コリから目線でモノを言う vol.21 ナナイ川のコリドラス<アマゾン上流河川>

コリから目線でモノを言う
コリから目線でモノを言うコリドラス生き物系種類解説(熱帯魚)

どうも、ほにゃらら sp.です。

このコーナーではアクアリウムの森羅万象、あらゆる関連製品・生体について、

コリドラス飼育目線

での、見解・感想なんかを紹介していきます。

第21回では、アマゾン川上流域の支流の一つ「ナナイ川」に分布するコリドラスについて焦点を当てたいと思います。

ナナイ川の位置
ナナイ川とは

ペルーにあるアマゾン川上流域の一支流です。
良質なワイルドグリーンディスカスの産地としても知られています。

ナナイ川の水はブラックウォーターとなるようです。

良質なワイルドグリーンディスカスの
産地としても有名です。

ナナイ川近郊の都市イキトスから東京までの直線距離は約15,100kmです。
ワイルド個体は、実に約15,000km近くもの長旅を経て日本にやってきているのですから、大事にしたくなりますね。

ナナイ川に住むコリドラス

ナナイ川に分布しているコリドラスのうち、チャームに入荷したことがある種は以下の通りです。

主な該当種

アトロペルソナータス1
シクリ
ロングノーズシクリ
旧アルマータス
ロレトエンシス
エレガンスsp.
“イエローフィン”

水質に敏感

ナナイ川出身の多くのコリドラスの共通点は「水質に敏感」なこと。

コリドラスの仲間は一般的にはそれほど水質には敏感でなく、飼育しやすいものが多いです。
しかしナナイ川産の種に関しては「ロレトエンシス」や「シクリ」に代表されるように、硝酸塩の蓄積に特に弱い傾向があります。

つまり古い水が苦手で、新しい水を好みます。
水換えを好む理由がこれです。

ナナイ川出身のコリドラスは水が古いと、肌荒れを起こしやすい傾向があります。
この肌荒れとは、体表を守るための粘膜の分泌によるものです。

コリドラスの肌荒れ 通称:シクリ病

コリドラスの肌荒れは、熱心に飼育している人の間では通称「シクリ病」と呼ばれています。
シクリがかかりやすいためこう呼ばれますが、他のコリドラスでも発生します。

水質の悪化により免疫力が低下、免疫力の低下により細菌感染、細菌感染に対する防御策として粘膜の異常分泌が発生します。

対処法としては、細菌性感染症なので抗菌剤が有効です。

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慎重に時間をかけて水合わせを行うことで、この症状を引き起こす確率は下げられます。

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ナナイ川のように、上流河川域に分布するコリドラスは水質に敏感な傾向があります。
また水槽の環境になじむまで、他のコリドラスに比べると少し時間がかかることがあります。
一旦なじんでしまえば、丈夫な魚です。

ごま塩系の模様が多い

シクリ
(セミロングノーズ)
アトロペルソナータス1
(ショートノーズ)
ロングノーズシクリ
(ロングノーズ)
旧アルマータス
(ラウンドノーズ)

