プラティ<熱帯魚解説>

種類解説(熱帯魚)
種類解説(熱帯魚)

今回ご紹介する熱帯魚は、丈夫でビギナーの方も安心の「プラティ」になります。

生物学的データ

学名:Xiphophorus maculatus var.

分類カダヤシ目・カダヤシ科
体長♂:4~5cm ♀:5~6cm
食性雑食性
原産地・分布改良品種(原種:グラテマラ)

正式名「サザンプラティフィッシュ」と言い、原種の尾の付け根あたりに半月状の柄が入ることから「ムーンフィッシュ」とも言われています。

原種の産地はグアテマラ。現在多く流通しているものは東南アジアでブリードした改良品種になります。

全長は♂で4cm、♀は6cm程と小型になります。体色は鮮やかな色彩で赤・青・黄・白などの豊富なカラーバリエーションを持ち、中には特徴的な模様を持つ品種もおります。
※尾筒の模様を改良した品種もおります。

グアテマラ・プラティ
ミッキーマウス・プラティ
バットマン・プラティ
ハイフィンレッドバック・ミッキーマウスプラティ
ピンテールレッドワグ・プラティ

「ハイフィン」や「ピンテール」などヒレに特徴がある品種も作出されています。
※原種の体型は改良品種と変わらず、体色は無く、地味な卵胎生メダカといったイメージになります。

可愛らしいフォルムに豊富なカラーやパターンバリエーション、大変丈夫な事もありアクアリウムの入門種として人気も高い品種になります。

プラティの魅力
  • 非常に丈夫で飼育も容易。
  • 温厚な性格の為、混泳しやすい。
  • 豊富なカラーバリエーション
  • 水槽内繁殖も可能。

豊富なバリエーション

本種のカラーバリエーションは「赤・青・黄・白」の4カラーとなり、柄・ヒレの形のバリエーションがとても豊富な品種になります。

単色系

模様を一切持たない単色の表現個体になります。

流通は多く真っ赤で綺麗なレッドプラティを良く目にします。

原種の中で赤味が強い個体から作出されたと言われています。

ミッキーマウス系

尾びれの付け根に大人気キャラクターのような模様を持つ品種になります。

特徴的な模様は成長と共に崩れてしまう事があります。

プラティの中でも大変人気の高い品種になります。

レッドトップホワイトミッキーマウスプラティ
ホワイトミッキーマウスプラティ
ゴールデンミッキーマウスプラティ

ワグ系

ワグ系の特徴は各ヒレが黒く染まる品種になります。

他の品種にはないコントラストが美しい品種です。

昭和プラティ
ブルーワグプラティ
サンセットワグプラティ

サンセット系

日が沈む夕暮れの様なオレンジと赤のグラデーションがとても美しい品種。

このようなグラデーションはプラティの染色体には無いと言われており、他の卵胎生メダカの染色体の表現が色濃くでているようです。

タイガー系

白い体色に赤いバンド模様持つ品種。このタイガー柄は模様の固定が難し品種で、成長と共に赤い部分の面積が変化することがあります。
喉元から腹部にかけての赤い色彩がでる場合は「ブリーディングハート」とも呼ばれます。

ヘルメット(タキシード)系

全身ほぼ黒色になり、頭部・背・腹部など、部分的に色がぬけている特徴を持つ品種になります。まるでヘルメットをかぶるっている(タキシードを着ている)様に見える事から名前が付けられています。

ハイフィン系

背中のヒレが長く伸びた品種。ハイフィンタイプは流通量も多くなく、一般的な品種に比べ高価です。他の品種に比べ目にする機会がすくない品種です。

背ビレ形状パターン
ハイフィンイエローミッキーマウス・プラティ
ハイフィン・コイメタリックゴールド・プラティ
ハイフィンサンセットワグ・プラティ

ピンテール系

ライヤーテール

ピンテール:尾ビレの中心だけが長く伸びる特徴を持ちます。ピンテールはヨーロッパにて作出された品種になります。

ライヤーテール:尾びれの両端のびる特徴を持つ品種になります。オスはゴノポディウム(生殖器官)も伸びる事から繁殖能力をもちません。その為非常に系統維持が難しく今では流通もみられなくなりました。

