カニのようなフォルムでエビという名を持ちつつ、実はヤドカリの仲間だというややこしさ。
加えて、ヤドカリながら淡水で容易に飼育できるという、不思議なコシオリエビをご紹介します!
生物学データ
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学名:Aegla sp.(Aegla platensis?)
分類 | タンスイコシオリエビ科 |
体長 | 3~5cm |
食性 | 雑食 |
原産地・分布 | アルゼンチン、ボリビア、ブラジル、チリ、パラグアイ、ウルグアイ |
淡水コシオリエビは、南米サウスコーンを中心に生息する淡水産のコシオリエビの一種です。
オトシンネグロと同じ輸入経路ですが、もともと輸入が不定期なこともあり、ここ数年は輸入がなかったようです。そのため国産のブリード個体が流通しています。
(最近はまたワイルド個体の輸入も多くなってきているようです。)
ヤドカリの仲間で、左右でサイズの異なるハサミや後ろ脚が退化していること、物陰が好きで流木や石の下・底砂などに身を潜めます。(環境により色が変わります。)
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脱皮したときの抜け殻には体色が残り、きれいな形をとどめています。
水質は中性~弱酸性の新しい水、水温は比較的低水温を好みますので高水温に注意してください。
基本的に温和で遊泳している魚を襲うことはありませんが、できれば単独飼育が理想です。
変異色個体も多く、色のバリエーションも楽しめます。飼育下で繁殖もできるのも魅力の一つでしょう。
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淡水コシオリエビ同士でエサの取り合い、縄張り争いを行うため、飼育スペースや十分な隠れ家を用意する必要があります。
エビと名乗ってもヤドカリの仲間(エビ・カニ・ヤドカリ)
「淡水コシオリエビ」と名前に「エビ」が入っていますが、実はエビの仲間ではなくヤドカリの仲間になります。
海水・汽水域での生息する種が多いヤドカリですが、観賞用では唯一淡水に生息するヤドカリの仲間という点で貴重です。
ところで、エビ・カニ・ヤドカリの違いはご存じですか?
意外と知らないそれぞれの違いを簡単にまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
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10脚・腹部が真っすぐな種。
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10脚・腹部が内側にたたまれる種。
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8脚・腹部が隠れる・たたまれる種。
それぞれの脚に注目してみてみましょう。
・エビは脚が10本で、腹部が長く伸びる
・コシオリエビは目立つ脚が8本で、腹部が内側に折りたたまれている
・カニの仲間は脚が10本で、腹部が内側に折りたたまれている
ヤドカリとコシオリエビは、目立つ脚が8本であること、腹部が退化的であるという特徴から、比較的近いグループ(異尾類:いびるい)とされています。
ヤドカリは普段、貝殻を背負っていますが、裸にすると共通点は見つけやすくなります。
海水の仲間
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海水にも同じ特徴をもった種がいます。
淡水のコシオリエビとは違って色彩豊かな個体が多く、フォルムもまた異なります。風変りな種類が多いようです。
コマチコシオリエビはウミシダと共生する種類にです。
淡水コシオリエビと同じく色彩変異が多く、共生するウミシダに合わせ色を似せる傾向が見られます。
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多くのコシオリエビの種類は海水に生息していて、深海から浅海の岩礁域にいます。
異尾下目で唯一淡水域にいる種がAegla科であるようです。
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飼育環境
水槽サイズ
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30cm以上の水槽であれば問題なく飼育が可能です。
複数飼育の場合は60cm以上の水槽がオススメ。
