どうも、ほにゃらら sp.です。
今回お届けするのは、熱帯魚に与える餌の選び方について。
一口に餌と言っても、そのバリエーションは多種多様。
どの餌を与えるべきかは、飼育している魚種によって異なります。
ここでは主な餌の種類・性質と、対象生体や目的別の組み合わせについて深掘りしていこうと思います。
▼さくっと読みたい方はこちらを参考
基本は人工飼料でOK
基本的に「人工飼料」でOKです。
専門メーカーにより対象魚専用に配合されており、栄養バランスにも優れています。
ほとんどの魚は人工飼料で飼育が可能です。
長期飼育を考えるならメリットが大きいので、なるべく人工飼料を中心に与えることをおすすめします。特に多くの魚に汎用的に使える餌が、「顆粒」「フレーク」の2つです。
顆粒タイプの餌としては「ffnum03」、フレークタイプの餌としては「テトラミン」が代表的です。
「初心者向け」といわれるほとんどの熱帯魚は、この餌ならとりあえず食べてくれることが多いです。
人工飼料を食べてくれない魚は、“それなりの飼育難易度”を要求される魚という認識で良いでしょう。
餌の種類
それでは人工飼料における、基本的な餌の種類を少し掘り下げて知ってみましょう。
熱帯魚に与える餌は大きく分けて、4タイプあります。
魚種や個体の性格によっては人工飼料に反応せず、それ以外の餌を主食として与える必要がある種類もいます。
そのような種類は、「飼育難易度高め」と覚えておくと良いでしょう。
人工飼料とは 基本的にこれを与えよう
大きく分けて、顆粒、フレーク、タブレット、ペレットの4タイプが存在します。
顆粒タイプとペレットタイプには水に浮く「浮上性」と、水に沈む「沈下性」があります。
それぞれどの餌にもメリットとデメリットがあります。
餌を与える魚種の習性によって、使い分けましょう。
顆粒タイプ
粒状の餌です。
魚に与える餌としては最も基本的なタイプで、「浮上性」と「沈下性」の2種類があります。
グッピーやハチェットなど表層で暮らす魚には「浮上性」を、コリドラスやローチなど低層で暮らす魚には「沈下性」を与えます。
テトラやシクリッドなど前向きに口が付いている魚は、どちらのタイプでも食べられます。小型魚には最も一般的で有効です。
最初は浮かんで徐々に沈む「緩沈下性」はこのタイプにベストマッチです。
混泳水槽でも使えますが、どちらかといえば単一種または食性の似通った種を飼育している場合におすすめできます。
フレークタイプ
薄いフレーク状の餌です。
顆粒タイプに比べ消化吸収性に優れ、口のサイズをあまり選ばないのがこちらの利点です。
最初水面に漂ったあと、しばらくすると沈むので全体に行き渡ります。
(混泳魚が多い場合は低層まで行き渡らないことがあります。)
大小さまざまなサイズの魚種が暮らす混泳水槽では、特におすすめできます。水槽内で勝手に殖えるグッピーやプラティなど繁殖の容易な卵胎生メダカの場合、フレークタイプを与えておくと稚魚から親魚まで対応できます。
タブレットタイプ
薄く平たいタブレット状の餌です。
基本的に沈下性で、低層魚専用に開発された餌となります。
底砂を掘り返したり、石や流木の表面に張り付いて餌を食べる習性を持った魚種に向いています。
混泳魚が居てもすぐに沈んで低層に届くので、低層魚が餌にありつけず餓死することがなくなります。
個体数が少ない場合は1個でも餌の量が多く余りがちです。
その場合は適量に割って与えると良いでしょう。
タブレットフードは原料によって、さらに大きく2つに分けられます。
主にコリドラス用とプレコ用があり、前者は主に動物性原料と植物性原料がバランスよく配合されています。後者は植物性原料を中心に配合されています。
コリドラス、プレコ以外の低層魚に与える場合は、その種の食性を確認し、コリドラスとプレコどちらに近い食性を持つのか判断しましょう。
一般にローチ類はコリドラス用が、オトシンクルスはプレコ用が適する場合が多いです。
餌を与える対象魚の食性に応じて選んでください。
コリドラスやローチなど、雑食性の魚種には動物性・植物性原料がバランスよく配合された「コリドラス用」のものを、プレコやオトシンクルスなど、草食性が強い魚種には植物性原料が中心に配合された「プレコ用」ものを与えます。
レッドビーやチェリーシュリンプなど、エビにはエビ専用のタブレットもあります。
ペレットタイプ
顆粒タイプの餌を大型化した餌です。中~大型魚に向いています。
中~大型魚はこのタイプの餌に餌付けできるかどうかで飼育難易度が大きく分かれます。
たとえ「アロワナ用」と記載があったとしても、実際にアロワナが食べてくれるかどうかは個体次第です。
最初は食べてくれないことも多いですが、活き餌と組み合わせて徐々に慣らして切り替えるのが基本です。
ペレットタイプに餌付いてくれれば、飼育が格段に楽になります。
こちらも「浮上性」と「沈下性」があるので、与える魚種の生態に合ったものを選びましょう。
また、大型魚でも個体サイズが小さいうちは、口に入らなければ食べることができません。