バルーン系

通常の品種より体高があり長さも短い、まるっと風船のような体型をもつ品種になります。

近縁種

バリアタスとは・・

学名:Xiphophorus variatus

メキシコの大西洋側の植物豊富で流れが穏やかな水路などに生息しています。
黄と赤のグラデーションが美しい種になります。
プラティとは別種になりますが、飼育方法はプラティと同じ、水槽内繁殖も容易である事から改良品種も多く作出されています。

※サンセットプラティ作出の際の交配で使用されたと言われています。

ショープラティ

繁殖・交配が容易である事から、より美し品種を目指したコンテストなどに出るプラティ達を言います。他の熱帯魚ではショーベタ・金魚・メダカなどもありますね。

タイガー・プラティ
ライヤーテールレッド・プラティ

タイガー・プラティやライヤーテール・プラティなどのもショープラティから作出された品種になります。

現在ではショープラティ自体の存在がほとんど見られなくなってしまいましたが、今でもショープラティに熱心な愛好家により美しくユニークな品種が作出されています。

白点病について

プラティはとても丈夫な魚ではありますが、導入直後には気を付けましょう。「良く尾びれに白い点がある」という事を聞きます。尾びれや体に白い斑点模様があった場合疑うのは『白点病』になります。白点病は細菌性の病気ではありませんが、『白点虫』が体や尾ビレに付着し白い斑模様できる病気になります。
治し方対策など下記の記事にて解説していますので、参考にしていただけたら幸いです。


飼育用品・環境

水槽サイズ

フィルター

プラティのみの飼育であれば水槽に合ったサイズの物をお選びいただければ大丈夫かと思います。

※混泳お考えであれば、飼育数が多ければエサの残餌やフンなどにより急激な変化を和らげるために濾過能力の高い物や・サブフィルターなどで2個使用する方法もございます。

水温・水質

水温は26℃前後が最適温になります。20℃位までなら問題はないと思います。
水質はphは中性~弱アルカリ性を好みます。飼育の際phが酸性に傾く事もありますが水質に適応能力がある為飼育可能になります。

底床

好む水質から考えると、酸性に傾くソイルなどよりは、アルカリ性に傾く大磯砂などをお選びいただけると良いです。

※底床について下記の記事を参考にしていただけると幸いです。

レイアウト

適応能力が高い事から「流木」「石組」「水草」など多くのレイアウトで飼育を楽しむ事が可能になります。

温和な生体ではありますが、♂同士のちょっとした小競り合いはあるので、隠れ家られる場所を多く設けてあげると良いかと思います。

※プラティは大食漢で水草もつついてしまいます。水草水槽では、水草をつまんだりしてしまいます。充分なエサを与えている場合は食害にはなりません。
水槽に浮いている油膜もつつきますので油膜対策に少しだけ効果もあるようです。下記の記事にて「油膜対策」について書いております参考にしていただけると幸いです。

エサ

プラティは大食漢でよく食べますので与えすぎには注意が必要です。水を汚さないようこまめに1日1~2回に分けて与えるようにしましょう。

水を汚しにくい浮上性、フレーク状のエサをお選びください。

プラティは植物質のエサも好むので、バランスを考え植物質のエサも与えてる様にします。

混泳

大人しく温厚な性格である事から小さな熱帯魚・シュリンプ・貝類などとの混泳は可能となります。

ヤマトヌマエビ・ミナミヌマエビ・ビーシュリンプ・チェリーなどのエビや、同種との複数匹での飼育も可能ですが、肉食の大型種や攻撃性の高い熱帯魚は注意が必要になります。

