なんにでも巻き巻き ウィローモス<水草解説>

水草・レイアウト
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どうも、ほにゃらら sp.です。

今回ご紹介するあらゆる素材に巻いて使える便利なモス、ウィローモス。
レイアウトにも、熱帯魚の繁殖を狙う際にも重宝する、何かと便利な水生苔です。

今回はそんなウィローモスの基本的な性質と、主な活用方法をご紹介します。

ウィローモスとは

生物学的情報
名前ウィローモス
別名モス
学名Vesicularia dubyana
分類ハイゴケ科ヴェシクラリア属
分布東南アジア
育成要件
主な用途活着
水温10~28℃
pH5.0~7.0
光量真っ暗でなければ育成可
CO2添加無くても可

ウィローモスはハイゴケ科に属する水生苔の一種です。
一口にハイゴケといっても陸生のものと水生のものがおり、本種は水中環境によく適応した種となります。

アクアリウムにおいては古くから「モス」の通称でなじみ深い水生苔で、落ち着いた色合いの複雑な茂みを作ることから流木や石に括り付けてレイアウトに多用されます。

ウィローモスを活着させた石や、流木はまさに「苔生した」という言葉がピッタリの、非常に趣ある水景をかもし出します。


活用方法

貧栄養・低光量下でも育つ特徴を活かして、他の草の陰になる部分に石等に活着させて配置する方法がおすすめです。

ウィローモスをメインとする水槽であれば、光量・水中の肥料分とも抑え気味の方がコケの発生が少なくきれいに育てられます。

ウィローモスに合わせた環境ではあまりコケが出ることはありませんが、糸状のコケが出た場合はヤマトヌマエビ等を投入しましょう。

繁茂させると生体にとって住み心地の良い茂みに
流木への活着も◎。コケ対策にはエビ類が有効です

その複雑な茂みは隠れ家や産卵場所にも向いており、レイアウトにも、繁殖にも使えます。
幅広い用途に使用できる万能選手です。

どの用途においても水中の栄養分が多いと茶色い根(仮根)を出します。
また、高光量下ではゴワゴワした葉に育ちます。

基本的に低光量・低栄養でも育つ丈夫な種ですが、用途によって育成方針は少し変わってきます。

生体管理用に育成する場合

育成要件
水温10~28℃
pH5.0~7.0
光量真っ暗でなければ育成可
CO2添加無くても可

餌やブリーディング目的で育成するには、ある程度ほぐした後そのまま沈めてしまって大丈夫です。

単に維持するだけなら、光量は真っ暗でなければ十分維持できます。

低光量、CO2無添加では成長が遅く、葉が縮れたり、モスの上にコケが生えることがあります。

成長が遅いのでメンテナンスの頻度が少なく済み、モスの上に生えるコケは稚魚や稚エビにとって良い隠れ家やエサになります。

レイアウト用に育成する場合

育成要件
水温22~28℃
pH5.0~7.0
光量60cm水槽で800lm以上が好ましい
CO2添加有 1滴/3秒

育成が容易とはいわれますが、レイアウト用に育成する場合、CO2添加を行ったほうが美しく育ちます。
無添加では成長が遅く、葉も縮れがちになり、モスの上にコケが生えやすく美しく育ちません。

低光量には強めですが、活着させて長期間維持していると、何重にも折り重なって光が完全に当たらなくなる部分ができるので注意が必要です。

最低でも、60cm水槽で800lmは欲しいところです。


ウィローモスの弱点

ウィローモスをはじめとした水生苔、いわゆるモスの仲間は薬品にやや弱い傾向があります。
一般的な有茎草等には影響のないコケ除去剤でも、モス類に対しては育成に影響を与えることがあります。