コリドラスは河川ごとにお互い擬態し合っていると考えられており、ここナナイ川の場合ではシクリに似たごま塩柄の種が多く見受けられます。

シクリに似たごま塩模様のコリドラスは水質に敏感なことが多いといわれますが、その該当種はナナイ川出身の種が多いです。

シクリはセミロングノーズに該当しますが、他にもショートノーズ、ロングノーズ、ラウンドノーズで似たごま塩柄を持つ種が分布しています。

このような現象はミューラー型擬態と呼ばれ、近縁種全体で警告色を共有することで外敵から身を守る上で役に立っているようです。

ふつう近縁種内では共通して類似する表現を持つことが多いのですが、コリドラスの場合はこの柄が河川ごとに似た柄でまとまりやすい傾向が見られます。

ナナイ川のコリドラスは、白い砂にカモフラージュするような柄を持つものが多いようです。
実際、ナナイ川の底砂は白く細かい砂質であるようです。

ナナイ川に分布する種に関しては、どちらかといえば警告色としてよりも、保護色として有効そうな色合いをした種が多いように思えます。

▼こちらも参考


ナナイ川出身の熱帯魚

コリドラスとの混泳が可能なナナイ川を出身とする熱帯魚。
例えば以下の種が挙げられます。

グリーンディスカス
レッドスポット・グリーンディスカス
ホワイトタイガー・プレコ
マジナータス・ペンシル

ナナイ川に分布する熱帯魚は流通が少なめです。
ナナイ川はアマゾン川の支流なので、アマゾン川に分布する小型カラシン類もよく似合うでしょう。

アマゾン川出身の小型カラシン
ネオンテトラ
ラミノーズ・テトラ
プリステラ
ヘッドアンドテールライト・テトラ

▼こちらも参考


ナナイ川の水質

ナナイ川は澄んだブラックウォーターとなっているようです。
pHは5.0~6.0前後と、低めの値を示すようです。

ただし全域がブラックウォーターではなく、ホワイトウォーターのように濁った水域もあるようです。

ナナイ川産のコリドラスは硝酸塩に関しては敏感ですが、pHに関しては比較的寛容なようです。
ブラックウォーター河川であるため低めを好むように思えますが、意外と中性に近くてもあまり問題ありません。
同じくブラックウォーター河川に生息するネグロ川産のコリドラスとは異なり、彼らにとってpHはさほど重要な指標ではないようです。

pHの低さを重視するネグロ川産、硝酸塩の低さを重視するナナイ川産と、同じブラックウォーター河川に分布するコリドラスでも、重視する項目が異なるのは興味深いところですね。

このため大抵の水槽環境には適応できますが、他のコリドラスに比べるとなじむまでに少し時間を要することが多いです。

ナナイ川はブラックウォーター河川であるものの、長期間熟成させてpHを下げたいわゆる“こなれた水”は、ナナイ川出身の種には合わないようです。

ナナイ川の種はパラナ川水系出身の種よりもさらに硝酸塩の蓄積が苦手らしく、定期的な水換えをしていないと調子を崩しやすいようです。

様々あるコリドラスの産地の中でも、ナナイ川産のものは最も新しい水を好むグループに入ります。
調子良く維持するならば、水換えの頻度は気持ち多めが良いでしょう。

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硝酸塩対策

ナナイ川のコリドラスは硝酸塩の蓄積を嫌うので、できるだけ硝酸塩が少ない環境が望ましいです。
pHの高低よりも、硝酸塩が蓄積していない環境のほうが重要です。

飼育環境を整える上で、有用なアイテムを紹介します。

硝酸塩測定試薬

pHはどちらかといえば低い方を好みますが、弱アルカリ寄りの環境にもある程度適応できます。
むしろ、低すぎても良くありません。
このため、水換えの回数は気持ち多めのほうが良い結果が得られると思います。

もし気になる方は、硝酸塩を測定してみると良いでしょう。

あると便利な硝酸塩測定試薬
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硝酸塩調整剤

硝酸塩を分解・除去する水質調整剤も有効です。

先に紹介した試薬と合わせ、もし値が高ければ一旦水換えを行い、その後定期的に投入すると良いでしょう。

硝酸塩の濃度を下げることで、観賞を妨げるコケの発生も減少させ、pH及び硬度を安定させる効果もあります。

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水草の力で硝酸塩を減らそう

硝酸塩を低減させるには、水草も有効です。
特にマツモなどの成長速度の速い水草を入れておくと、硝酸塩を吸収してぐんぐん成長します。

その結果、ナナイ川産のコリドラスにとって住みよい環境を維持しやすくなります。

特にマルチリング付きのタイプはコリドラスに掘り起こされることがないので、大変おすすめできます。

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ナナイ川の底床

シクリ
白地にごま塩模様は
保護色かも?
アマゾン川源流の白砂が
現地環境に近いかも?

水質だけでなく、コリドラスにとって底砂は重要な項目の一つです。

ナナイ川の底砂は、真っ白で目の細かい砂が多いようです。

ナナイ川はアマゾン川上流域に位置する支流河川なので、まさに「アマゾン川源流の白砂」がぴったりといえるでしょう。

ナナイ川の一部流域の衛星写真です。
川岸の砂に着目すると、主に白砂である様子が分かります。

アマゾン川源流の白砂 1kg(約0.6L) 微粒 底砂 底床 コリドラス エイ
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ナナイ川のコリドラス まとめ

最も水質に敏感な、典型的な上流系
  • シクリをはじめとした、「水質に敏感なコリドラス」の典型産地です。
  • ナナイ川にはごま塩柄の種が数多く生息しています。
    類似種同士を集めてみるのも楽しいでしょう。
  • ナナイ川は主にブラックウォーター河川です。
    一部、ホワイトウォーターになる流域もあるようです。
  • pHに関する適応力は高いようですが、硝酸塩の蓄積を苦手とします。
  • コリドラスの中でも最も水換えを好むので、頻度を多めに管理すると調子良く飼育ができるでしょう。

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投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

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