熱帯魚との混泳の際は水草や流木などで隠れる場所を多く作ってあげると良いかと思います。

混泳OK
小型の魚
オトシンクルス
貝類


小型の熱帯魚で攻撃性の無ければ混泳は可能になります。

混泳NG
大型魚
大型ナマズ
シクリッド系


攻撃性や縄張り意識の強い大きな魚は混泳不可能となります。

雌雄判別・繁殖方法

雌雄判別方法

♂には尻ビレのところに「ゴノポディウム」という生殖器官があります。

♀には無く、扇のようなヒレに身体は♂より一回り大きくなります。

※上記の様に雌雄判別ができます。プラティの遺伝子はX・Y染色体の他にW染色体をもち性転換を行う個体もいます。

プラティはグッピーと同様に『卵胎生』の魚で卵を産まずお腹の中で卵を孵化させて稚魚を産みます。一度の出産で10~30匹以上の稚魚を産みます。
※出産回数を重ねると産まれる匹数も多くなります。

産まれて3ヵ月程で繁殖可能になります。十分に性成熟すると♂が♀を追いかけまわします。
出産の周期は25~28日位になります。
※♀は♂の精子を体内で保管ができるため、1回の交配で1~5回程出産すると言われています。

プラティは♂・♀の判別、繁殖がとても容易です。稚魚も大きなサイズで産まれてきますので他の種と違い丈夫で育ちやすいです。キャパを超えた飼育にならないよう気を付ける事も必要になります。

繁殖方法

繁殖は難しくありません。
プラティの好む水質(弱アルカリ性)を安定させる♂2・♀4位で水槽に放しておくだけで自然に交尾します。※水質と水を綺麗に保つ事に注意しましょう。

妊娠した♀は腹部が大きくなります。明らかに腹部が大きくなっている♀は妊娠した可能性が高いです。

グッピーとは異なり、プラティの場合は腹部の卵や稚魚が透けて見える事がほとんどありません。そのため出産のタイミングの見極めが非常に難しいです。

稚魚育成

プラティの親魚は稚魚を食べてしまう為、稚魚の育成には産卵箱を使うのが一般的です。腹部が明らかに大きくなった♀個体は産卵箱に移動し、出産に備えましょう。

産卵箱で生まれた稚魚は、親魚からすぐに隔離されるので稚魚が食べられてしまうリスクを減らすことができます。

また、水草がたくさん植えられている水槽では、稚魚が上手く隠れて生き残り、いつの間にか稚魚が育っていることがあります。すべての稚魚が食べられずに生き残るのは難しいですが、あまり飼育匹数を多くしたくない場合は自然繁殖でもいいでしょう。

稚魚が産まれたら親をサテライトから出し、稚魚のみの飼育が可能になります。
※親だけを救うのが大変という方へ、親個体と稚魚がわかれる物もあります。

産まれたばかりでもエサを食べる個体もいます。稚魚に与えるエサは、親とは違うエサになります。
稚魚に与えるエサとしておススメなのが「ブラインシュリンプ」になりますが、沸かして与えるタイプですと殻が残ったりします。

成長速度は速いです、2~3ヵ月程で大人になります。※1か月で約2cmほどに成長。
体長が2cm以上になれば親にも食べられる心配はありませんので、最低でも1か月程度はサテライトでの育成をするようにします。


まとめ

プラティはアクアリウム入門種と言える程、非常に丈夫で用飼育が容易な種です。

熱帯魚飼育を今からお考えの方、熱帯魚飼育してるけど上手く飼育ができず悩んでる方へおススメの生体になるかと思います。

飼育が容易なプラティは、熱帯魚飼育の経験を積むのに最適な種です。初めて飼う種に悩んだらまずはプラティを選んでみてはいかがでしょうか?

投稿者

多くの生き物のブリーディングを経験をし、今はもっぱら観葉植物・DIY!

自分の好きな物での部屋作りが楽しい。

AQUALASSIC(アクアラシック)

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