ウィローモスなどもモス類が入っている水槽にコケ除去剤を投入する際は、「ウィローモスに影響がない」ことを謳う製品を選びましょう。

製品によっては
モス類使用不可の但し書きがあります。
モスとコケの違い

「モス」は苔(moss)の英名ですが、アクアリウムにおいては両者は別物として区別されます。

ウィローモスをはじめとした「(観賞用の)コケ植物(蘚苔類)」がモス、水槽壁面や水草などに自然に生えてくる「(観賞性を損ねる)淡水性藻類」がコケと呼ばれます。

どっちも「コケ」?
「モス」の一種、ウィローモス。
学術的にはコケ植物(蘚苔類)。
「コケ」の一種、緑ゴケ。
学術的には緑藻類。

アクアリウムでは古くからどちらも「コケ」と呼ばれることがあり紛らわしいのですが、学術的にはウィローモスは「コケ植物」です。
アクアリウムにおいて一般にコケと呼ばれているものは、ほとんどが「藻類」です。


類似種との違い

ウィローモスの基本的な特徴は、他のモス類に比べ葉の1本1本が細長く伸長することとされています。

しかし、そもそも「ウィローモス」の名で流通するモスは、実は複数種存在しているといわれています。

厳密にはVesicularia dubyanaがウィローモスに該当するのではないかと考えられていますが、流通の過程で混同されていることも珍しくないようです。

外見での区別は困難なため、チャームでは判別不能のものを「ウィローモス ミックス」として販売しています。

細長く伸長するものが無印ウィロー。
しかしその実態は、混ざっていることも
多いようです。

「南米ウィローモス」や「ジャイアント南米ウィローモス」などは別種であると分かっています。

また国産の「クロカワゴケ」もウィローモスの一種として扱われることもあります。
ウィローモスたるVesicularia dubyanaは、国内には自生していません。

しかしどちらも耐寒性を持つことと、混同されがちなクロカワゴケが国内に自生していることから、国産種として扱われることもあるようです。

南米ウィローモス

学名:Vesicularia sp.

幾何学的な形状に葉を展開するウィローモスの仲間です。
ウィローモスより若干明るめの色合いと、三角形に伸長する整った印象の葉から人気の高い種類です。

ウィローモス同様流木や石に活着させることも可能で、さまざまな場面に活用できます。

レイアウト水槽ではもちろん、極少量のCO2と60cm水槽で1600lm程度のライトでも見ごたえのある姿に育つことから、生体メインの水槽のポイントとしても重宝されます。

ある程度の光量があれば、CO2はなくとも通常のウィローモスより見栄え良く育つ傾向があります。
用途に関しては通常のウィローモスと変わらないので、お好みのほうを選ぶと良いでしょう。

三角形に広がる葉が南米ウィローモスの特徴です。

ジャイアント南米ウィローモス

学名:Taxiphyllum sp.
別名:スパイキーモス

南米産ウィローモスと比べるとやや大型で、幾何学的な形状に葉を展開するウィローモスの仲間です。
ウィローモスや南米ウィローモスと同じハイゴケ科ですが、属は異なりキャラハゴケ属です。

安価なライトでも十分な見ごたえのある姿に育てることができ、特に生体メインの水槽のポイントとして重宝される種類です。

育成面での要求はそれ程厳しくありませんが、最大の魅力である整った葉の形を楽しむのであればやや暗めの照明(800~1600lm程度)、少量のCO2と肥料分の添加を行った方が良いです。

活着性はあるものの弱めなので、石や流木に括り付けるにはテグスの使用がお勧めです。
新芽がコンスタントに伸び始めていることが確認できたら、一度葉をカットすると次から生えてきた葉がきれいに生えそろうのもウィローモスと同じです。

一般的な水草水槽の環境であれば、他の草の陰になるような位置でも十分に美しく育つために応用範囲も広いです。
また環境への要求がシビアでなく、“ジャイアント”といっても小型水槽への使用にも耐えうる種類です。

葉を短く維持すれば前景に、長く伸ばせば後景に。
小型水槽の中一つを取ってみても、さまざまな用途に使用できます。

ウィローモスsp.

学名:不詳(Vesicularia sp.?)