ある程度のサイズに育つまでは、小型熱帯魚用の顆粒フードを与えるのも手です。
小さいうちに人工飼料に慣らしておくと、大きくなってから後々飼育が容易になります。
原材料に注目しよう
ここまでで人工飼料の基本的なタイプを紹介しました。
飼育している魚種と、どの餌が基本的に対応するか分かったと思います。
次は、さらに一歩掘り下げて原材料から配合の意図を判断できるようになってみましょう。
着目すべき原料
製品によって原材料の名称は異なることがありますが、その場合は材料の名称から判断してください。
魚のコンディションを整える上で、野生下での食生活をできるだけ再現したい場合、これを念頭に置いて餌を選ぶことでより良いコンディションが得られるかもしれません。
小麦粉
あらゆる人工飼料において、製造する上で欠かせない基本的な素材です。
いわゆる“つなぎ”の役割を果たす素材で、餌の形状を保つために大変重要です。
しかし、その一方で小麦粉は含有量が多すぎると消化性が良くないといわれます。
消化性を重視したい場合は、成分表示中の“小麦粉”の記載位置が、なるべく後ろに記載されている製品ほど含有量が少ない製品と判断できます。
ただ、この知見はよくいわれるものの、魚食性が強い魚のようです。
雑食性の魚種に関しては、小麦粉をはじめとした炭水化物の消化吸収能力を持っているともいわれています。
小麦粉はその役割上、完全になくしてしまうのは難しい素材です。
餌の形状を保てなければ水中でばらけてしまい、水を汚す原因になってしまいます。
これでは本末転倒ですので、一定量は必要です。
フィッシュミール(魚由来原料)
熱帯魚用の人工飼料は、タンパク質原料として多くの製品でこのフィッシュミールを採用しています。
主要なたんぱく源としての「フィッシュミール」と、餌の形状を保つための「小麦粉」の組み合わせが、観賞魚用の餌としては基本形となります。
これを骨格としてさまざまな成分を配合して製品ごとの差別化が図られます。
主に海産種苗用として開発されたものが源流にあるため、古くから魚類用飼料としては一般的に普及しており、使い勝手も優れ成長率も良いといわれます。
基本的な考え方はこれに基づいています。
しかし、観賞魚においては全ての魚種が必ずしも魚食性を持つ魚とは限りません。
エビを主食としているものや、昆虫を主食としているものもいるでしょう。
あくまで基本はたんぱく源の基本はフィッシュミールとし、飼育する魚種の食性に合わせて餌を選択できると、さらに一歩ステップアップしたといえるでしょう。
元々魚食性を持つ魚に関しては、フィッシュミールを原材料に多く含む餌が最適です。
シュリンプミール(エビ由来原料)
シュリンプミールはエビに由来する原料です。
野生下で甲殻類を好んで食べる魚種には、含有量が高いとより自然な食生活に近づきます。
エビ自体が後述のアスタキサンチン(カロチノイド)を含んでいるので、色揚げ効果もあります。
インセクトミール(昆虫由来原料)
インセクトミールは昆虫由来の原料です。
フィッシュミールやシュリンプミールに比べると比較的後発で注目されるようになりました。
古くはいわゆる「さなぎ粉」としてカイコのサナギの粉末が用いられていましたが、ミズアブの幼虫なども有用な原材料として研究が進められています。
一般に小型の淡水魚は野生下では自分より小さい小魚よりも水棲昆虫を主食する種が多いのではないかと考えられています。
それゆえインセクトミールを中心とした原料の餌は、熱帯魚の元来の食生活に近づけられるとして、注目すべき製品といえるでしょう。
スピルリナ、アスタキサンチン、カロチノイド
スピルリナは藻類の一種、アスタキサンチンは天然カロチノイドの一種です。
これらが原材料に含まれる餌は、「色揚げ効果」を持っていると判断できます。
特に赤系の色彩を鮮やかに仕上げる上で、非常に重要な役割を担っています。
〇〇菌(生菌剤)
観賞魚用の餌において生菌剤は、主に腸内に定着しフンの分解を助ける効果を持つものが多いです。
魚が食べることで生きた菌が体内で目覚め、分解を補助することで水質悪化を防ぐのが主な狙いとなります。
原材料配合の意図を読もう
自分が飼育しようとしている魚種が野生下ではどのような食事をしているのかを調べてみて、その内容に近い製品を選べるようになると……餌の選び方は奥深く、楽しくなってきますよ。
テトラミン の場合
フレークタイプのフードではおそらく最も有名なテトラミン。
その原材料に着目すると、フィッシュミールが主原料となる餌ですね。
穀類はおそらく小麦を中心としたつなぎだと思われます。
植物性たんぱく、シュリンプミール、海藻が配合されていることから、雑食性の魚種にこれ一つで対応できる、汎用性の高い餌と判断できると思います。総合栄養食と言っても過言ではありません。
これが長年にわたって使い続けられる、ロングセラー商品たる理由なのでしょう。
次は、対象魚種を限定した製品を見てみましょう。
ff num300 フラワーホーン用 スティック の場合
ff num300 フラワーホーン用 スティック
