスがエサを奪ってしまうことがあります。
オトシンクルス・ロリカリア
◎/◎お互いへの干渉がほとんどなく、問題の起こりにくい組み合わせです。
プレコ
◎/△小型のうちはお互いへの干渉がほとんどなく、問題の起こりにくい組み合わせです。
成長すると、機敏なフライングフォックスがエサを奪ってしまうことがあります。
レインボーフィッシュ
◎/〇群れる性質のあるレインボーフィッシュ類は、大きくなっても問題は起こりにくいです。
テトラ類に比べると動きが遅い点には留意しましょう。
ハゼ・ゴビー
〇/△お互いに多少気が強いので、小競り合いが生じることはあります。
フグ・パファー
×/×攻撃性が高いので、混泳には不向きです。
エビ・ビーシュリンプ
〇/△稚エビは食べられる可能性があります。
サイアミーズ・フライングフォックスの混泳相性表
※混泳相手の種や性格によっては、例外もあります。
◎・・・混泳に適した組み合わせです。
〇・・・混泳は可能ですが、種や個体の性格によっては工夫が必要な場合もあります。
△・・・混泳は不可能ではありませんが、適しているとは言えません。工夫次第で可能になる場合もあります。
×・・・混泳には適さない組み合わせです。

サイアミーズ・フライングフォックスは成長に従って性格が変化する魚種ですので、変化を見越して飼育プランを立てていくことが大事です。

引退個体用水槽
60cm以上のサイズがおすすめ

成長してコケを食べなくなってしまった個体は、別の水槽に隔離するのが解決策の一つです。

コケ取りとしては“引退”した個体をまとめる水槽を、一つ用意しておくと便利かもしれません。

なお、飼育しきれなくなったからといって野外への放流は絶対にしてはなりません。
ここまで説明したフライングフォックスの性質を踏まえ、導入に当たっては将来を見越した計画を立てる必要があるのです。

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頼らない黒ヒゲ対策

黒ヒゲ状コケを食べる性質のある生体で、流通が多く入手しやすい種は現状サイアミーズ・フライングフォックス以外にありません。

特に、既に生えてしまったコケの除去に関しては、本種の導入が有効策となることは多いでしょう。

黒ヒゲ状のコケは予防が肝心です。
生体による駆除に頼らずに生えてくる確率を減らすためには、次の点を意識して管理すると良いでしょう。

こまめな水換え

水槽内に蓄積した過剰なリン酸塩や硝酸塩はコケの養分になります。

こまめな水換えで除去しましょう。

硬度低めの水質管理

黒ヒゲ状のコケは硬度が高い環境で発生しやすいといわれています。

飼育水のGH・KHを測定すると良いでしょう。

RO水の活用

飼育水の硬度を低減させるには、RO水の導入が効果的です。

原水のGHが高い場合、導入を検討しましょう。


サイアミーズ・フライングフォックス まとめ

サイアミーズ・フライングフォックス。

水草レイアウト水槽の維持には欠かせない、黒ヒゲ状コケに対して信頼できる除去能力を持った貴重なメンテナンスフィッシュです。

一方でその導入は決して気軽なものではなく、将来を見越した計画を立ててからでなければなりません。

成長段階で性質が変化する本種の性質を念頭におき、将来を見越した計画を立てた上で、黒ヒゲ状コケ対策として導入しましょう。

サイアミーズフライングフォックス(2匹)
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▼こちらも参考

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

AQUALASSIC(アクアラシック)

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