ウィローモスに近しい種と思われる水生苔です。
ウィローモスに近縁と推測される正体不明種は、”.sp”の名で入荷してくることが多いです。

どれもパッと見はウィローモスと近い特徴がありますが、細かく見るとわずかな違いが感じられるようです。

例えばこのナロータイプは、見た目は南米ウィローモスに似て三角形の葉を展開するようです。
また、南米ウィローモスに比べると、全体的に細葉となる傾向があるようです。

クロカワゴケ

学名:Fontinalis antipyretica

日本各地の湧水、清流域に自生するカワゴケ科の水生苔です。

古くには本種もウィローモスとして扱われることがあったため、本種の存在が“ウィローモスは日本にも自生している”といわれる理由の一つになっています。
また、本種はここまで紹介したウィローモス類と異なり、活着性がほとんどありません。

現在ではあまり見かけなくなりました。

科レベルで別種のため、よく見ると葉の形状も全く別物です。
透明感を帯びているのがクロカワゴケの特徴です。

レイアウトのコツ

ウィローモスをレイアウト水槽に用いる場合、基本的には流木や石などに活着させて使用する形となるでしょう。

照明は比較的暗くても育ちます。
60cm水槽で800~1600lm程度あれば問題なく育成できます。

水中の栄養分が多いと、仮根という茶色い根を出します。
景観的にはあまり美しくないので、貧栄養気味に管理したほうが美しく育ちます。

光量は低くとも高くとも構いません。
高光量の環境下では、どちらかというとゴワゴワとした葉に育ちます。

用意するアイテム

ウィローモスを用いたレイアウトを作り上げる上で、必要となるアイテムを紹介します。

活着素材

ウィローモスは流木や石など、何かしらの基質に活着させて用いることが前提です。

石に活着させたウィローモス
流木に活着させたウィローモス

活着させるためには、テグス(釣り糸)で巻き付けるか、接着剤で固定する方法が簡単です。
なお、ミクロソリウムやアヌビアスと異なり、葉の1枚1枚が細かいのでビニールタイは固定に不向きです。

流木に巻いたイメージ
ボール状に巻いたイメージ

※活着前にテグスやネットを切ってしまうと
バラバラになってしまいます。絶対に切らないで!

流木や石などにテグスで撒くと、この画像のイメージに近くなります。

最初は見栄えが悪く見えますが、しばらくそのまま育成して見守りましょう。

育成環境にもよりますが、概ね1~3カ月程度できれいに生えそろってきます。

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モス類はパックで購入してきたものをほぐし、石や流木の表面に巻き付けていくのが基本です。
最初から巻き付け済みのものも販売されているので、お好みで選ぶと良いでしょう。

▼こちらも参考

石や流木以外にも、表面がつるつるしていなければおよそどんな基質にも活着できます。
アイデア次第で多用途に使えるのも、ウィローモスの魅力です。

タイル状の板に巻いて、
前景草のように敷き詰めたり。
タコつぼのような、魚の隠れ家や
オブジェに巻いてみたり。
キャラクター系のグッズに巻いてみるのも
世界観が演出でき面白いかも。
材質に注意

アクアリウム用として販売されているもの以外を基質として巻き付ける場合は、飼育中の生体に影響がない材質であることを確認してから使用してください。

天然石や流木、テラコッタ系の材質であれば、ほとんどの素材は問題なく使えます。

底床

サンゴ砂などの極端にpHを上げるものを除けば、なんでも使用可能です。

ウィローモスのみ育成するのであれば、大磯砂など砂系の底床が良いでしょう。
他の水草と併用する場合は、ソイルでも問題ありません。

ソイルを使用する場合は栄養過多になりやすく、ウィローモスの表面にコケが生えてくることがあります。

これはミナミヌマエビやヤマトヌマエビを少し多めに入れておくことで予防が可能です。

CO2を添加しない場合や、高光量の照明を使う場合はコケに覆われてしまいやすいので、対策としてエビ類が有効です。

レイアウトに用いるなら
コケ対策にはエビが有効
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ピンセット・ハサミ