(温厚な種ですが、エサの取り合い・縄張り争いを起こす場合があるため、隠れ家をご準備ください。)
フィルター
急激な水質変化・悪化に弱いのですが、大食漢・雑食性という点から水をよく汚します。
水槽に合わせてお選びいただけると良いかと思います。
水温・水質
水温は20℃~24℃、水質は中性~弱アルカリ性が適しています。
やや高水温に弱い傾向もあるため、飼育の際は様子を見ながら調整してみる必要もあります。
標高の高い場所で生息していることから、低水温への耐性はあります。
甲殻類という点から、ミネラル部分が補えるような水質作りを行うと良いでしょう。
水温の急上昇への対処は他のエビと変わらず、冷却用にファンやクーラーなどの設備は必要になります。
底床
水質にそれほどうるさくないので、田砂・大磯砂・玉砂利・ソイルなど、飼育する環境により選択する方も多いと思います。
底層生物のため、他の生き物に狙われやすくなること、甲殻類であることを考慮した上で、成長に最適な環境を作る選択をすると良いでしょう。
水質を弱酸性に傾ける性質があります。
「吸着性ソイル」・「栄養系ソイル」の2種類があり用途によって使い分けると良いでしょう。
水洗いできず、再利用できないデメリットがあります。
ソイルとは逆に弱アルカリ性に水質が傾けがちになります。
再利用できるので長持ちしますが、長期利用により成分が減少していくため、
弱アルカリ性へ傾ける効力は弱くなる点に注意が必要です。
レイアウト
底砂を掘ってもぐることがあります。水草などのレイアウトは掘り起こされる可能性があるため、向かないでしょう。
シンプルな石組や流木・植木鉢などで構成したレイアウトであれば管理も容易です。
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餌
雑食性で大食漢です。餌は人工飼料かアカムシなどの生餌などなんでも食べます。
餌の量により残餌が多くなると水質が悪化するため、残餌が出た場合は早めに取り除いてください。
混泳
攻撃性が低く温厚な性格ですが、雑食性のために小型の泳ぎの遅い魚は捕食してしまいます。
一方、大型魚では捕食されてしまう可能性があります。
多頭飼育の際は水槽の大きさと隠れ家(1匹に対して1個)も必要になるでしょう。
いずれにせよ、温厚で隠れることが多いので混泳には注意とリスクを考えることが必要です。
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繁殖
繁殖の詳細な情報が少ないのですが、繁殖成功例・ブリード個体の流通から飼育下での繁殖は可能だと考えられます。参考までにお読みください。
海生のコシオリエビに似て、腹部は部分的に頭胸部の下に畳み込まれます。雌は腹肢に卵を抱えるため、腹部には性的二型(雄と雌の間の体格や色の違いのこと)があります。
第二歩脚の付け根の生殖孔の有無のほか、コシオリエビのいわゆる『腰折り』の部分を『腰伸ばし』の状態にすると、メスには抱卵したときに卵を付ける長い腹肢があります。雌雄の判別はしやすいでしょう。
1.オス・メスペアを用意する。(オス2、メス3とペアと匹数を確保、メスを多くいれ交配確率を上げます)
2.繁殖飼育環境を用意する。(抱卵したメスを隔離できるよう予備ケージがあると良いでしょう。)
3.交接したことを確認し、交接したペアまたはメスをストレスのかからない環境へ移す。
4.稚ガニが親から離れたらメス親を元の飼育ケージへ戻す。
成長しても4~5cm位なので、水槽は45cm以上のものを準備してください。繁殖が成功した際、幼体は小さいため、吸い込み防止用にスポンジフィルターを使うかストレーナー部に目の細かいスポンジを設置すると良いでしょう。
複数飼育であれば、脱皮直後に他の個体から攻撃を受けにくいよう、流木や石などで隠れ家を配置してください。また、底床はないよりもあると良いでしょう。
生息域は南米で、現地での繁殖期は9~10月といわれています。気候を考慮するなど、生息域の環境を作ってあげることで繁殖をうながせるでしょう。
まとめ
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風変りな容姿の水棲生物淡水コシオリエビ。飼育は容易、サイズも大きくなくスペースもとらないので基本的にビギナー向きな種かと思います。
流通が少なく、見かけることも少ないかもしれません。入手できる機会があれば、ぜひ飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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