フィッシュミール、クリルミール、小麦粉、脱脂大豆、とうもろこし、ファフィア酵母、バチルス・トヨイ、β-グルカン(黒酵母由来)、ビタミン類、ミネラル類
※2023年1月時点
フラワーホーンは甲殻類を好み、大食漢であるため水を良く汚します。この点を踏まえ、読み進めてみましょう。
こちらもフィッシュミールを主原料としています。
次点で、クリルミール、すなわちオキアミ原料が入っているのが特徴的ですね。
甲殻類を好むフラワーホーン専用に開発された餌であるため、クリルミールが多めの配合になっているようです。
さらに、フラワーホーンは肉食寄りの雑食性なので、植物性原料も少しは必要です。
このアンサーとして、とうもろこしが入っているのでしょう。
「バチルス・トヨイ」は腸内細菌の一種です。
魚の腸内でフンの分解をサポートする効果があり、大食漢なフラワーホーンの水の汚れを対策しています。
……このように注目すべき原材料を読み解くと、フラワーホーンの性質によく配慮した製品であること、メーカーの配合の意図が読み取れます。
GEX ワイルドフレーク プロバイオ の場合
GEX ワイルドフレーク プロバイオ
フィッシュミール、小麦粉、シュリンプミール、胚芽、昆虫ミール、ドライイースト、大豆油、生菌剤、スピルリナ、ミネラル類(リン、カルシウム、カリウム、鉄)、ビタミン類(A、B、D3、E)、増粘安定剤(グルテン、加工でん粉)、着色料
※2023年1月時点
GEX ワイルドフレークは昆虫ミール配合で注目されているフレークフードです。
その原材料を見ると実はフィッシュミール、シュリンプミールも入っており、バランスの良い配合となっているようです。
生菌剤が配合されているので、水質悪化の対策がなされています。
またスピルリナが入っているため、色揚げ効果も見込めます。
コトブキ フライミックス 熱帯魚用 の場合
コトブキ フライミックス 熱帯魚用
乾燥アメリカミズアブ幼虫、サーモン、濃縮魚肉タンパク質、グリーンピース、じゃがいも、小麦、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、DL-メチオニン、レシチン、塩化コリン、L-リジン、ビタミンEサプリメント、ビオチン、ナイアシン、カルシウム-L-アスコルビル-2-モノホスフェート、カレンデュラ、酸化亜鉛、酸化マンガン、D-パントテン酸カルシウム、ビタミンB12サプリメント、ベータカロチン、ローズマリーエキス、リボフラビン、硫酸銅、ピリドキシン塩酸塩、チアミン硝酸塩、イノシトール、葉酸、ビタミンAサプリメント、ヨウ化カルシウム、亜セレン酸ナトリウム、ビタミンD3サプリメント
※2023年1月時点
フライミックスも昆虫ミール配合で注目されているフレークフードです。
しかしこちらは大きな特色として「乾燥アメリカミズアブ幼虫」が他の原料よりも最も多い割合で配合されている点が特徴です。
ベータカロチン配合で色揚げ効果も見込めます。
一方で生菌剤は未配合なので、生菌による消化サポート効果はないことが読み取れます。
熱帯魚の餌の選び方 まとめ
魚種 | おススメの人工飼料のタイプ |
---|---|
グッピー | フレーク 顆粒(浮上性) |
プラティ・卵胎生メダカ | フレーク 顆粒(浮上性) |
カラシン・小型テトラ | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
コイ・ラスボラ | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
ローチ・ボーシャ・タニノボリ | 顆粒(沈下性) タブレット |
フライングフォックス/アルジイーター | 顆粒(沈下性) タブレット |
ドワーフシクリッド | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
アフリカンシクリッド | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
エンゼルフィッシュ | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
ディスカス | 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
ベタ・グラミー・アナバス | フレーク 顆粒(浮上性) |
コリドラス | 顆粒(沈下性) タブレット |
オトシンクルス・ロリカリア | 顆粒(沈下性) タブレット |
プレコ | 顆粒(沈下性) タブレット |
レインボーフィッシュ | フレーク 顆粒(浮上性) 顆粒(沈下性) |
ハゼ・ゴビー | フレーク 顆粒(沈下性) |
フグ・パファー | 顆粒(沈下性) ※餌付けが必要なことも多い |
エビ・ビーシュリンプ | 顆粒(沈下性) タブレット |
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