ピンセット
ハサミ

成長速度は遅めなので、頻繁なトリミングは必要としません。
長期間育成していると、何重にも折り重なって光が完全に当たらなくなる部分ができます。
この部分の葉は枯れてしまいますので、適度にカットしておくのが美しく維持するポイントです。

トリミングには強いので、雑に刈り込んでしまっても育成に支障はきたしません。

レイアウト重視の水槽の場合は、カット後の破片はしっかりと取り除きましょう。

破片にも活着性があるので、水槽の壁面やパイプなど、思わぬ箇所に活着し成長を始める可能性があります。

破片の除去には、ネットを使うと便利です。

破片の回収にはネットが便利
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照明

ウィローモスは弱い光でも十分育ちます。

点灯さえしていれば、安価な製品でも育成には全く問題ありません。

1600lm以下の光量では柔らかい印象に育ち、それ以上の光量ではごわごわとした力強い印象に育つ傾向があります。

CO2添加システム

なくても構いませんが、添加したほうが美しく育ちます。

フィルター

特に選びません。
ついていれば良いです。

肥料

基本的に不要ですが、与えると成長が速くなります。

コケ取り生体

ウィローモスの表面には糸状の藻類が映えることがあります。
これは底床の項で述べた通り、ソイルを使用している場合に特に顕著です。
「ソイルを使用」「高光量の照明を使用」しており、かつ「CO2を添加していない」場合はコケが生えやすい環境がそろっています。

ウィローモスの表面に生える糸状コケは、エビ類で対策しましょう。


オススメの生体

適応範囲が広いのであらゆる水槽に使えます。
小型カラシンなどの“バラまき型”の産卵系を持つ種の繁殖には、ウィローモスは最適な素材です。
ビーシュリンプやチェリーシュリンプといった観賞用シュリンプとも抜群の相性です。
熱帯魚全般と相性が良く、エビ類も足場や稚エビの隠れ家として大変相性が良いです。

いわゆる「陰性レイアウト」では、ミクロソリウムやアヌビアス、クリプトコリネなどを引き立てる役回りになることが多く“陰の主役”ともいえます。

極端に草食性が強い魚種を除けば、ほぼすべての魚種におすすめできる万能な水草といえます。

特に繁殖を重きに置く水槽では、産卵床、稚魚の隠れ家の二役を兼ねられるので使い勝手が良いです。
余剰栄養分の吸収もするものの、成長が遅いのでその効果は実感しづらいかもしれません。

特におすすめ
小型カラシン全般
観賞用シュリンプ全般
ミクロソリウムと一緒に活着
アヌビアスと一緒に活着
カラシン(テトラ等) | チャーム
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エビ・ビーシュリンプ | チャーム
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ウィローモス まとめ

活着系モスの代表種!
レイアウトにも、生体管理にも便利!
  • 活着系モスの代表種です。流木や石に活着させての使用が基本です。
  • 低光量・CO2無添加でも育成できます。
  • レイアウトに使用する場合は、若干のCO2添加はあったほうが美しく育ちます。
  • 低水温にも耐性があります。ただし、水温が低いと成長は遅くなります。
  • 生体管理に使用する場合は、浮かべるだけでも稚魚の隠れ家や稚エビの足場になります。
  • トリミングは頻繁に必要としませんが、光が当たらなくなった下葉はそのまま放置すると枯れてしまいます。適度に刈り込んでおくと良いでしょう。
  • 「ウィローモス」の名で流通するモスには、複数種が混在しているといわれています。

▼こちらも参考

投稿者
ほにゃらら sp.

福島県産のワイルド個体。
ロカリティの詳細は残念ながら記録がない模様。
アクアリウム歴はだいたい20年くらい。
「同属内で多様なバリエーション」が好き。若干コレクター気味。
つまりコリドラスや、ミクロソリウムが最高。ということですね。

AQUALASSIC(アクアラシック)

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